【身近に寄り添う秋の憂鬱】

博心堂鍼灸院の、いんちょです。

世間では様々なニュースや報道が飛び交います。
そんな表面で賑わいでいる情報の下の方に隠れるようにして、失業や自死のことが問題になっている。

世の中がそんな風に動いているのだから、僕の身近なところでも、同じようなことが起こっているのだろうなぁと思います。
いや、逆か。

僕の身近なところ。
鍼灸施術の現場では、失業や自死という深刻な状況までは至りませんが、国内や国家間、他国の政治やおっきな情勢の変化のことをさておいて、皆さん、何となく自分の身の危険や不安を宿して過ごしておられる。

こうした危機感や不安感というやつを、常に持ち続けていると感情エネルギーは、どんどん消耗していきます。


東洋医学で考える感情のエネルギーは、言ってみれば活動力や行動力。

感情豊かな人は、行動力が伴っている。

たとえば、にこやかに朗らかに過ごせる人は、フットワークよく気働きよく行動することができる。
余計な力みがないのでしょうね。

たとえば、怒りの感情を振り乱して、いつもイライラしている人は、かたくなにやらなきゃいけないことにかじりついている。
極端な力みがこうした一方通行で一本やりな行動を生み出すというわけです。

たとえば、悲しみの感情が強くなると、気持ちだけじゃなく行動も落ち込み沈み込むことで、心身ともにリセットしようとしている。
表面的な行動よりも、回復やバランス調整という内面での行動力が高まっている状態。


じつは恐れや不安というやつも、こうしたポジティブな自浄作用や身の安全確認としては、大事な役割を持っています。

ただ、そんな一見ネガティブだけど必要な感情表現も、周囲の状況が変わることなくずっと不安や危機感を宿し続けていると、常に恐れ感情エネルギーを放出し続けるカラダは、当然のようにエネルギー不足になり、行動することそのものができなくなります。


現状に不満や不安があっても、周囲の人に声をかけられない、助けを求めようと思っても手や足がすくんでしまう。

そもそもこうした不安や危機感というやつは、カラダを委縮するようにして見の安全を積極的に守ろうとする感情。
そんな恐れの感情に支配され続けているカラダは、
・一見、消極的に見える
・一見、遠慮がちに見える
・一見、人を避けているように見える
・一見、人嫌いするように見える

でも、もともとそうじゃない人が、急に、あるいは、徐々にこんな風な態度になっていくようであれば、現状がとてもよくない状態が慢性化しているのかもしれない。


やっぱり今年は特に、世間の情勢が良くない。

患者さんたちとコミュニケーションをとっていても、なんとなく気持ちが落ち込みやすかったり、明るさや朗らかさを消耗されているのかなぁっていう風に見えてしまう。

僕は鍼灸師さんとしての役割と思って、時間をかけて体を整える施術をさせていただきながら、感情を養う息が取り戻せるように、おしゃべりを通して感情を整えていただける時間づくりもしています。


まだ感情を表現できるなら、落ち込んでいても、クヨクヨしていても、悲しんでいても、憂いていてもいい。

でも、そんなほぼほぼ限界状態を続けているときが付いたなら、まずは一度しっかり状況から離れるようにしてみて、ちゃんと休める環境づくりをしてみることが必要です。

人を頼れない、積極性や自信を持つことができないっていうのは、感情エネルギーの消耗から。
普段頑張ってやっている人ほど、こんな状態に陥りがち。

だからこそ、しっかり休んで、もう一度、現状に対する自分の取り扱われ方や、自分の過ごし方を客観的に、ポジティブなコンディションで見直すことができたらいいですね。

休んでも、あれもこれも心配と、気を病んでいるようであれば、ネガティブなコンディション。
そんなコンディションでは、フラットに自分の状況を客観視することはできない。

休みを楽しむことを取り戻して、それから、現状判断。
そうして、それから、今後の過ごし方をアクティブな感情エネルギーを携えて、作戦会議を立ててもらえたらいいんじゃないかと思います。


晩秋。
何となくそんなことが気になるころ。

最後までお読みいただきありがとうございます。


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