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【人生をラクにする1冊】最近読んだ純文学を1冊 + その他2冊を紹介します

本を読むと少しだけココロが軽くなる。人生がラクになる。

3月に読んだ本の中からそんな1冊を紹介します。本を読む。それだけで特に何も変わっていなくてもココロが少しだけ軽くなる。

それはあたりまえだと思っていたことがあたりまえではなかったことに気づくから。それだけで人生が少しだけラクになったりする。

そんな本を、最近読んだ中から純文学を中心に3冊紹介します。

【1冊目】コンビニ人間(著:村田沙耶香)

コンビニ人間(著:村田沙耶香)は、36歳の主人公・古倉恵子が、18年間同じコンビニでアルバイトを続けている物語。恵子には恋人がおらず結婚も恋愛もしない。周囲や常識からは外れた、いわゆる"普通"ではない人だ。

この物語での"普通"とは、中身の入っていない"箱"のようなもの。箱の中にその人独自の"何か"が入っていたら、みんなびっくりしてどうしていいかわからなくなってしまう。

だから、中身は入っていないように見せることが重要だ。

恵子にとって、恋愛や結婚、就職といった"中身の入っていない箱"を持っていることを装うのは難しいが、コンビニでのアルバイトという箱は持つことができた。そんな恵子がコンビニ人間として生きていくお話。

世の中には、"普通"を理解できない人もいる。
ただ、それは"普通"がなくても生きていける人間だともいえる。

一方で、"普通"じゃないと生きづらい人たちもいるから、その"普通"を壊さないように一生懸命"普通"を装いながら生きている。

極端に言えば"機械のような人間"と"人間のような機械"が折り合いをつけながら社会は動いている。そしてこのコンビニ人間を読んでいるとどっちが機械で、どっちが人間なのか、その境界線がよくわからなくなっていくのがとても楽しかった。

【2冊目】水中の哲学者たち(著:永井玲衣)

ひとつのことを深く考える。情報が氾濫している現代で一番難しいことなのかもしれない、それをやってみようというのがこの一冊が薦める哲学対話。

仕事のこと、他人のこと、未来のこと。もしくはそこから目をそらすためにインプットした情報で頭がいっぱいだ。だからひとつのことを深く考えずにすんでいる。

環境が人間に適応するのではなく、人間が環境に適応する。だから安易な共感、安易な物語の共有が世界に溢れているのかもしれない。そうであればその中でもうひとつ深く潜って考えてみる。それこそが最高の贅沢になる。

現代社会は情報が速く広く氾濫していくことで、人々が安易に共感し合い、安易な物語を共有する世界になっていき、ひとつのことを深く考えることがなくなっている気がする。

その中で、この『水中の哲学者たち』(著:永井玲衣)はとても"心地よい摩擦"を与えてくれる。立ち止まって考えることの重要性と魅力が伝わってくる1冊でした。

例えば、今日の朝に食べた食事、友人に送ったlineのメッセージ、今日着ている服、会社でしている仕事。それは本当に自分の頭で考えてやっていることなのだろうか?

意志があったから行動したのか?
それともその行動をしたから、その意志があることにしているのか?

当たり前だよねと普段は流しちゃっていることを今日だけは立ち止まって少しだけ深く考えてみる。

それだけでとつぜん楽しくなる。

【3冊目】読む力 最新スキル大全(著:佐々木俊尚)

『 読む力 最新スキル大全』(著:佐々木俊尚)は、インターネットやSNSが普及し、情報があふれる現代社会において、集中力が散漫になりがちな人々に向けた、効率的な情報収集と理解のための読む力を身につける方法を伝授する一冊である。

この本では、「アウトライン→視点→全体像」という情報を捉える手法を提案し、膨大な情報の中から必要なものを見極め、質の高い情報を瞬時に判断できる力を養うことを目指している。この手法を身につけることで、情報のインプット力が向上し、アウトプット力にも繋がっていく。

Chat GPTのようなジェネレーティブAIが、人間よりも低コストで大量の情報を生み出すことが当たり前となっていく。その中で人間にとってどのスキルは必要になっていくか?と言えばそれは「読む力」だ。

その読む力、インプットのスキルが手に入る一冊。

大量の情報からみんなにとって正しい情報を生み出すことはAIに敵わないかもしれない。だからそのAIから生み出された情報から偏った情報を抜き出していこう。

AIが生み出した正しい情報を、偏った人間が読んで、アウトプットしていく。

そのためにはまず「読む力」が必要だ。

今回紹介した3冊はどれも、それまでの当たり前が覆される本でした。
読んだ前と読んだ後、Before/After、その変化を楽しめる1冊です。

オススメです。

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