時折、母から何の前触れもなく
LINEが来ることがある。

実家で何か動きがあったときとか、テレビで地元の話題が取り上げられていたりとか、荷物を送ったり届いたりしたときとか、音楽の話題とか。私から母に送ることはあまりないのだが、母はよくメッセージを送ってくれる。

普段はＬＩＮＥの返信も貯めがちな私だが、母に限っては送られてきてから1分以内で必ず返している。なぜなら、それが母にとっての私の生存確認であり、息子を見守るための唯一無二のホットラインだからである。

そのホットラインに、先日また入電があった。

いつものように秒速で通知をタップしてLINEのトーク画面を開くと、1枚の写真が送られてきていた。

その写真の後に、一言母が付けた。

「暑すぎてドーピングした」

おいおいおいおい、パリピ大学生じゃ。飲んどるもんがパリピ大学生なんじゃ。（千鳥ノブ風口調）

それは、母の会社の営業車のダッシュボードに乗っている、ピンクのモ〇エナ（モン〇ターエナジー）の写真だった。

いや普通、道頓堀の戎橋の下とか大学の最寄り駅の前の路上で深夜11時ぐらいにキツい酒あおってバカ騒ぎしとるウェーイ系大学生しか飲まんのよピンクのモンエナは。レッドブルとかならまだかわいいもんやけどモンエナ飲んどる輩は本物のパリピなんよ。

母の思いがけない「エナドリ飲んでますカミングアウト」を受けて、私の中の千鳥ノブが覚醒し、ひとしきり、ここぞとばかりにツッコみ散らかしていた。それぐらい衝撃だったし、50の母がエナドリ飲んで外回りしないと仕事乗り切れないぐらい今年の暑さはヤバいんだな、と悟ったりもした。

１～２回だけ私もエナドリの類を
呑んだことがあるが、正直好きではない。

なぜみんなあんなに半分ジャンキーな感じでモンエナとかレッドブルを好んで飲んでいるのか全く分からなかった。ちょっと薬感強めのコーラじゃん、何が旨いの？って逆に首をかしげる結果となった。そんなもんをうちの母が飲んどるとは。衝撃じゃ。

そういえば、母は最近ストロング系の酒もちまちま飲んでいる。帰省した時にスーパーへ買い出しに行った時も、普通のビールではなくストロング系の度数が強いビールをわざわざ選んで買っていた。

ストロング系も、私からしたら何がいいのか分からない。飲んでも酒というより「アルコールを薄めず飲んでる」みたいな消毒感があって、とても飲めたもんじゃない。それだけに、あの母親がストロング系に手を出してる！というちょっとした衝撃が私を襲っていた。

まあ正直こんなもんに頼らないとやっとられんぐらい今年の夏はしんどかったし、私もバテバテだった。でも、20代の私と50代の母なら、いろんなことが違う。特に健康面においては私も確実に心配している部分が増えてる。

だからどうか無理だけは……無理だけはしないでくれ……身体が資本やから……と、猛烈に心配してしまう私だった。

そういえば、このカミングアウトに私がどう返答したのかをまた書いていなかったので、至って簡潔な一言だが書き記しておくことにする。

私は一言だけ、母にこう返信した。

「味覚が若いねぇ（白目）」

おしまい。

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