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かぶき者

年末に近所じゃないけど近所のおおきな商店街に出かける用があった。
その際、近くにある芝居小屋の宣伝で貼られていた
旅芝居・大衆演劇のポスターを見た親戚姐(以前にも書いた北斗の拳とベルセルクなこの人)が言った。
「なんか、、、これ、どうなん?」
わたしは答えた。「極めてとても〝ヤンキー的なもの〟やなあ」
親戚姐はつぶやいた。
「竹の子族とかよさこいとかそういう流れの中っていうか、それ的な?」
「そう、そんなやつ」
「あー」
「なんか、なんかそういう1ジャンルとして独自の進化と展開があっての今というか」
姐はもうそれ以上興味がないようだった。
極めて昭和すぎる商店街の中で、
ド・黄緑、赤黒メッシュ、立兵庫というにはそれより分度器2個頭に挿してるみたいの、
な鬘をかぶった人たちがキメ顔勢揃いでこちらを見ているポスターは、やはり、異様だった。
 
昨年古書店でみつけた1冊が手元にある。
『世界が土曜の夜の夢なら』
著者は精神病理学を研究する精神科医。サブタイトルは「ヤンキーと精神分析」。

2012年に出版されたのでちょっと古いのだが、
話題を集めたものなので、ご存じの方も多いかもしれない。
わたしは今更知って年末とある日に一気読みをした。上記の会話は、その後だ。
 
ミュージシャン、漫画、映画などサブカルを通じ、サブタイトルのそれが分析される。
 
横浜銀蠅、X-JAPAN、エグザイル、浜崎あゆみ、ワンピース、橋下徹、相田みつを、木村拓哉、金八先生。
 
ページをめくりながら、何度もつぶやいた。
 
「大衆演劇や」
 
地方。家族。血。標語(漢字的スローガン)。魂。いろんな〝憧れ〟
 
仲間、絆、反知性主義、感情主義、行動主義、気合い。
 
いいとか悪いとか好きとか嫌いでない。
肯定や賞賛するのでもない。が、茶化したりディスっているのでもない。
ただ、ただ、わたしがずっと思って言ってきた「旅芝居・大衆演劇とヤンキーイズム」が語られているように感じた。
大衆演劇そのものは出てこない。
出てこないけれど、長年わたしが言っていることの答え合わせ的な何かがカチッとハマった気がした。
なんだかいちいち腑に落ちた。ずっと思ってきたものが、ことが、ぴたっときた。
 
そんな年末、年末の風物詩みたいなテレビ番組をも、目にした。
 
SASUKEだ。
 
御存じだろうか。ご存じだろう。大人の本気のアスレチックみたいなあれだ。
TBSがお届けする筋肉版死なないデスゲームアスレチックみたいなあれだ。
馬鹿にしてはいけない。なんと2028からはオリンピック競技にまでなるのだから。
 
なぜか観てしまう。
 
なんか、なんかさ、すごいんだもの。
 
難関を攻略しようとすること。その同じ志を持つ仲間との絆。
すべては年に一度の〝祭〟のために。あの祭りの地、決戦の場所、TBS緑山スタジオへ。
年齢や肉体の老いからリタイアや、でもまた挑戦を続ける人。
軍団を作る人。レジェンド的な人に憧れてここに来た人集う皆。謎の師弟関係。
「人生捧げてます」涙。友情。え、親子で継承すら。努力。運命。絆。涙。
マッチョやホモソーシャルとかもうそんな言葉じゃあらわせないそれ超えてる。
何。SASUKEオールスターズって。なんかすごい。こわい。おもい。すごい。
 
別に観なくてもこちらの人生にはなんの影響もないし、むしろ年末にこの番組をフルでみるなんてたぶん時間の無駄かもしれない。
というかいろいろなんかお腹いっぱい過ぎるし面倒臭かったりしんどいなと思わされることもあるというか気付きだした。
むかしは笑いながら観てたり、時にちょっとほろっとしたりもしたが、なくなった。
で、この何年も観ていなかった。
が、たまたま今年目にしたら、観てしまって、でも昔みたいにいちいち物語に感動するのとかじゃなく、仕事したり用事したり途中テレビきったりだったのだけれど、やっぱりつぶやいてしまった。
 
