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保育や子どもの話

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本業に関係するちょっと真面目なことや思いついたことなど。
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寝る!

寝る!

 幼稚園では「発表会」の練習が始まっている。
 ホールで年少さんが歌の練習をしているとき,ホール上の廊下にいた私の近くには,2人の年少の男の子がいた。2人とも、ホールで歌っている他の子どもたちには加わらずに、箱車に乗ったり、絵本を持ってきたりしている。
 そのうちホールでクラスごとのダンスの練習が始まった。うさぎ組がダンスをしているあいだ,ひよこ組が座って見ている。歌に加わっていなかった2人の男の

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いつもとちがう

いつもとちがう

 その日,入ることになっていた保育所の2歳児のクラスには,話しかけてもどのくらいわかっているのかわからない,落ち着きなく動き回る子が複数いる,と聞かされていた。
 ところが,私が入ったとき,その子たちは,たしかにやや動きは多かったが,話しかけたことがわかっていないようすではなかった。簡単な言葉のやりとりは成立するし,私がそばについている限り,一つの遊びをある程度続けることができていた。
 保育現場

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女優

女優

 仕事で保育所に出かけ,2歳児のクラスで半日過ごした。
 子どもたちは突然やってきた「変なおじさん」に興味津々で,いろいろアプローチしてくる。絵本を持ってきて「読んで」と言いながらちゃっかり膝に座ってくる子(追従者続出)。ワイルドに背中によじ登ってくる子。ワヤワヤの発音で「#△*●&◇%¥ったの」となんだかわからないことをしきりに教えてくれる子。私が持っているボールペンを指差しながらもう一方の手を

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「活動を切り替える」

「活動を切り替える」

 保育系の学生さんに「子どもと関わるときにどんなことを大事にしたいですか」と質問したときに,わりとよくある答えに「子どもの気持ちに寄り添った関わりをしたい」というものがある。
 ところが一方で,学生さんと実習の準備でいろいろ話していると,場面や活動の切り替えのときに子どもの気持ちをいかに切り替えるか,ということを気にかけている学生さんが多いことを感じる。要するに,「お片づけして給食の準備するよ」「

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「手伝わなくていいよ」批判序説

「手伝わなくていいよ」批判序説

どこまで手伝うか難しい 保育実習に行った学生さんから,「どこまで手伝ってどのくらい見守るかの見極めが難しい」という話をよく聞く。
 実際,実習生が入ると普段自分でできることを「手伝って」という子どもは必ずいるし,言われるままに手伝っていると「その子自分でできるから手伝わなくていいよ」と実習先の先生から言われたりするし,実習生にとってはそこの判断は「どうしたらいいの?!」という,結構切実な問題なのだ

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