マガジンのカバー画像

写真エッセイ

13
スマホやカメラで撮影した写真に込めた思い、撮影しながら感じたことを書いています。不定期で更新中。
運営しているクリエイター

記事一覧

桜が見てくれている

桜が見てくれている

わたしの仕事は、アパートやマンションの定期清掃などのメンテナンス。
担当する物件の中に、毎週一度定期清掃を実施するマンションがあります。3階建てでワンフロアに7部屋ある大きなマンションで、築後約40年経過しています。

アパートやマンションの定期清掃をして者にとって、大きなマンションの清掃はけっこうな重労働です。夏の暑い時期は特にそう。

でも、わたしにはこの現場での清掃作業は苦になりません。む

もっとみる
春の始まりを感じた朝

春の始まりを感じた朝

朝早く、まだ暗いうちに目が覚めた。時計を見るとまだ4時半。

毎年、春が巡ってくると眠りが浅くなる。自律神経が乱れ始めている証。寒暖差や気圧の変化が大きい時期に、わたしの体はすぐに外からの影響を受けてしまう。この症状に気づき始めた頃は、朝早くに覚醒して寝られなくなることが何となく怖かった。
でも今は「これが自分の体なのだ」と受け入れている。

妻も同じような体の状態のよう。少し遅れて起きてきた。

もっとみる
雪の朝

雪の朝

静まりかえっている
「シーン」という音が聞こえてきそう

見渡す限りの白い世界

家の屋根にも
車のルーフにも
足元にも

降り積もった雪だけが見えている

静寂に包まれた世界

でも
耳をすませば 聞こえてくる

見てごらん
視線の先にある鳥の足跡
そして
聞こえてくるさえずり

見てごらん
小さな肉球が残したその跡
そして
聞こえてくる 駆け足の足音

見てごらん
ずっと続いていく誰かの靴跡

もっとみる
時を止める

時を止める

写真撮影の醍醐味はたくさんある。

人それぞれ感じ方は違うと思うが、わたしにとっての写真撮影の魅力とは、「時を止める」こと。

もちろんのこと、文字通り時間を止めることは誰にもできない。
時間は何にも妨げられることなく、過去から現在、そして未来へと進んでいく。

だが、写真撮影の瞬間、撮影者は自分が見ている風景に流れる時間を切り取り、流れ続ける時間という水の流れからいわばすくいとっている。

ファ

もっとみる
水田のある風景がわたしにくれるもの

水田のある風景がわたしにくれるもの

広島県東広島市は、「酒の都」と呼ばれています。
市の中心部に位置する西条駅周辺には、酒蔵通りという名称の一角があり、長い歴史を持つ七つの蔵元が立ち並んでいます。それら蔵元では、伝統の技を用いた酒造りが今でも行われています。
また、毎年秋には「酒まつり」という日本酒にまつわるイベントも開催されています。
*一昨年、去年は、オンラインの形で行われました。

日本酒の名産地であるということは、美味しいお

もっとみる
蕾が教えてくれること

蕾が教えてくれること

昨日の夕方、散歩に出かけました。
一日中家の中で過ごした後、ひんやりした空気の中歩いていると体が温まっていきます。

天気はあいにくの曇り空。昼間は晴れていたようなのですが、午後からだんだん雲が増えてきたよう。

家の前を通っている県道沿いを車に気をつけながら進み、三叉路を曲がり池でコイを横目に見ながら、山側に上がっていきます。

上がりきる手前に、梅の木がありました。よく見ると、小さな蕾をいくつ

もっとみる