読書記録71 10月の本まとめ

だいぶ秋だなと思ったら、もう11月でびっくりしています。夏、長すぎでは?

読書の秋ということで、たくさん読めたかというとそうでもないですが、「忙しい」と「ムダな時間」について色々考えました。

1. 『声が通らない!』(2020)新保信長

居酒屋で最近大きな声を出せるようになったものの、ずっと店員さんに気づいてもらえなくてドキドキしていた。同じく声が通らないお悩みを抱える新保さんが、声に関するHOWTO本やボイトレ、いい声の人へのインタビューをしてまとめた本。声を通るようにしようと決意したら同じ道を通るかもしれない、と興味深く読んだ。ちなみに、アメトーーク情報だが店員さんを呼ぶには鼻にかかったちょい濁声で「ずいまぜーん」みたく言えば良いことを学んで、以来実践している。

2. 『黄金比の縁』(2023)石田夏穂

就活に疲れてきたのでホッと一息(?)
人事採用の全部が全部こんなだったらどうしようと拍子抜けしちゃう感じだが、裏側を見てるようで面白い。ちょっとの面談で人間が分かるわけはないし、その人が会社に利益をもたらしてくれるか判断するのは至難の業なんだろうなと。なんとなく、でもいいから「縁」がある会社でなんとかやっていきたい所存。

3. 『無印良女』(1986)群ようこ

群ようこの周りのちょっとヘンテコな人々のおもしろ話が詰まっている。お母さん、おばあさん、弟、親友などなどそれらの人々を観察する群ようこのふざけた目線が良い。こういうふうなスタンスで愉快にわっはっはと生きていきたいなと思ったり。

4. 『昨日のパスタ』(2023)小川糸

感想を書かないまま時が過ぎてしまった。丁寧にご飯を作りたくなった記憶。

5. 『フーガはユーガ』(2018)伊坂幸太郎

虐待の描写に気持ち悪くなってしまった。読書好きの人が好きだと言っていたので読んでみたが、トラウマになりそう。1作だけで判断してはいけないと思うので、ちょっと内容を見てからもう1冊くらい読んでみようと思う。

6. 『わかりやすさの罪』(2020)武田砂鉄

考えることを雑に終わらせてはいけない、みんなの意見だからと納得・安心するのではなく、自分の中に自分を持ってしっかり考えよう、と思える本。だけど社会問題に関してこんなに考えていなくて、武田さんのようになればいいわけではもちろんないのだけど、なかなか難しいなと。ただ、たまに自分の中で生まれるモヤモヤや蟠りは多分考えるための「芽」だろうから、それを言葉にしてみるのは考える一歩なのかもしれない。武田さんのTBSラジオのゲストが私の好きな人が多くて、新たな聴きたい番組を発見できた。

7. 『スターにはなれませんでしたが』(2023)佐藤満春

3人目のオードリー、サトミツさんの自叙伝。若林との長年の付き合いから、文章の中でも若林の話が多くてホクホク。「才能はないけど真面目にしか生きていけない誰かのために」書かれた本で、すごく勇気が持てた。
私が好きな番組の裏側にサトミツさんが関わっていて、重宝されていることに他人事ながら嬉しい。目の前のことに一生懸命なサトミツさんを見習って就活、その後のお仕事も頑張ろう。しかし、東京ドーム最速先行当たらなかった!!!!!2次先行頼みます!!!!!

8. 『機嫌のデザイン』(2023)秋田道夫

5月くらいの路頭に迷っていた時期に、バイトの面接前に立ち寄った本屋で見つけた本。悩んでいたことに答えてくれた気がして、全部読みたいと図書館で予約した。結構人気で、ようやく10月に順番が回ってきて読めた。すると今の自分には全然響いてこなくて驚いてしまった。数ヶ月で気の持ち用が変わったらしい。5月の頃は就活始めたばかりで不安でいっぱいだったので、数ヶ月で変わっていいことのように思える。

9. 『スローイズビューティフル』(2001)辻信一

急げ急げ、早く早くと忙しない。就活も、映画も、はたまた人生も、全てがスピード、効率、意味を求めているのが息苦しい。そんな時に読んでホッと一息つける本。将来のために現在を犠牲にしていると、いつまでも犠牲が続いてしまうというのは別の本で読んで(多分『暇と退屈の倫理学』)確かにそうだなあと思った記憶がある。しかし、現在を未来の準備のために使う癖はなかなか抜けないと、現代病の根深さに恐ろしくなる。私にとって、読書だけがそれ自体のためになしていることだ。

10. 『サキの忘れ物』(2023)津村記久子

不思議な雰囲気を纏った短編集。地上から3.5cmくらい浮いたまま生きているみたいな感じ。「行列」や「河川敷のガゼル」など、現実にありそうでなさそうな変な空気が短編内に充満している。現実逃避したい時に読むといいかもしれない。

11. 『人が集まる場所をつくる』(2019)国分裕生

人が集まる場所をつくるには地方にプチ東京をつくるのではなく、地域固有の資源を生かさないとダメよねーという内容。激しく同意するが、どのように地域資源を見つけ、地域固有の価値に昇華してアピールするのかという肝心な部分は書かれていないように思えた(事例紹介をちゃんと読んでいないのでそこに書かれていたのかもしれない)。ビジネスの核だから公表しないのは当たり前か。

12. 『ナマケモノ教授のムダのてつがく』(2023)辻信一

「役に立つ」が良いことだという功利主義のマインドセットは知らないうちに私たちのデフォルトになっている。そんな功利主義への挑戦である本書は、一貫してムダを愛し、一歩引いて「役に立つ」という見方を疑う。決して「こうすればスローライフが実現できるよ」とか「こういう生き方がおすすめ」とか短絡的なことは言わず、淡々と「ムダ」にまつわるあれこれを教えてくれる。

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