見出し画像

人を繋ぐということ

一応の仕事納めを経験し、9か月のリフレクションを行うことに。
落ち着く間もなく走り続けてきたなと思う今日12月の年の瀬で。

4月22日にここ岡山県に移住しましたが、もう一度21日まで考えていたことをおさらい。

【自分が岡山に来た理由】
・医療経営を知りたかった
・組織の調整・折衝を実務でやりたかった

以上2つ

夏辺りから、2つの病院に介入することになった。
始めは元看護師の強みを活かした形で看護部サポートを中心に介入してきたけど、ほどなくしてそれだけでは済まなくなった。

結局、つまるところ自分の事業は経営支援であり、それは「わかりやすい収益の増加」を形にしなければならない。
そうすると自分にできることは何かと暗中模索していたら、まずは財務諸表を読めないことには話にならないことに気づいた。

で、現在修行中の身ではあるが結果的に少し読めるようになった。

それをもって何をしているかといえば、入院の収益に携わっている。
やってみて思ったのだが、(環境にもよるが)、やはり医業収益の主は「入院収益」であり、これが最適な形にならないともうどうしようもない。

じゃ、外来は?と聞かれると
少なくとも今関わっている施設では比較優位にはならない。
その為、外来収益アップのノウハウがまだ自分には身についていない。

当たり前の話だが、収益アップの方程式は「単価×数」
全てはこれに基づいて求められる。
特に医療がそうなのかわからないが、「非営利」・「感情労働」・「医は仁術」・「診療報酬制度の複雑さ」など言葉に翻弄されると、この基本的な形を忘れてしまう。

この考え方を軸に、入院収益を舞台とした経営支援が微力ながら出来るようになった。
少なくとも、9か月前の自分とは雲泥の差だ。

で、とどのつまり、こうした提案だけならば個人でも、組織でも、どのコンサルでも出来るじゃないかと改めて思った。
根拠は自分。
自分が出来るのだから、もうそれは誰でも出来るものと確信している。

現場の問題は現場が一番知っているはず、それでも解決できないのが医療組織の難しさ。それは自分でも知っていた。
業務量、分野、人間関係など原因は様々だけど、本質はコミュニケーションの問題だと捉えている。これは今でも変わらない。

自分がこうした立場で現場に入りこむ必要を感じたきっかけはまさにそこにあって、人や部署、組織を繋ぐ仲立ちをすること。

今の業界で言うと、

『そして皆様に自走して頂く事で結果にコミットすることを、常に一番に考えています!』
みたいな感じになるのかなと思うが、ちょっと寒く感じるのは自分がコンサル社員としてまだ徹底しきれていないのだろう。

収益アップの提案はすぐに結果に表れた。
でも、やがてすぐに抵抗勢力が現れた。
これは当然、進みべき道には利害関係者が必ず出現するから。

自分の出番(希望)はここからだと思っている。
理論で押しきるのか、なだめすかすのか、受け流すのか?
元大阪市長の橋本 徹さんが言っていたけど、

『交渉の方法は大きく言って三つ。
一つは利益を与えること、一つは脅すこと、最後の一つはお願いすること。
これに集約される』

たしかに『これしかない』と今も思う。
その中でも「お願いする」ことに尽きることが多かったように感じる。
利益を与えるような誘導をしながら、時には脅しながら、
でも、医療職の利害には変数が多いので全体に共通する効果は薄い。
最終的には、医師にお願いし、看護師にお願いし、セラピストにお願いし、
お願いしまくった年の瀬だった。
たぶん、年明けも『お願い』の嵐になるのだろう。
「気持ち」の業界でもあるので、結局これが一番通じる。

看護部内でのトップと現場のトラブルにも首を突っ込んでしまった。
若干リーダーシップに乏しい部長(でもいい人)が、その反応の悪さに現場の反感をモロに受ける、という構図。

あるトラブルを皮切りに、一度部長と現場との協議の場を開催したが、
年端もいかない若手スタッフが部長に対して『タメ口』で詰め寄る様はもはやホラーだった。
自分が現場にいた時だったら、それなりに『いい顔』をしながら都合のいい風見鶏に徹していたと思う。
今回は冷や汗をかきながら、でも、それを制して交通整理を行った。
「【巧言令色】はもうだめだ」を念仏のように心でつぶやきながら。

なんで組織がこんな風になってしまったんだろう?
と幾度も考えることが出来た9か月だったが、どのケースも本質的にはコミュニケーションの課題を置き去りにしてきたからだと踏んでいる。
つまり、対話がなかった、しなかった、ということ。

先程のケースでも、看護部長はものいわず。どう対応していいかわからない部分が多かったこともあるだろうが、対話をしてこなかった。
それが結果的に、「トップが何を考えているのかわからない」という疑念に繋がっている。
もちろん、上層部であればあるほどそう時間は確保できない。その間の中間層が対応ということになるのだろうが、これも放置時間が長ければ長いほど、もう取返しつかなくなるという事なんだろう。

3日くらい連続でこのようなタフなやり取りが続いた時はさすがに病んだ。
改めて、
「なんで自分はこんな面倒なことをやろうと思っているんやろう」
とか考えた。
いつの間に自分はこんなドMな領域に足を踏み入れたのか?
考えてもわからないけど、
「もう訪問してもこれ関連は受けないぞ」とか思ってても、結局現場に行ってしまえば重い宿題が出る。
また、それを受けちゃう自分がいて。
もうこれは、収益改善うんぬんよりもよっぽど難しい課題である。
でも、なんとかしたいと思っている自分もいる。
果てしなく堂々巡りである。

「医療は専門職の集まり」
縦の壁を越えていかないと進まない。
その壁を超える為の伝家の宝刀はやはり対話
これだなとまた改めて思った9か月だった。

余談だが、さっきの外来のトラブル
あれ以降、スタッフが自分達で行動した結果、少し雪解けしたと。
外来スタッフから呼び止められて報告されたうれしそうな顔と、
部長の少しほっとした顔が印象的だった。
別に自分の功績だとか言うつもりもないが、また年明けから頑張ろうかなと。

他にはない、自分の強みはこれなんだとフルに発揮してみたい。
思いっきりこけることも厭わずに。

良いお年を

いつも読んでくださって感謝します。 医療業界のアグリゲーターになれるように頑張ります。