見出し画像

リカーシブル(著:米澤穂信)【バカじゃないの!現実が辛いからこそ逆に楽しい読書紹介をして笑って魅せるんじゃない!!】

米澤穂信先生が描いた青春ジュブナイルミステリー。
古典部シリーズなどとは違い、シリーズ関係ない独立長編です。

本作の主人公は女子中学生です。
そして米澤先生の作品の主人公は、
ものの本によると、男性主人公は心理的困難を抱えていて、
女性主人公は現実的困難を抱えていることが多いそうです。

リカーシブルとは、再帰性、自己参照、といった意味です。

彼女の境遇は、両親が再婚した家庭で、彼女は父親側の連れ子です。
母親側の連れ子として血のつながってない弟がいます(小学生男子)

しかし、お父さんがなにやらやらかしてしまい、行方不明になってしまいます。
母と子は、仕方なく別の土地に行きそこで母は仕事を見つけるのですが。

彼女が暮らしているのは、義理の母と弟なのです。
自分だけ血のつながりが無い場所で生きている。
いつも気を使って生きている。
ただ弟とはなんとなく、仲が良いのか悪いのか良くわからない関係にはなれたようです。
しかし歳の差があって、いまいち噛み合いません。
本人たちは仲が悪いと思っているようです。

そして彼女は、自分の側の親である父が、いつか迎えに来てくれていることを信じようとしています。
でも、いつか気づかざるを得ないことがある。
どう考えても、父はやってこないことを。

ただ転校先での交友関係は幸いに良好で、地元の名士の子と友達になったので、良からぬことを考える者はおりません。
そしてこの子が良い子なのです・・・

さてこんな感じで始まる本作は、
やはり古典部シリーズと同じで、陰惨な展開があまりありません。
(ないのか? まあ、無いといえばない)
強いて言えば、主人公の彼女の境遇に感情移入すると、すごい痛々しさを感じてしまうくらいですか。
だからこそ、主人公の行動に読者の皆さんが一喜一憂できます。
非常に読みごたえがある話でした。

ネタバレはしません。
本作はフェアプレイで作られており、
ミステリを読みなれている人なら、途中でわずかな違和感に気づけるかもしれません。
私なんかは、ページをめくり戻して「これだぁ」とかやってましたが。

そうそう。
このわずかな違和感を後ですべて回収していく。
これが、ミステリの醍醐味なんですよね。

そして終わり方もビターテイストグッドエンド。
よくミステリは、謎が解かれる快感はあっても、後味が悪すぎて読後感が非常に悪い作品が少なくありませんが、
これは読後感もさわやかです。
辛い運命を克服し、強く成長していく未来の姉と弟の姿が見えます。
これは勇気づけられませうね。(誤字ママ)

#読書感想文 #ミステリ #謎 #女子中学生 #義理の弟 #義理の母   
#ネグレクト #クラスメート #地方の闇 #怪異 #秘密の文書  
#ホラー #厳しい世界 #辛い状況 #孤立 #不信 #捨てられた  
#姉と弟 #伝説 #信条 #巫女 #希望  
#米澤穂信 #再帰性 #自己参照 #青春 #成長 #ジュブナイル  

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?