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【働き方改革】教員の持ち出し(自腹)教材について

大学院の教科書を読み始めて数日経ちました。400ページ近い本ですが、「一度読み終える」ということを目指しています。10回読めば頭に入るかな?こんにちは。特別支援学級教員13年目のMr.チキンです。
今日は教員の持ち出し(自腹)教材についてお話をします。

教員の持ち出し教材について

できるだけこのnoteでは、ポジティブな話をしたのですが、
まずは現状を知っていただきたいため、下の記事を見ていただきたいと思います。

上記記事から引用させていただきますと

A:行事や部活だけじゃなくて、授業で使う教材も教員の持ち出しだったり。
B:そうそう。最近はデジタル教材を使った授業が求められていて、「やってほしい」と言われるのだけど、機材がない
 だから、自腹で数万円のプロジェクターを買って授業に使ったことがあるよ。自分で言うのもアレだけど、生徒からの反応は良かった。そういうことをする先生が他にいないし、黒板と違ってボタンで切り替わるからテンポもいいし。

「学校はタダ」だと思う保護者、その裏側で自腹を切る先生 現役中学教員に聞く「労働時間だけではない教育現場のブラックさ」より

ということが、かなりの頻度であります。
つまり、学校の予算ではなく、教員が自腹で教材を購入し使うことを言います。
記事では数万円のプロジェクターですが、細かいところで言うと

  • 子どもに小さなものを持ち帰らせるための袋

  • 両面に色がついている折り紙

  • ご褒美シール・スタンプ

  • 学級で使うゴミ袋

  • 自立活動で使うSSTの絵カード

  • iPadなどのタブレット端末

  • 授業で使うトランポリン

などなど、教員の持ち出しで購入している物は多数あります

教員の持ち出し教材は何が良くないか

では、教員の持ち出し教材は何か問題があるのでしょうか。
それで学級が上手く回るのならばよいのではないか?
という考えもあるかもしれません。
私は大きく分けて以下の4点が問題だと考えます。

①責任の所在が不明瞭になる

少し話は変わりますが、上記の記事が参考になるかと思われます。
上の記事は、体育の授業にて、走り高跳びの練習器具を園芸用の棒で自作したところ、小6男児が失明したという痛ましい事故について書かれています。
このように、正規の購入規定から逸脱した教材は、責任の所在が不明瞭になり、教員側が責任をもつ可能性が高まります
本来、教材は学校が責任をもって購入し、管理する義務があります。(民法第715条などによる)

②公私混同してしまう

例えば、タブレット端末を私費で購入し、教材で使ったとします。
私費で購入したものですから、プライベートで扱うことも考えられるでしょう。
そこに個人情報を入れ、流出させてしまった場合、失ってしまう信頼の程度は計り知れません
最初のうちは管理するでしょうが、私費のものは管理が甘くなります。
一方で経費で購入したものに関しては、基本的に管理者がいるため、危険性は低くなります。
また、感情面でもマイナス面があります

これだけやっているのに、効果が出ない・・・

という感情が指導にプラスにはたらくとは思えません

③モノの管理が雑になる

②と重なる面もありますが、モノの管理が雑になるという面もあります。
私費で購入している物は学校にたまっていく傾向にあります。
経費で購入している物は経年によって買い替えなどがありますが、
私費で購入している物はその限りではありません。
また、転勤の際に置いていく方もいます。
処分できずに学校に置き去りにされている物品の山を見たことのある教員の方もいるのではないでしょうか。

④教員の職責の範囲を超える

なによりも、教員の職責の範囲を超えています。
教員も仕事ですので、お金を稼ぐのも重要な目的の一つです。
お給料から持ち出しの代金を出すのは、いくら責任感からくるものでも行ってはいけないことでしょう。

教員の持ち出し教材はなぜ起きるのか

①責任感

教員になると分かることなのですが、子どもの前に立つと「この子たちに、より分かりやすく伝えるにはどうすれば良いか?」や「貧困家庭の子たちにも平等に権利を与えなくては」などの責任感が湧き出ます。
それ自体は悪くないことなのですが、その結果として持ち出しの教材が増えることもあります。

②多忙感

多忙感も持ち出しを増やす要因の一つです。
学校予算から教材を購入してもらうには、管理職や事務官との調整等、手続きが必要です。
その手間を考えると、自分で購入してしまった方が早いという考えがあります。

③必要感(≒計画性の無さ)

手続きをしていると間に合わないこともあります。

この教材は明日すぐにほしい!

ことがあります。計画の無さとも近いのですが、
さらに言うと多忙感とも近いものがあります。
手続きの関係ですぐに手に入らないとき、教員は持ち出しで教材を準備します。

④自信の無さ

自信の無さというのも持ち出しを増やす要因です。

自分のこんな教材で学校の予算を使ってよいのだろうか?

という考えもあります。
特に高価な教材の場合はこの傾向が強まります。
つまり、持ち出し額も高くなります。

⑤同調圧力

他の先生も自分で購入しているし、私も自分のお金で買わなくてはいけない。

学校の中で持ち出しが多いと、その行為は連鎖していきます。
なかなか「人は人、私は私」というのは難しいものです。

教員の持ち出し教材を無くすために取り組んでいること

私も昔は持ち出しで教材を購入していました。
しかし、学級の主任を任されるようになってから、
同僚たちが持ち出しで教材を準備していることが申し訳なくてしかたがなくなりました。
そこで、次のような簡単なシートを作りました。

これらを定期的に回覧し、必要物品をまとめます。
その後、事務官と話し合いをします。(担当者を決めておきます。)
その際には、今後の学習の計画と照らし合わせるように伝えます。
組織的に購入することで、「多忙感」や「自信の無さ」は幾分か軽減されているようでした。
何よりも、「学校の予算で買っても良いのだ」という機運が高まり、「他の先生も自分で買ってるし・・・」という同調圧力が低下したのは大きな効果だったと思います。

めざせ!持ち出しゼロ!

もちろん、なんでもかんでも学校予算で買うことはできません。
話し合いや調整の上で、有限な予算を効果的に使うことが大切だと考えています。
持ち出しで教材を準備するのはドーピングのようなもので、なかなか抜け出せないのも現状です。
工夫をして、持ち出しをゼロにしたいですね。
では、またね~!

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