見出し画像

【感情に宿る鬼退治】

博心堂鍼灸院の、いんちょです。

2週にわたって、週末、家族みんなで「鬼滅の刃」というアニメーションを見ました。
僕の感想としては、とても身近な話題で、いつも触れていることをドラマチックに物語として出来上がっているのかなぁっていうこと。

東洋医学では、鬼の記載があるのは主に夢に登場するもの。
起きているときに覚醒している意識というやつが、寝ている間に荒ぶる感情を制御できなくなることで、夢を見させるということですね。

夢の性質にもいろいろあって、穏やかで楽し気な夢もあれば、追いまわされてドキドキする夢もあったり、具体的なイメージが鮮明に繰り広げられてものすごく悲しい思いをさせる夢だったり、過去のことを回想させるような物語性のある夢を見ることなどが、あるわけです。


寝ているときのこうした鬼(夢)の登場がないと、アタマ(精神)やココロ(感情)が整う機会を持つことができない。
だから夢を見ることってとっても大切。
目覚めた時、特に夢をおぼえていなくても、たいていの人は寝ている間に記憶の整理整頓や感情や思考のわだかまりをリセットするために、うっすら夢を見ている。


でも、刺激過多・ストレスフルで過食傾向の現代人は、夜に見る夢だけでは精神や感情のエネルギーをリセットしきれない。

そうすると覚醒時に、ネガティブな感情がフツフツと湧き起ったりするわけです。

街中で不機嫌そうにしている人や、人に八つ当たりをする人。
皆さん、ココロに強い鬼(感情のネガティブな凝り固まった部分)を宿しておられる。


東洋医学では感情を7つに分類しています。
これらすべての感情は、モノを考えたり行動意欲を促したりと、方向性と力強さを備えています。

喜びの感情は拡散、怒りの感情は集中、悲しみや憂いの感情は落ち込み、恐れや驚きの感情は委縮、などなど。

生き物として生き延びていくために必要な感情。
でも、こうした感情エネルギーは、ココロや生活にゆとりがないと、かたくなに凝り固まってしまうことがある。


怒りの感情にとらわれてしまうと、憤怒や嫉妬、横柄で怠惰な態度、人に八つ当たりするような傲慢な姿勢として、自分の周りにいる人に向けて乱暴で陰湿な感情エネルギーを向けるようになる。

鬼が宿っているっていうところですかね。


こうした鬼退治をするのに、鍼灸師さんが使う「鬼滅の刃(鬼を滅する力)」が、カラダに宿る感情エネルギーのわだかまりを取り除く鍼施術であったり、人が作り上げてきた言葉という文明の利器だったりするわけです。

特に言葉は、荒ぶる人と会話することで、相手のココロに宿る鬼(感情のネガティブな凝り固まった部分)を、呼吸を整えることで追い払ったりするわけです。

イライラしている人も、上機嫌で朗らかな人と話をしていると、不機嫌ではいられなくなる。
もし、鍼灸師さんがそんな上機嫌を強い意志の力をもって発揮し続けていられたら、鍼施術の間にこうしたココロに宿る鬼退治もかなっちゃうんじゃないのかなぁなんて思います。


そんわけで、僕の携わらせていただいている患者さんたちは、比較的朗らかな人が多いけど、イライラしていたり、クヨクヨしているココロに鬼が宿るときには、僕の方で上機嫌な息と、楽し気な言葉の力と、鍼施術という「鬼滅の刃」をふるわせていただこうかと。

2週にわたるアニメーションの鑑賞から、そんなインスピレーションをいただき、自分のやっていることの確認をさせていただきましたとさ。

最後までお読みいただきありがとうございます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?