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昔の歌謡曲から日本の文化を考える

こんにちは。

 皆さんは『東京大衆歌謡楽団』というバンドをご存知ですか。
戦前/戦直後によく歌われていた歌謡曲を主に演奏されていて、定期的に全国で講演されているようです。彼らの風貌、歌い方や使用している楽器など、昭和の初期から20年、30年代にタイムスリップしたかのような不思議な感覚になり一瞬でファンになりました。

ただ、彼らの演奏や唄が素晴らしいだけでなく、私たち日本人が忘れてしまっている、懐かしく、心地よい感覚を思い起こさせてくれる所も魅力的です。

それは、私が海外にいるからその忘れてしまった「何か」を思い起こさせるもの、というよりかは、私が小さかった時にはもう日本では薄れてしまっていた「何か」を目撃したような気がするのです。例えるなら、キリスト教をモチーフにしたものでないと絵画として認められなかった時代、画家たちが日本の浮世絵を見て、美しいと自分が感じるままに絵が描ける自由を得た時のような衝撃を受けたのです。

 海外の方から見た日本人のイメージは、だいたい
礼儀正しい。
まじめで勤勉である。
素直である。
などが挙げられると思いますが、実際海外で生活してみると、ただ廃れてしまった海外の人が抱いているこれらのイメージだけが一人歩きしている、という感覚に陥るのです。
実際私も周りの人の行動や言動に流され、ステレオタイプ的に「日本人は〜」と言われるのが嫌で適当に受け答えしたり、時に日本の事を悪くいうこともありました。

それはある意味、日本を一歩出た私は自己を失ってしまったがために「異邦人」になってしまったと言っても良いくらいです。しかしながら原因は日本人である誇りや日本で平和に生活できたことへの感謝を忘れ、それを表現する事が逆に恥ずかしい事、悪い事だと思い込んでいた事があります。そして日本で生活していた時から、目新しい、海外からの文化を優先し、歴史についても深く知ろうとしていなかった、と改めて感じます。

 日本には日本の行事はあるのは知っている、けれどもバレンタイン、ハロウィーン、クリスマスの方が新しくて、何だか楽しいから「お祝い」している人の方が多く、今では国民行事になっているような気がします。
お正月、節分、ひな祭り、端午の節句。。。敢えていうと新嘗祭など、日本には素晴らしい行事がありますが、実際に手間暇かけて同じ時間をおかけて「お祝い」している日本国民はどのくらいいるでしょうか?

そんな時代に、ヒット曲を狙うためだけに作られる大量生産的な音楽に慣れてしまっている私に取って、戦前/戦後の歌謡曲を通じて、美しいものを美しいと歌い、春を目出、愛しい人、父母、兄弟/姉妹を想う気持ちを純粋に表現していることに新鮮さと自由さを感じました。

 そして、そんな当時の歌を素晴らしい歌唱力で歌い、演奏される『東京大衆歌謡楽団』をみて、観客の皆さんは投げ銭をしに行くのですが、唄の幸太郎さんは一人一人に向かって深々と頭を下げられる。また時に、バンドに向かって拝んでいく観客の姿も見る事ができます。恐らく年齢からすると親世代が楽しんだ歌だと思われますが、それら自由に表現された歌を通じて、親を思い、また私の様に新しい感覚を持ち、そして優しい気持ちになって感謝する。

感謝の気持ちはお互いの心を和ませ、幸せを感じられるものだと思いました。それは古来から受け継がれてきた日本の文化であると確信しています。





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