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『いきあたりバッタリ東京都内シルバーパスの旅』を書き終えて

 一昨日(4月12日)、『いきあたりバッタリ東京都内シルバーパスの旅』というKindle Direct Publishing(KDP)の新刊を上梓した。70歳以上の東京都民は、東京都内を発着する都営交通と民営バスの乗車料金が無料になる「東京都シルバーパス」が持てる(要申請)。
 このパスを使って、テレビ東京で放映されていた『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』よろしく、無料であちこち出かけた体験をまとめたエッセイが、この電子書籍である。
 サブタイトルは「東京都民&70歳以上限定?」というもので、読者対象は限定されている。そのうえでKindleオリジナルの電子書籍とあれば、買ってくれる人などいないのではないか?
 著者もそう考えている。地域限定、年齢限定ということで、どう見ても出版社を通した出版企画には通りにくい。だからこそのKDPだともいえる。
 ただし、地域は東京都、年齢は70歳以上ということで、マーケット的には小さいとはいえないかもしれない。
 現在の東京都における老年人口(65歳以上)は、3,143,662人。人口総数(13,794,933人)に占める割合は22.79%とのこと(※)。
 65歳以上なら、シルバーパス取得予備軍といえそうだ。その人口が300万人以上もいるのなら、高齢者をターゲットにした紙の出版物でも、採算が取れる可能性は高い。それが証拠に、東京都内の一部地域や都内在住の高齢者を対象にした書籍や雑誌、ムックは多数刊行されている。
 マーケットはあるし、「シルバーパスを使った路線バスの旅」という企画の需要もあることだろう。ただし、それでも出版社からの出版はむずかしい。その理由は、著者の私にネームバリューがないからである。
 マンガ家としてのネームバリューはあるかもしれないが、その名前が通用するのは現在50歳前後の「団塊ジュニア」世代。昨年は、この世代を対象にした『コミカライズ魂』という本を河出新書で刊行できた。
 とはいえ、シルバーパス保有者や保有候補者が対象となれば、知名度はゼロにちかい。出版社経由では、とても本にはできないだろう。だからこそのセルフ出版というわけである。
 2年ほど前から、他の仕事の合間を縫って、KDPで7冊の電子書籍を出した。絶版になった小説や実用書をKDPで再刊したものが4冊、書き下ろしが3冊である。
 書き下ろしは、出版社からの出版はむずかしいが、自分で書いてみたかったものばかり。思いついて、すぐに書き出している、
 最初に出した『単身赴任の京都〈B級〉暮らし‐ マンガ家教授の古都体験』は、8年間の京都での単身赴任体験をまとめたもの。京都市内の大学勤務が定年で最後となる2020年、コロナ禍に襲われ授業がオンラインになり、引き籠もる結果になった。
 その引き籠もり期間中に、描き下ろしのマンガ版プログラミング入門書『こんにちはPython』(日経BP社)を描き下ろし、その合間に、『単身赴任の京都〈B級〉暮らし』を書き下ろした。食後の休憩時間や電車・バスの乗車中、カフェでの休憩中にノートパソコンを開いて書きためたものだ。
 この『いきあたりバッタリ東京都内シルバーパスの旅』も、実は、原稿の大半をバスの座席と乗り換え時間に立ち寄ったカフェで書いている。自宅で書いたのは、ほんの一部だ。乗車中にリアルタイムで車窓の様子を書いたところも多い。
(ちなみに、河出新書の『コミカライズ魂』も、コロナ禍になる前、通勤の地下鉄車内で連日のように書き続け、完成させたもの)。
 書き下ろした電子書籍は、いずれも趣味性の強いもので、マーケットリサーチのような意味合いも込められている。
「高齢者を対象にするなら、電子書籍は不利ではないか」と心配してくれた知人もいた。しかし、高齢になって老眼が進んだ身からすると、紙の本より電子書籍の方がありがたい。文字の大きさが自由に変えられるからである。
 自宅ではパソコンかタブレットで、外出中はスマホで、寝室の布団のなかではKindleの専用端末で、同じ本を読みつづけることができる。活字が小さな紙の本は、読んでいても根気がつづかない。そんなわけで、近頃は、山のようにあった蔵書も、電子書籍で読めないものだけ除いて、ひたすら処分をつづけている。
 とはいえ、高齢の友人のなかには(年下の友人のなかにも)、「本は紙に限る」といって譲らない人がいる。そのため『単身赴任の京都〈B級〉暮らし』は、紙の本で読めるオンデマンド版も刊行した。値段が高くなるのが欠点だが、同年代の友人たち(たぶん裕福)は、それでもいいという。
『いきあたりバッタリ東京都内シルバーパスの旅』の方も、おそらくオンデマンド版のリクエストが来るものと思われるので、仕事の合間に準備しておくことにしたい。
 また、マンガの仕事が詰まっているので、しばし引き籠もり状態がつづくが、締切が終わったら、また、都内のバス旅に出かけてみたいと思っている。『いきあたりバッタリ~』では、原稿を書くために、無理にバスに乗ったようなところもあったが、今後は、そうではなく、ゆとりを持って、あちこち出かけてみたい。というわけで続編もご期待あれ。

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※=東京都「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」(町丁別・年齢別)の概要(令和4年1月1日現在)


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