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春はあくぬき

 こどもの日は、採ってきた山盛りのわらびと、6本のたけのこの、あくぬき三昧だった。

 GW始まる前までは、とくに出かける予定もなかった。だが、妹から「田舎(父の実家)の山に、わらびとりにいくけど一緒にどう?」と誘われ、息子は渋るかもと思いつつ訪ねたら、予想に反し「行きたい」というんで、妹家族と一緒に山に連れて行ってもらった。ちなみに、父も誘ったら「おれはいいや」と。田舎育ちなのにインドア高齢者オタクじじ

 「わらびってどんなだっけ?ぐるぐるの?」(それはぜんまい)というレベルだから、山菜採りだわーいというテンションではなかったけれど、外に出るのはいい気分転換になった。

 田舎の家には伯父夫婦が住んでいる。GWなので伯父夫婦の子供や小さな孫たち——私の従姉妹とその子供たち——がいてきゃあきゃあ大騒ぎになっていた。このちびっこたち4人のうち3人は初対面だ。私たち親子はこの家を訪れるのは6年ぶりだった。10代の成長は凄まじい。17歳になった息子は古い日本家屋の鴨居に、頭をぶつけるサイズになっており、皆、えーーっと驚いていた。息子にしても、記憶より家が小さいと感じたんじゃないだろうか。

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 家からさらに山を入った日当たりの良い急斜面には、わらびがぽこぽこ生えていた。最初は、そんなに採っても山菜あまり食べないし……なんて遠慮しながらだったけれど、指で挟んでポキポキ折るうち夢中になってしまい、目につく良さげなものは片っ端からポキポキした。すでに取り尽くしたと思ったエリアももう一度よく見ると、まだまだ生えているのが目に入る。ひょっとしてこのポカポカ陽気の中、現在進行形で育ってる?!ってひくほど。わらびにはギブアップ。軍手の人差し指と中指の間がすっかり茶色くなってた。

 途中で伯父さんが「はい野蒜のびる、酒のつまみだ」と、根元が白くぷっくりしたわけぎみたいなものを渡してくれたので、自分でも似たような細い草を選んで引っこ抜いてみたけど、全然違った。これは、難易度高い。

 次はたけのこ掘りだと。……はい、その前に冷たい麦茶が飲みたい。春の里山は生命に満ちあふれ、眩しいなあ。

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 家に戻り、今度は、たけのこ目指し、別の杉林竹林の山に入った。途中すでに50センチほどまで伸びた竹の子ならぬ、竹少年が邪魔なとこにいくつも生えていて、それを伯母は鍬一撃でなぎ倒す。70歳近いとはにわかに信じがたいパワーとスピードであっという間に山をかけ登る伯母は、コラッとか言いながら片っ端から邪魔な竹少年を撃破していった。昔から超美人で今でもかなりの美魔女なのです、カッコいい。

 生物学系の研究職に就いている義弟(といっても私より年上)が、たけのこというのは地下茎に沿って陽に向かってこういうふうに生えてくるものだからこの部分にこういう角度で鍬を入れてやってなんたらかんたら……と丁寧にうちの息子に解説しつつお手本をみせてくれるのだけれど、齡17にしての初たけのこ掘り、鍬なんてふるったことあったっけ人生のゆるゆる都会っ子には、あんまりピンと来てなかったようで、結局息子は一つのたけのこを攻略するのに10回くらいチマチマ鍬をあててた。でも、それでもまあまあちょうど良さそうなたけのこが掘れた。

 場所によってはなにかに掴まりたくなるような山の斜面、そんな場所でも伯父夫婦や従姉妹たちは、片手に2歳3歳の人間の子供、もう片方の手に竹の子供が入った籠を持ってすいすい動き回る。私は従姉妹がちょっと荷物を取りにいくあいだその2歳の男の子を預かり抱っこしていたけれど、手近で頑丈そうな竹に寄りかかったままその場から一歩も動くことができなかった。これは基本的な身体能力が違う。

 籠3つに、全部で20本ちかくのたけのこが掘れた。いっぱい持っててーといわれたので、息子が掘ったものを含めできるだけ小さめのを6本頂いて帰った。

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 連休途中の息子のお弁当には、もちろんたけのこ&わらびの炊き込みご飯。

わらびもっと入れればよかった〜!

 けど、子供のころ、毎年訪れていた田舎の家で、童心にかえってしまうようなGWのお楽しみは、これでおしまいじゃなかった。むしろメインイベントはこの後でした。

 つづく😁


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