ダイナー/平山夢明

https://www.poplar.co.jp/book/search/result/archive/8000584.html

読了日2019/7/8
映画化で話題の一冊。
殺される運命から助けだされた先は、殺し屋の集うダイナーでのウエイトレスだった。地獄から昇って天国を目指したつもりがまだ地獄。
そんなところで殺し屋を見続けた主人公、カナコはたぶん、生きる方法を見つけた。生きたい理由も見つけた。自分の足下には自分のために犠牲になってくれた存在が無数に存在する。そのことに気づいたから。これは現代人が忘れきっている大事なこと。だから舞台もダイナー、食事をするところなんだろう。「命をいただく」から「いただきます」の意味を忘れ過ぎている人がなんと多くなったことか。お前は無数の犠牲の上に立って生かされているのだから生きなくてはならないのだ。生きたいなんて望んでない、生まれてきたくなかったなんて反論はナンセンス。犠牲の上に立っている時点で私たちは生きなくてはならないのに、私たちはカナコのように世を斜にかまえて知ったつもりで生きている。そんなのは、死んでいった殺し屋とこれまで人に食べられてきたすべての命に対して失礼極まりない。私たちは生きなくてはならない。


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