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35歳のワーキングホリデー

ワーキングホリデーことワーホリの知識が多少ある方は、タイトルを見て「え?」と思ったでしょう。そう、ワーホリは基本30歳までで、申請と入国のプロセスをうまく使っても32歳がギリギリ。
わたしも本当は31〜32歳時渡航予定だったのですが、感染症騒動で渡航できずひたすら延長申請を出し続け、どうにか34歳で最後の機会をつかみ、現地カナダで35歳を迎えました。限界突破、35歳のワーホリでした。

これからワーホリに行こうか考えている、いわゆる「ギリホリ世代」の方。
わたしはこのギリホリという呼び方が好きではないのですが(アラサーと同義語な感じで)、20代前半の若い方が多いのは事実です。でも、経験を積み世間や社会を知ったこの年代だからこそから出来ること、受け入れられること、そして感謝できることなど、たくさんあります。もし今年齢で迷っているのなら、むしろそれがアドバンテージになることもあると思ってください。


初めてのワーホリ(NZ)も、わたしは29〜31歳でした。周りの友達が転職、結婚、出産など人生の転機となるような頃を、南半球で学生ビザ・現地切り替えのワーホリビザ・観光ビザ…と約1年半過ごしていました。
わたしは元々昇進したい、社会的に成功したい、ステータスのある人と結婚したい…というようなタイプではなかったのですが、人生に迷いと変化が訪れるその年頃をNZで過ごしたことで、むしろ、「日本基準のスタンダードに縛られる必要はない」と強く感じるようになりました。
また、勤務先やフラットシェアで「あなたは本当にまじめによく働いてくれる」「同じワーホリでもあなたみたいな大人の方が礼儀やマナーが身についている」「他のワーホリと違って環境意識が高い」など褒められることも多く、若さや英語力だけが海外暮らしで重要視されるわけではないと実感しました。

特殊な状況でなければ雇用主も同僚もお客さんもみんな日本人ということはないので、初めての海外でのお仕事は違いに戸惑うこともあるでしょうが、知見を広げる機会として気楽に楽しめるといいですよね。
NZで最初に働いたローカル飲食店では、たまたま日本人シェフがひとりいましたが、お客さんになんとお声がけしたらいいのかわからなかったり、何度も聞き返されて自信をなくしていました(でも大半の理由は声が小さいだけだった…!)

ですが今回はネイティブのオーナー、非ネイティブ&ネイティブの同僚と働き、日本語0%の環境で、観光地ど真ん中のため世界中のお客さんを相手にしていました。職場はガヤガヤした場所なので、お客さんに聞き返されることも多々ありました。でも今はもう「周りがうるさいから仕方ないよね〜」「この聞き方すると聞き返されること多いから、別の言い方で試してみるか(オーナーの真似してみよう)」などポジティブ思考で乗り越えれるように。最初からそれが出来る人ももちろんいますが、みんながみんなそうではないです。わたしの英語力そのものがあの頃から格段に上がったわけではないですが、たくさん傷つきつらい思いもしながら、トライアンドエラーを繰り返し、経験を積み、英語環境への適応能力を身につけた年の功と自負しています(ちなみにわたしは人見知りの内向的タイプ)

しかし、中には心が折れてもう無理という人ももちろんいます。普通に日本で生まれ育った身としては、あまりにも環境が違うので適応できなくても仕方がないと思います。お仕事を辞めたり帰国を検討される方も、今は無理でも、その経験がいつかあなたを次のステップに導いてくれるかもしれません。ただし、過酷な仕事、ハラスメントなどには耐えなくていいので、そこは要注意です!!


ちなみに、難しい顔をしてメニューを眺めているお客さんも、笑顔で声をかけるとパッと笑顔になるのを見るの、とても楽しんでいました。みんなの笑顔を見るために、自分の笑顔を振りまいていたほどです。
あの頃のわたしが見たらびっくりするだろうなあ。
でも、人見知りで内向的なわたしが消えたわけではなく、根底にあるパーソナリティーそのものはおそらく変わっていません。だけど、知らない人への笑顔や会話はわたしの持っている「まじめさ」「礼儀正しさ」「環境適応力」などの強みを底上げしてくれることにも気付きました。
その結果、たった半年(働いていたのは5ヶ月間)しかいなかったプリンスエドワード島で、バスの運転手さんに「君をバス停で見かけると嬉しくなるよ」と言われたり、たくさんの人が「このままビザを取ってこの島に残りなよ!」と言ってくれるように。ワーホリ終了数週間前には、普段個人的な会話をしたことがなかったお客さんまで、「帰国しちゃうんだって?君がいなくなると困るよ」と声をかけてくれたりもしました。


元々行く気はなかったのですが、諸事情で4週間だけ語学学校に行きました。
元々ワーホリとして人気な場所ではないのもありますが、入ってびっくり、学校の8割がたが20歳前後の高校生や大学生。友達になるのに年齢は関係ないのですが、全く相容れなそうでこれはもう、英語を勉強しにきただけで友達を作るのはあきらめようか…と最初思いましたが、友達になれそうな人を見極め、自分から声をかけることで今も連絡を取り合う仲のいい友達に恵まれました。
友達に関して狭く深くpickyなのに、引っ込み思案なタイプのわたしですが、これは年齢を重ねるごとに少しずつ出来るようになってきました。声をかけられて嫌な人は少ないし、嫌な人ならそこでおしまいにしてしまえばいいだけ。
でもここでもやはり、笑顔と会話は大事と改めて感じました。笑顔は警戒していませんよ、会話はあなたに興味がありますよ、のサインを出すことで、人と近くなれるチャンスを自ら掴めるようになりました。(しかしこれ、国民性によっては難しいと実感中)



もう2ヶ月前になりますが、2023年11月、最後のワーホリは幕を閉じました。
勤務先のオーナー夫妻からは素晴らしいスタッフだった、ずっといてほしかったけど仕方ないと惜しまれ(実はオーナーとは一悶着あり一度辞めようとしていましたが、最後は丸く収まりなんやかんやでいい思い出に)、半年間一緒に暮らしたファミリーにはこのまま娘として残って欲しいくらいと悲しまれ(まるでリアル赤毛のアン!)、友達は帰国前夜に会いに来てくれ別れの熱いハグを交わし…

でもそれもこれも、わたしが29歳から35歳にかけて、異国で生き、多様な文化に触れ、涙を流すことがありながらも、それでも学び受容し続けてきたことで、みんなに愛される素晴らしい経験を得られたと感じています。
時々、まだふらふらこんなことしてていいのかな…と思うことも当然あります。だけど同時に学び続け、年齢に関係なく変化し続け、世界と繋がりを広げてゆける自分を誇りにも感じています。

あの時日本で「安定」を選んでいたら、絶対に得られなかったたくさんの見えないものたちを心に刻み、新たな歳に向けて歩んでいきます。

2ヶ月の世界ひとり旅を終えて、帰国前日、ホーチミンシティにて。



この島は絵を描く楽しさを思い出させてくれた


プリンスエドワード島で出会ったすべての人たちへ、感謝と愛を込めて。
For all the people who I met in Prince Edward Island,
many thanks and lots of love











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