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2分で読める子育てエッセイ№752『鐘の音』☆へんいちエッセイ講座参加作品☆

占い、おまじない、生まれ変わりや前世など、不思議なものが大スキだった小学生時代。「赤い糸で結ばれた人」や「運命の人と出会った瞬間に聞こえる鐘の音」にメッチャ憧れた。

20代に入ってから女子会をしようと言い出した友人が乾杯後、第一声でこう言い出す。

「私、結婚するんだ~」

やっぱり? だと思った。

幸せオーラ全開の友人が胸焼けするほどノロケるのは覚悟のうえ。そして招集された方は、根ほり葉ほり訊くのがお約束。

そんな中、ワタクシこう訊くのを楽しみにしていた。

「旦那さんになる人と出会ったとき『鐘の音』聞こえた? よく言うじゃない? 運命の人に出会ったときに鐘の音が聞こえるって」

すると友人は笑いながらこう言った。

「そんなこと全然ないって。どっちかっていうと私たちパッとしない出会いだったもん。でもね~」

でもね、からまた延々とノロケは続く。ご馳走様~。

ワタクシ、この女子会アルアルを数回経験したけれど『鐘の音』を聞いた友人知人はいなかった。

実はワタクシ『鐘の音』を聞いたことがある。間違いなく教会の鐘の音がしっかりと。近くに教会があったわけでもなく、テレビからの音でもない。

それは高校生活を穏やかに過ごしていたある日のことだった。

「本当に聞こえるんだ」と思ったときには、その人から目が離せなくなっていた。

「パッと見、全然タイプじゃないけど、ワタクシこの人のことすごく気になる」それが第一印象。結局別々の大学に進学し、それっきりになった。


「あの鐘の音はなに?」

長い間、答え合わせをすることができない、ワタクシの中の七不思議となっていた。

ところがあるとき「前前前世」という言葉を知ってハッとした。

「もしかして前世、前々世、前々々世、そしてもっと前にも? なんだかの約束した人がそれぞれいたりして。運命の人って、もしかして1人ではないの?」

なんだか変なことに気がついたと、さらにモヤモヤを増やすハメになった。


この先、娘や孫や曾孫にロマンチックにこう訊かれたらどうしよう。

「私、なかなか運命の鐘の音が聞こえる人に出会えないのよね~。お母さん(おばあちゃん)は、聞こえたことある?」

聞いたと言えば白状することいろいろ、でも秘密にするほどのことでもない。

そう妄想していたときに、ワタクシまたもやハッとした。

そういえば、ダンナの第一印象は騒がしい人。鐘の音で知らせなくてもアピール抜群。自力でお知らせするので、そんな演出いらないってこと?

さらに小6の娘がこのタイミングで読んでしまった。

「ふーん。鐘の音? 寝不足で幻聴だったのかな」

初恋の「は」の様子もない娘。想像以上に現実的だった。


えー!

ロマンチック台無し。

とほほ。





ーあとがきー
この作品は、先輩noterのへんいちさんが主宰されているエッセイ講座に参加させていただいたものです。

ふだんは見られない、他の参加者の皆様の、初稿、二稿を拝読することができるこの講座。一緒に参加してみませんか?

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