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青春も、恋愛も、そして蹴りたい気持ちも、この1冊に詰まっている【書籍紹介】「蹴りたい背中」(綿矢りさ)

今回も読書会で紹介した本をこのnoteでも紹介します。
今回は2003年の芥川賞を受賞した綿矢りささんの「蹴りたい背中」です。

そう、この「蹴りたい背中」で芥川賞を受賞した時に綿矢りささんはなんと19歳、史上最年少での受賞となって当時大きなニュースということで、非常に世間的にもニュースになったと思います。

当時はそんなに小説を読んではいなかったのですが、そのニュースを見てこの小説を読んだ記憶があります。それが20年前です。今回20年ぶりに読んで新しく手に入れた視点をお伝えしたいと思います。

それでは、どうぞ。
(今回の記事は音声入力した文章をChat GPTで整文して、編集をしたものとなります)


この1冊をオススメする理由

  • 誰もが感じることのできる高校生の葛藤と心の動きを深く掘り下げて描いている。

  • 読む者の心に深く響くエピソードがたくさんでてくる

  • 自分を知る、他者を理解するためのヒントが詰まっている。

あらすじ

主人公ハツは周囲の目を気にしすぎるあまり、どこにも馴染めない、孤独な学校生活を過ごしている。中学生から高校生になったばかり、”いい子”にはなれない。

ある日同じクラスの男子のにな川の家に誘われる。にな川もハツと同じクラスの外れものだ。ハツが唯一まともに話ができる絹代から「ハツは、にな川のことが本当に好きなんだね。」と言われその内外の落差にゾッとする。

<この、もの哀しく丸まった、無防備な背中を蹴りたい。痛がるにな川をみたい。>

ハツはにな川の家で二人っきりの時に彼の背中を蹴りたい衝動に駆られる。

中学の頃は同じところにいたはずの絹代は周囲になじみ、どんどん”いい子”になっていく。その絹代を見ながら、ハツはにな川への気持ち、蹴りたい気持ちを抱いていく。

青春、恋愛というよりかは、成長と友情とそして自分自身に正直でいること、そのバランスの難しさを読み手に考えさせる。

問題提起

  • 主人公ハツは、なぜ学校で周囲と馴染めないのか?

  • 人は、なぜ群れて生きることを望むのか?

  • ハツのにな川に対する複雑な気持ち、その真意は?

一番のみどころ

にな川の背中を蹴りたいという主人公ハツの心の動き。

いわゆる学生時代にありそうな青春、恋愛とハツのにな川を蹴りたいこの気持ちにどんな違いがあるのだろうか?

自分自身の成長と中学からの親友の絹代との友情の変化、そしてなによりも自分自身に正直でありたいと思う気持ち、そのバランスの先にあるかのような、にな川の背中を蹴るという具体的な行動。

正解がなくて悩むしかない中で最終的にとる行動がある。
ハツの言葉にならないそこに至る心の動きが見どころです。

興味が出ましたらぜひ手にお取りください。


累計150万部のベストセラー & 芥川賞受賞作

19歳で、史上最年少で芥川賞を受賞。そして累計150万部のベストセラー。

「蹴りたい背中」この作品名を挙げれば、多くの人々がこれらの実績を思い浮かべるかもしれません。でも何より驚くべきは、その受賞から既に20年の時間が過ぎていること(速い!)。

今回改めてこの作品を再読しそれを人に勧める中で、20年の月日が経過してもその普遍的な魅力は色あせないことを再確認し、それと同時に時代の流れを感じさせる部分も感じられました。

エモい読書でした。

芥川賞受賞作(純文学)で、時の流れや変化を感じることができる。
そんな素晴らしい1冊の紹介として、この話をさせていただきました。

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