フラボノイド骨格

フェノールって?タンニンって結局なに?(化学のお話)


フェノール。タンニン。アントシアニン。

以前一度アントシアニンについては取り上げたのだけれど、
そのときそもそもアントシアニンとはなにかということをあまり突っ込んでいなかったように思ったので、今回はもっと基礎的な化学の話(基礎的とは簡単ということではないです)をしようと思います。

そしてこの構造が酸化の記事ともリンクしてくるので、読んでいただけると酸化の稿で少し理解がしやすいかと思います。

ただし高校化学ぐらいの知識がないと読めないかもしれません。


フェノール


一番簡単なのはまずフェノール
フェノールとは有機化合物で、ベンゼン環にヒドロキシ基(-OH)がついた構造のことを指す。

そのフェノールが複数個結合したものが、ポリフェノールである。

このポリフェノールにはアントシアニンやタンニンといったものも含まれる。


とりあえずそれらは複雑なので、ここではまずわかりやすい化合物である、カテコールとヒドロキノンを取り上げる。

カテコール(左)もヒドロキノン(右)も二価のフェノールでヒドロキシ基の付いている位置が違う。

この2つの構造を基本にした化合物もワインではしばしば見られ、こういったフェノールとしての構造をもったものをフェノール化合物という。

このフェノール化合物のヒドロキシ基が主に酸化の矛先となり、そのためアントシアニンやタンニンが酸化されるのである。


もう少し具体的に見ていこう。

フラボノイドと非フラボノイド


ワインの業界ではしばしば
これらのフェノール化合物を
「フラボノイド」と「非フラボノイド」の2種類に分けて取り扱う。
フラボノイドというのはフラボン骨格という構造をベースにした化合物群のことで、アントシアニンやカテキンといった化合物が類する。

アントシアニンは主に果皮に、カテキンは主に種子と果皮に含まれるものである。


一方で、Non-フラボノイドというのはフェノールの構造をもった化合物のうち、上のフラボン骨格を持たないもののことを指す。


こちらにはnoteの記事でも数回取り上げた揮発性のフェノールであるエチルフェノールやビニルフェノール、また酸の一種である桂皮酸やカフェイン酸などが含まれる。

参考までに、主なフラボノイドと非フラボノイドの化合物の表がこちら。

これだけならきれいに整理されていていいのだが、この話をもっと複雑にしてくる化合物と表現がある。

「アントシアニジン」、「シアニジン」「プロシアニジン」「プロアントシアニジン」、「タンニン」といったワードだ。
この時点で私自身かなり定義が曖昧になってくる。

このあたりの定義の違いを最後に見ていこうと思う。

その他フェノールの分類と名前


「アントシアニジン」はアントシアニンの元となる化合物群で、アントシアニンが配糖体であるのに対し、こちらはその糖がない。


つまりこのアントシアニンのGlcの部分がない状態である。
この部分の構造が変わることで、アントシアニンとしての発色が異なる。

例えば「シアニジン」はこのアントシアニジンの一種であり、pH依存で赤から青へと変色する(つまりシアニジンに糖がつくとアントシアニンになる)。

ちなみにワインの発色に主に寄与しているのは、このアントシアニジンのうちのマルビジンという種類で、マルビジン-3-グルコシドという配糖体(アントシアニン)で存在している。


一方で、「プロシアニジン」というのは「シアニジン」を含むカテキンや、エピカテキンなどが重合してできた化合物で、「プロアントシアニジン」の一種である。

そして「プロアントシアニジン」は「縮合型タンニン」と同義で、分解したときにアントシアニジンが得られるポリマーだとされている。
つまり分解したときに複数個のアントシアニジンが含まれるような化合物であれば「プロアントシアニジン」、「縮合型タンニン」なのである。

そして実は「タンニン」には二種類ある。
それが先に出てきた「縮合型タンニン」と「加水分解性タンニン」である。

縮合型タンニンは説明したとおりだが、加水分解性タンニンは別物で没食子酸やエラグ酸といった非フラボノイドのフェノール化合物が結合してできたポリマーである。

これら縮合型と加水分解性のどちらも多価フェノールであり、これが舌のタンパク質と反応することで収斂性が生じる。

余談になるが、ガロカテキンやエピガロカテキンなどが重合したものは「プロデルフィニジン」と呼び、これもまた分解時に「デルフィニジン」を生成し、「プロアントシアニジン」に含まれる。
これも縮合型タンニンである。

これらの縮合型タンニンはカテキンと同様に種子に多く含まれており、ブドウの熟度が上がるにつれて減少する。

一度未熟のブドウを食べたことがある方は覚えがあるかもしれないが、未熟のブドウは酸が高く糖が低い。そのため酸の値以上に酸っぱく感じる。


そしてその種を噛むと、しっかりと渋みを感じる。これはタンニンによるものであり、一見熟しているように見えても、種を噛むことで収穫期の参考にするという人もいるぐらいである。

今回の退屈な化学の話はここまで。


かなり化学の分野でとっつき難い感じがあったと思います。

自分自身理解したつもりでしてなかった部分でもあるので、おそらく科学的根拠を求めたい人しかこの定義の差は必要ないと思いますが、そういう読み物にぶつかったときに参考にしていただければと思います。

そして色素の話は以前したので、次回、渋みや収斂性というのに関してもう少し詳しく取り上げようと思います。

収斂性はアントシアニンと縮合型タンニンが重合することによって減少すると言われているが本当なのでしょうか。


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