見出し画像

多様性とか価値観のシェアとか、実はむずかしいハードルを乗り越えられる方法

じーっと見ること

「聴く力」が重要ならば、「みる力」も大事、という話。
じーっと見る力、観察すること。

「多様性の理解」とか「価値観を共有する」と。
考え方としてはすばらしいが、
実践としてはむずかしい。

たとえば、高校野球をわたしといっしょに見ているとする。
この夏の決勝戦は、山口の下関国際高校と宮城の仙台育英高校だ。
これをわたしは「東北 vs 長州」ととらえて「戊辰戦争のリベンジだ!」と考える。
(だからホントは福島の聖光学院に決勝に出てほしかった……)
長州に対する積年のナニのアレである。
と、考える人の価値観を共有しようとは思いにくいだろう。

高校野球ではなく、アート作品だったらどうだろう。

「アートを介してコミュニティを育む」というタイトルで
『こどもと大人のための ミュージアム思考』の稲庭彩和子さんがプレゼンテーションした。

ヴィジュアルシンキング 視覚的思考(Visual Thinking)

アート作品を介した対話、視覚的思考(Visual Thinking)。
アート作品を誰かといっしょに見て、対話をする。
アート作品を見て、思考して、誰かと対話をする。

わたしたちは、テキストを読んでモノを考えることには慣れている。
本を読んだり、ニュース記事や解説記事を読んだり。

だけど、ヴィジュアルから考える、ということにはイマイチ慣れていない。
稲庭彩和子さんがいうには、
「作品を通してなら、それぞれの経験、価値観、モノの考え方を表明しやすくなります」
と。

たしかにそうかもしれない。
映画を見て、感想をシェアすると、
「そんな見方もあるのか……」
と感じることがあっても、
「それ、ダメじゃん」
とは思わない。

対話型鑑賞のススメ

実際に美術館にいって絵を見ながら対話をする「対話型鑑賞」をやってみると、
自分の絵の見方を感心してくれるときの快感に加え、
いっしょにいる人たちの意見に驚きだったり感心だったりを覚える。
そのあと、そうした見方を加えて再度絵を眺めてみると、
自分の見方や考え方の幅が広がっていることに気がつく。

ビジュアルを通して会話をする。
他人を知ることになるし、
自分を広げることにもなるし、
そうした人たちのコミュニティを育むことにもなる。

美術館、博物館へいってみよう。


VTC/VTS日本上陸30周年記念フォーラム2022
https://www.hyakube.com/magazine/vtc-vts30th_anniversary/

『こどもと大人のための ミュージアム思考』 稲庭彩和子編著 左右社 2022年