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『戦争が終わっても』(ポートフォリオ)

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5つの短編作品を掲載したポートフォリオになります。 【概要】僕は刑務所で看守を務めている。先日、「天使」がこの刑務所に収監されたらしく、興味本位で特別房を覗きに向かった。そこには… もっと読む
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記事一覧

『クリスマスと蜘蛛』

『クリスマスと蜘蛛』

 クリスマスの日に、しばらく会っていなかった友人から電話が来た。彼は人を殺したと言った。最初は冗談かと思ったけど、彼の緊張した声から、これがただの悪ふざけでないことがわかった。彼はすぐに僕の家に来ると言った。
 彼の電話を受けた時、僕はリビングの机で書き物をしていた。仕事の都合で何枚か書き込まなくてはならない書類があったのだ。しかし友人の電話を受けてからは、もちろんそんなものの続きを書く気などなく

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『猫の訪れ』

『猫の訪れ』

1 時々、私は菓子作りをする。

 今日はマドレーヌを焼いた。オーブンの扉を開けると、その豊かな香りが私の鼻孔をくすぐった。良く出来たマドレーヌだ。食べなくてもそれがわかる。生地はふんわりと柔らかそうで、はちみつの匂いも繊細だった。

 私はオーブンのマドレーヌを皿に移し、リビングのテーブルに運んだ。マドレーヌは熱々だった。皿の上に乗る3つのマドレーヌは、この世に生を受けたばかりの完璧な彫刻だ

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『戦争が終わっても』

『戦争が終わっても』

「昨日ここに天使が送られてきたらしい」
 友人は何気なくそう言った。
 僕はグラスを右手に持ったまま、まじまじと彼の顔を見つめた。友人はカウンターの上に両腕を置き、物静かな目線を自分のグラスに注いでいた。
「天使?」と僕はその言葉を確認した。
 彼はうなずいた。「ああ」
「何人?」
「一人だ」
「その話は本当?」
 彼はもう一度うなずいた。「確かだ。所長が俺にこっそりと教えてくれたんだ。しばらく特

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『犬をサッカー場から連れ出す仕事』

『犬をサッカー場から連れ出す仕事』

 ぼくはサッカー場に入ってきた犬を連れだす仕事をしている。サッカー場にはたくさんの犬が入ってくる。芝生を楽しそうに駆けまわったり、ボールを追いかけたりする。彼らがいるとサッカーができないので、そのたびに審判はホイッスルを吹いて、試合が中断する。選手たちは動くのをやめて、犬がいなくなるのを待つ。
 ぼくは試合が止まっている間に、彼らを追いかけたり、声をかけて呼び寄せたり、ときにはむりやり抱き抱えたり

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