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8月13日は「国際左利きの日」

7月下旬の週末、いつものように生協のチラシを見ていた私。
8月13日の国際左利きデーに向けて、左利き用の道具が特集されていた。
鎌からはさみ、包丁にピーラーが並ぶ。
へえ、左利き用のグッズ、こんなに増えているんだ。
左利きの私、心躍る。早速購入しようと商品番号を記入する。

「左利きの日は、左利きの生活環境の向上に向けた記念日である。1992年8月13日、イギリスにある「Left-Handers Club」により、右利き用だけでない誰もが安全に使える道具を各種メーカーに対して呼びかけることを目的に提唱・制定された。同日は提唱者の誕生日である。
日本では2月10日が「0210」を英語で「左」を意味する「レフト」と読めることから2月10日を「左利きの日」あるいは「左利きグッズの日」としている。これには8月13日が盆時期である為、日本に於いては記念活動等が困難である事が理由とされている。」

Wikipediaより

小さい頃に私を右利きに矯正しようとした親。
ところが一つ下の妹も左利きで生まれてきた。
親の見ていないところで彼女がコソコソと左手を使っているのがばれ、親は「この子たちの心がゆがんでしまう」と思い、矯正をあきらめたらしい。

左利きあるあるなんだろうけれど、私は生まれてからこれまで、状況に合わせて右手・左手使いやすい方を使ってきた。
私は書字や箸は左手、はさみは右手(近くに右利き用はさみしかなかったから)だ。
包丁は切ったり刻んだりが左手、皮をむくときは右手を使う。
ボールは左投げ、右打ちだ。
診察室で患者さんの足の爪を切っていた時、看護師から「両手で爪切れるんですね」と驚かれたこともある。
マウスは基本的に左手だが、右利きの人とパソコンを共有するため右手でも使用できる。
とっさの握手では左手がつい出てしまう。(そして相手を困らせる)

左利きの人は自分を器用とは思わないが、左手をあまり使わない右利きの人たちからは器用に見えるらしい。
左利きの人は、右利き用に整えられた世界で不便を感じることが多いが、怒りや不満の声を上げることもなく、仕方ないと受容し生活している。
最近気づいたのだが、カメラのシャッターボタンも右側だ。写真を撮るのに何となく違和感があったのはこれかと、50近くになって初めて気づく。
スマホのシャッターボタンは真ん中なので押しやすい。

私の愛機。右利き仕様。

外食に行っても、右利き用に箸やカトラリーが置かれている。
まれに私の利き手に気づき、左利き用に置きなおしてくれるスタッフさんがいたりすると、心舞い上がり惚れそうになる。

人口の10%が左利きらしい。
以前のように右利きに矯正される人は減り、街や職場で左利きの人に出会うことも増えた。
同じ左利きの彼らに出会うと「ちょっぴり苦労している同士」と静かな連帯感が生まれる。
ある意味、左利きはマイノリティなんだろうな。

生協で購入したものが届いた。

今回チラシを見て買ったレードル。
正直独り暮らしの私にはいらないと思いつつ、左利き用が存在することがあまりに嬉しく衝動買いした。
旅行先の朝食バイキングで、左利きが苦労すること。
それはお味噌汁などの汁物を注ぐレードルが右利き用であるということ。
盛られた大皿に添えられるとりわけ用スプーンやトングがすべて右に置かれているのは何とか対応するが、汁物だけはうまく注げない。
手前から奥に向かって傾け注ぐと、たいていこぼす。
旅行にこのレードル、持っていこうかしら。

購入したカレースプーンは、すくいやすさを追求した形。
今まで右利きの人はこんなにすくいやすいスプーンを使っていたのか。
50歳近くになって初めて快適さを知った。
これからは私もカレーが食べやすくなる。
カッターは、刃を折るときに苦労していた。これからは大丈夫だ。

右利きが暮らしやすいように徹底的に整えられた日本。
左利きは否応なく両手を使い、両脳を使わざるを得ない環境に置かれている。
人口の1割しかいない左利きが配慮される時代は来るのかな。
右手(左脳)しか使わなくて良い環境ではなく、左手もある程度使わないといけない状況を残しておけば、右利きの人も左手を使うことで右脳に刺激を入れることができるのにな。
街を歩きながらそんなことを考えている。