「大衆演劇や」
 
いいとかわるいとか好きとか嫌いとかではない。
肯定もしない(真顔)が否定もしない。
でも芸術ではきっとないとわたしは思っていて日本文化芸術なそれではないと思っているしそれにはならへんなられへんしならへんなられへんうちの理由には「見直さないといけないこと」「例え無理かもしれなくても考え変えていかなくてはならないこと」もある、あって、「大衆やからええやん」「大衆やからしゃあないやん」は麻痺でそれではあかんことで、「娯楽やから、楽しみやからええやん」も違うし、「きれいなものだけをみます」「きれいなところだけなんとかかんとか」はわたしは違うと思っていて、で、でも、その上で、この反骨と反発心とケとハレとで独自独特へんてこな進化をしてきて今に至り時代と生きている芸能ジャンル、「生きていくこと」の舞台は、好きかと言われたら今はっきりと「好きとはいえない」と言うけれど、たいへん興味深いものだな、舞台ジャンルだな、と思う。
 
あなたの血が呼ぶ〝ヤンキー的なもの〟。
 
誰かには、誰もに時には、
大きな言い方をすると、今にほんには、
〝ヤンキー的なもの〟(の中のいい意味のもの)が必要なんじゃないか、と思うことやときも、時として、あるやろうしね。こんな時代だからこそね。


なんかいろいろ軽いものも書きたいものもネタはあるのですが、年末から書きかけて放っていた謎のこの話を先にアップ。笑。
 

旅芝居・大衆演劇の劇場初めってか観劇初めは月末なりそう、かな。行ければ、ですが。
昨年の記事を読んだ方から「おっ」な公演情報を教えていただきまして。
 

私的大衆演劇ヤンキー文化論な過去記事たち。
(これ以外にももっとある笑)

ヤンキー話じゃないけれどこれも。

noteの旅芝居記事まとめたマガジンもなんやかんや言うて結構たまりました。
お付き合いいただけ、うれしいです。

◆◆
【略歴や自己紹介など】

構成作家/ライター/エッセイスト、
Momoこと中村桃子(桃花舞台)と申します。

旅芝居(大衆演劇)や、
今はストリップ🦋♥とストリップ劇場に魅了される物書きです。

普段はラジオ番組構成や資料やCM書き、
各種文章やキャッチコピーなど、やっています。

劇場が好き。人間に興味が尽きません。

舞台鑑賞(歌舞伎、ミュージカル、新感線、小劇場、演芸、プロレス)と、
学生時代の劇団活動(作・演出/制作/役者)、
本を読むことと書くことで生きてきました。

某劇団の音楽監督、
亡き関西の喜劇作家、
大阪を愛するエッセイストに師事し、
大阪の制作会社兼広告代理店勤務を経て、フリー。

lifeworkたる原稿企画(書籍化)2本を進め中。
その顔見世と筋トレを兼ねての1日1色々note「桃花舞台」を更新中。
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詳しいプロフィールや経歴やご挨拶は以下のBlogのトップページから。
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Webマガジン「Stay Salty」Vol.33巻頭に自己紹介エッセイを寄稿しました。

12月Vol.34からは不定期コラムコーナー「DAYS」も書かせていただいています。

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酒場話「心はだか、ぴったんこ」(現在19話)と
大事な場所の話「Home」(現在、番外編を入れて4話)。

noteは「ほぼ1日1エッセイ」、6つのマガジンにわけてまとめています。

旅芝居・大衆演劇関係では各種ライティング業をずっとやってきました。
文、キャッチコピー、映像などの企画・構成、各種文、台本、
役者絡みの代筆から、DVDパッケージのキャッチコピーや文。
担当していたDVD付マガジン『演劇の友』は休刊ですが、
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