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マネージャーのための業務プロセス改善マニュアル

Business Process Management

そもそも業務プロセスって何でしょう?

一般化すれば、何らかの入力(インプット)を受けて、それに何らかの価値を付加して出力(アウトプット)する、その過程が業務プロセスだと言えるでしょう。

もしあなたが、ある会社のマネージャーだとしたら、部下が担当している業務が、具体的にどういう流れで、どうやって行われているかを把握しているでしょうか?
そのプロセスは、果たしてベストなものでしょうか?

はっきりYesと答えられないような場合には、業務プロセス「見える化」し、より良いプロセスを設計・実行する、そういうサイクルを回して、最適化を目指していくべきです。
このようなマネジメント手法を、BPM(Business Process Management)、あるいはBPR(Business Process Re-Engineering)といいます。

基本的な流れとしては、次のようになります。

P.現状の業務プロセスとあるべきプロセスを図にする
D.可視化したプロセスを共有した上で、実行する
C.業務を分析し、課題を抽出する
A.課題に基づいてプロセスを再設計・改善する

このようなPDCAサイクル(Plan-Do-Check-Act)を何度も回しながら、業務を改善していきます。
プロセスを可視化するときには、業務フロー図、あるいはフローチャートと呼ばれる図を描くことが多いです。

注意すべきのは、細かく描きすぎて分かりにくくならないようにすること。
あくまで「流れ」が一目で分かるようにシンプルにしながらも、しかし、改善すべき課題が見えるように工夫する必要があります。


As-Is/To-Be

ちなみに、「現状の姿」のことをAs-Isと呼ぶことがあります。
これに対し、「あるべき姿」To-Beといいます。
この2つを、メンバー全員の共通認識として描くために、しっかりと図にして「見える化」するのです。

そして、ここでもポイントがあります。
最終的に「あるべき姿」、すなわち「理想」To-Beとして追いかけてはいけないということです。
もちろん、理想を描いて、そこに向かっていくのは重要です。
しかし、1回転のPDCAサイクルだけで理想が実現するなら、こんなに簡単なことはありません。

「現状」「理想」の間には、おそらく「次に目指す姿」がいくつか挟まってきます。
つまり、「理想」ゴールとして常に見据えておきながら、「現状」「次期」というAs-Is/To-Beのセットを、何度もアップデートさせる。

そういうサイクルが、BPMで求められるPDCAになります。

DMAIC

今回は、おそらく一番皆さんに馴染みがあるであろうPDCAサイクルに当てはめて説明してみました。
どの会社にも、一人は「PDCAおじさん」がいるんじゃないでしょうか…

業務プロセス改善の場合には、PDCAではなく、DMAICという手法で説明されることも多いです。
というか、僕はこちらの方がしっくりきます。

DMAICとは、Define・Measure・Analyze・Improve・Controlの頭文字をとったもので、定義・測定・分析・改善・制御となります。
やはり、最も時間をかけるべきはDefine(定義)でしょう。
背景は?そもそも目的は?本当の課題は?現状は?ゴールは?チーム体制は?スケジュールは?
これらをきちんと可視化・言語化しないままに進めると、その後の測定や分析も、的外れなものになってしまうかもしれません。
いきなり改善案のアイディア出し大会を始めるのだけは、時間の無駄なので絶対に避けましょう。


そもそも業務プロセス改善の目的って?

さて、ここで一度、原点に戻ってみます。
そもそも、業務プロセスをより良い「仕組み」にする目的は何でしょうか?
「その方がいいから。」なんて曖昧な回答は認めません。
目的は、常にはっきりと言語化できないといけません。

大きく分けると3つあります。

①効率化
②リスクマネジメント

③再現性の担保


①効率化
効率化
するのが目的だというのは、誰もがすぐに思いつくことだと思います。つまり、時間や工数を減らし、スピードを上げるということですね。
残業時間を減らしたり、人件費を削減できたりするかもしれません。

特に、デイリーで発生する定型業務の自動化は、仕組みやシステムを見直すことで、大きな効果が得られる部分です。


リスクマネジメント
効率化と違って、効果を数値化しにくいため、どうしても見落としがちな観点です。
ここでいう「リスク」とは、属人化するリスク、手作業や目視によるミス、ブラックボックス化して管理できなくなるリスク等が考えられます。

業務改善というと、まずは業務量の多い定型業務から手を付けられることが多いのではないでしょうか。
どうしても、非定型のスポットで発生する業務は、頻繁に起こるものではないため、「仕組み化」の検討が後回しになりがちです。
そのため、特定の個人によって処理されるフローになっていることも少なくないはずです。

組織を管理するマネージャーは、どこで誰によってどうやって仕事が行われているかを、ある程度は把握しておく必要があると思います。
そのため、あらゆるタスクが、ログの残らないところで行われないような「仕組み」を作ることを考えた方がいいです。

ちなみに、タスク管理システムのAsanaは、備忘録としてのタスク管理というよりも、むしろタスクごとの進捗、ログを記録するために作られたツールです。


③再現性の担保
3つ目の目的が、再現性です。
つまり、人が変わっても出来る「仕組み」同じ成果を繰り返し上げられる「仕組み」を目指すということです。

再現性を持たせることができれば、事業の拡大や組織の改編にも、柔軟に対応することができます。
逆に、再現性のないプロセスは、たまたま上手くいっているだけで、「偶然」の上に成り立つ不安定なプロセスです。


これら3つの目的は、全て常に意識しておく必要があります。
どれかひとつの視点でも抜け落ちていれば、良い業務プロセスとは言えません。


マネージャーなら広い視野で

そして最後に、もうひとつだけ注意点。
それは、ある特定の業務プロセスだけに注力しないこと。
そのプロセスを良くしようとするあまり、他のプロセスにしわ寄せがいっていないでしょうか?
あらゆる業務は、全て繋がっています。
常に広い視野を持って、全体としての最適解を追求しましょう。


単にシステム化しよう、効率化しよう、というだけでなく、その目的が何なのかを明確にしておくことが、よい「仕組み化」を実現する第一歩になります。
スピード正確性は、決してトレードオフ(一方を追い求めれば他方を犠牲にせざるを得ないような関係)ではありません。
両方を満たす、そういう「仕組み」を考えるのが、マネージャーの重要な役割のひとつなのではないでしょうか。

やるべきことを明確に可視化・言語化し、ひとつずつ確実に改善していきましょう。

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