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〈読書記録〉2024年1月

今年は、月ごとに読んだ本を振り返れたらと思っています。(なぜなら1年ごとだと、だいぶ内容を忘れてしまうから!)
感想や紹介をじっくりとはいかないけれど、振り返ってみて書きたいことを書いていきますね。

小説
「ナイルパーチの女子会」柚木麻子
「求めよ、さらば」奥田亜希子

エッセイ/その他
「コンプレックス・プリズム」最果タヒ
「BLANK PAGE」内田也哉子
「兄の終い」村井理子

漫画
「雨がしないこと(上/下)」オカヤヅミ

「ナイルパーチの女子会」柚木麻子

12月に柚月麻子さんの「BUTTER」を読んでその世界に浸り、ドラマ化もされている「ナイルパーチの女子会」を読みました。内容としては、BUTTERとも共通する、女性同士の気持ちの絡み合い・ねじれ合いがストーリーの主軸にあって、こわおもしろいです。並行して、Netflixでドラマも3話くらいまで観てみましたが、どちらもちょっと苦しくなって、本はどうにか読み終えたもののドラマは観るのを辞めました。BUTTER、すごかったなあ。

「求めよ、さらば」奥田亜希子

作者も初めて知る方で、ただ表紙と帯につられて読んでみた「求めよ、さらば」。ページ数は単行本にしては少し少なめで、勢いで読んでしまうストーリーなので2日で読み終えました。34歳のとある夫婦のお話で、不妊治療を通してお互いの気持ちがすれ違ったか、と思いきや、そうではい。主体が妻、夫、それぞれを行き来しながら、また(気持ちのすれ違いの末)夫が失踪した現在と、2人が出会った学生時代の頃を時間も行き来しながら進んでいく。好きになるって、なんだろうね。夫婦になるって。そんなことをぼんやりいろいろと考える1冊でした。

「コンプレックス・プリズム」最果タヒ

ぶん殴られた気持ちです。冒頭、「私は私を天才だと思っていた時期がある」という内容に、さっそく胸をえぐられ、これは読まねばならない1冊だと自分が運営する本の店で購入しました。いうまでもなく、私も私を天才だと長らく思っていて、今でも思っている節があり、天才でないことに気づかれまいと必死になり、どうにか繕って見せようとしていたことがあったという自覚があるからです。ああ、コンプレックス・プリズム。マジで。
詩人・最果タヒさんのエッセイ集です。決して分かりやすくはないのだけれど、堂々と真っ直ぐに殴り倒されていく感じが、むしろ快感を覚える一冊。また読みます。

「BLANK PAGE」内田也哉子

樹木希林さん・内田裕也さんの一人娘である、内田也哉子さん。独創的かつ破滅的な、なんとも大きすぎる2人のもとに育った也哉子さんが、その存在を亡くし大きな空っぽを胸に抱えて、今会いたい人に会いにいく。一対一で。その中で感じ取ったことを記した一冊。会いにいく人には、キョンキョン、坂本龍一、是枝裕和監督、谷川俊太郎など、魅力的な人たちばかり。どこか、この世のものではない、見えないものを見ているような、美しくて寂しくて強い、そんな也哉子さんの文章が贅沢な一冊です。

「兄の終い」村井理子

兄が、死んだ。そこから始まる、5日間のルポのようなエッセイです。生きている間、幸せの絶頂から経済的に破綻し、離婚、息子一人を育てながらも、貧困から抜け出せず、家族の信頼も失って、連絡さえも途絶えていたような村井さんの兄と、村井さんの関係。そのお兄さんが急死し、(ご自宅で倒れ警察署に預けられていたため)遺体の引き取りや、葬儀社との調整、汚れた家の片付けに処分、遺された小学生の息子さんが離婚した元妻(実の母)と暮らせるようにするための準備や手続きのサポートまで、迫り狂うやらねばならないことと戦いながら、亡くなった兄を知っていく。永遠に、わからないし、もう知ることのできないことの方が多い中で。出来事しては重いですが、村井さんと、ともにこの出来事に向き合った元妻さん二人の立ち向かい方に、カラッとした気持ちよささえ感じます。

「雨がしないこと(上/下)」オカヤイヅミ

オカヤイヅミさんの「ものするひと」は全巻揃えて持っていて、新作が出たと知りポチってしまいました。花山雨という一人の女性の周辺にいる人物たちの、群像劇のような展開です。雨さんは、恋愛をしない人。恋愛という感情を持っていない、そんな人。そんな雨さんの周りには、恋愛に悩んだり、溺れかけていたり、猛突進していたり、する人がいる。それぞれに、雨さんという人物と過ごす一瞬を持ちながら、生きている。幼馴染、上司、後輩、友達の元カレ、父と離婚した母…それぞれに。じんわりと、何と言葉に表せない気持ちを、一つ一つ確認していくような、花山雨とその周りの世界です。オカヤイヅミさんはイラストもいいんですよねえ。私も雨さんと友達になって、お家に遊びにいきたい。

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