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百瀬七海
2019年7月28日 07:27
柔らかな日差しが入り込む窓辺。まだ朝早いというのに、いつもとは違う場所にいる違和感からなのか、アラームの音が鳴るよりもだいぶ前に、目覚めてしまった。ふと隣を見ると、幸せそうに眠る佑美がいる。彼女の柔らかい髪の毛にそっと触れると、佑美は一瞬だけ目を開けた後、少し笑顔になって俺の胸に顔を埋めてきた。一昨日から来ているモルディブへの旅行。水上コテージから観る景色は、「美しい」という言葉だけ
2019年7月26日 00:43
ジリジリと、肌に突き刺すような太陽の光。始まったばかりの夏に、少しウンザリとしながら、私は空を見上げた。曇りや雨ばかりだった梅雨時には、恋しくて仕方なかったはずなのに、汗ばむ気温に太陽の存在が恨めしくなる。夏休みくらい、もう少し休ませてくれたっていいのに。そう思いながらやってきた電車に乗り込むと、スマホにメッセージが届いた。平日とはいえ、通勤のピーク時間帯ではないこともあり、電車の
2019年7月24日 23:19
「高野くん」文化祭の仕事で、ひとりきりでいた放送室。そこにノックと共に入ってきたのは、先週東京の高校から転校してきたばかりの女子、柏木だった。残り半年もない高校生活。三年生というこの時期に転校してくるなんてかなり珍しい。周囲の女子たちは、初日こそ柏木の周りに集まっていたけれど、当の柏木はそんな女子たちにはまるで無関心だった。かといって、男子たちが柏木の周りに集まってきても、柏木は女