北朝鮮noteカバー_1_

北朝鮮にあさり買いにいく。(1)

「北朝鮮」ってワードは鉄板だなと最近もよく思う。

まぁ韓国では融和ムードだからそんなにでももうないかもしれないが。

きっかけは、ババァの信者みたいなとある支援団体が
「韓国であさりを仕入れたい」と言ったことからお鉢が僕の方へ回ってくる。
単純に仕入れ価格を抑えたいからだろう?って思ったことから韓国の農林水産省や水産業者にいろいろと聞いてまわること数ヶ月、どれも価格が合わない。浜元にいってもあわない。
諦めかけていた時に、ある韓国の友人から「夜中、仁川港まで来てもらえてないか?」
となぜかコソコソと夜中仁川の寂れたコーヒショップで会うことになる。
その業者は声を潜めポケットからあさりを2つ出した。

「ほらこっちが韓国産、こっちが北朝鮮産だ」

わかるわけねーだろ・・・と思いつつ

「なるほど」

と頷いてみせた・・・。

「1kg 100円の差益がこれででるはずだ、利益は50%づつにしよう輸送手配はこちらでする。」

たしかにこれで、利益が初めてでる価格になった。
ババァの先にも確認したらその値段で合うことがわかる。

しかし、銭ゲバの僕はこの業者さえいなければ100円手にはいるじゃないか?と考え直接買うルートと探し始める。韓国に値段の合うあさりがないことがわかっただけでも儲けものだな。それから数ヶ月たちやはりルートが見つからない。ある時、夜中Google earthみてると丹東と北朝鮮の国境が近いことがわかりそのあたり周辺をみると大きな工場らしき場所がいくつもある。おそらくそれは加工工場だろうと考え、Alibabaだったと思うのだが加工業者の住所を調べてみると冷凍食品、海鮮と書いてあるではないか。いくつかの工場にアポをとり地道に探すことにした。 
仁川港から東莞まで船がでていたので、とりあえず船にのり中国を目指した。
行けばなんとかななるだろうという考えくらいしかなかったが、自分の目で確かめないと気が済まない。
過去人に任せてなんども失敗している。結果信用できるのは自分の経験でしかない。

船の中は、中国人や延辺の韓国人などでところせましと寝ているしみな床で宴会している。海は凍結してて氷を割る音が聞こえる。大っ嫌いなカニをみな床でめっちゃくってて臭い。話かけられ、簡単な中国語でやりとりするチベット旅行を思い出す。

朝「東莞」に到着し、甲板にでてみると北朝鮮籍の船が石炭を積み下ろししている。全部が石炭の煤で真っ黒の港で視界になにもない。船を降りて、随分遠くのイミグレに並んで入るが次から次賄賂をわたして横からすり抜けていく業者がたくさんいる。渡しているのスマートフォンだ。どこも似たようなもんだな。僕は1番最後に出された。 

最初のアポイントした業者が迎えにきてくれており言葉は通じなかったがなんとなく理解しあい最初の工場へいく。日本と取引をしている会社も紹介してくれて、片言だか日本語も通じる人がいた。そこは海鮮の加工工場で閑散としていたすでに工場がしまるようだ。 品目は冷凍あさりやさざえとかしじみだ。

「生のあさりを仕入れさせてほしい」
「うちでは生はやってない」

というやりとりがあり、だったら仕入れ先を教えてくれとお願いするがなかなか教えてくれない。
そうこうしてるうちに、3件目の工場で大連に戻ろうとしていた日本語が達者な仕入れ業者の若者がいるので呼び戻したから待っててくれといわれ日がすっかり落ちてしまいまっくらな窓を中国茶を何杯ものんで待っていた。外は相当寒いのか、窓が凍結し始めていた。

シュウくんという、日本語がペラペラのやつが「いや〜すいませんお待たせしまた〜」と言って入ってきた。
「今日はもう遅いからホテルに行って、明日ミーティングしましょう!」といきなりなった。
「どこのホテルですか?」
「いやどこにいくかわからなかったのでホテルはまだ取ってない」
「じゃ僕がとりますよ」
といって、北朝鮮が運営するホテルを予約してくれて一緒にいくことになる。

外はすっかり吹雪になっていた。
荒野にでっかいホテルが1件だけぽつんと豪華にたっていた。
寒すぎるのと空腹でどうしょうもなかったがホテルで簡単に食事しましょうというので食事会に。

もう合言葉のように「生のあさりがほしい」
「谷内田さん、じつはこのあたりは5人の家族であさりの事業をやっています。その人のところをまわって明日はお願いしにいきましょう。とても難しいと思います。どれくらいほしいのですか?」
「わからないけど、どれくらい仕入れできるのかも、僕は素人で買い付けができないか調査にきた。」

と素直に話しシュウくんがアテンドを明日すべてすると言ってくれたのでとりあえずその日は切り上げた。
食事の席には、北朝鮮の女性がチマチョゴリで給仕をしたりしててなんとも不思議だった。
ホテルにサウナもありアカスリもあったのでせっかくなので行ってみることにした。中国式のアカスリだったがみな独特の雰囲気があった。おそらく日本人は僕だけだったんじゃないかな・・・。

翌朝、さっそく水産加工の会社にあさり業者が来てくれていま川で積み下ろししてるから来るか?と言われ見にいく小型の船に山ほど麻袋の積まれたあさりがあり、ようやくたどり着いた感じだった。
現場には、3人の仕入れ人がいた。1人は中国国内へ流通させる業者もう1人は韓国国内へ流通させる業者、最後は日本へ流通させる人、この人は女性だった作業着のボロは着てるがちゃんと化粧もして指にはサファイヤやダイヤがきらめいていた。金持ってると判断した。
北朝鮮とは川を挟んでわずか数十mの距離で対岸から船をつけて田んぼの干し草で囲った場所で積み下ろしていく。そこにコンテナもしくはトラックがならび運びいれていく。軍服きてる様子から軍人のバイトなんだろうと思う。みな白い息を吐きながら黙々とやってる。
「あさりは、風にあたると凍って死にます。」と言われ気温の読み方は川の温度と湿気でみますとか凍った貝の音の見分け方などを丁寧におしえてくれた。船に乗っていいというので乗せてもらうと船底には無数のあさりがあった。毎度ここに仕入れる人がはいり鮮度を確認して買い付けるのだと。荷下ろしが終わったら、北朝鮮へ行ってみますか?と言われいくことになった。

船は沿岸を北上し遠浅になってる場所までいった日本語とカメラはやめてくれと言われたので黙ってみていた。
すれ違う船はみなボロボロだった。麻袋をここで作ってるとか、ここで詰め込んでいるとか説明をうけ接岸して漁場を確認させてくれた。先が見えないくらい広大な場所だった。手掘りで掘り起こしていて大変だろうと思ったが生活は豊かそうだ。機械掘りでもいいが貝をいためるからなるだけ手掘りで集めると言ってた。

ここに日本人が来たのは、60年ぶりで3人目だそうだ。

金の源泉にたどり着いた気がした。

さぁこの後からその5家族を回ることになる。
  

つづく


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40才になったので毎日書く修行です。