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「世界の中の日本」④台湾と日本の深い関係

いつも記事をご覧下さり、本当にありがとうございます!

「世界の中の日本」は、世界の国と日本の関係について、国ごとにご紹介していく企画です。

4回目の本日、ご紹介するのが、台湾です!

台湾といえば、日本にも近く、アジアの兄弟国として、非常に親愛の情を持ってくれている国になります。

以前、日本人がモテる国一覧としても、台湾をご紹介したことがあるほど親日で、「日本人である」ということ自体が、台湾では一つのステータスとなり、モテに直結する、というお話もありました。笑

今回は具体的に、台湾と日本の関係や、台湾の置かれてきた状況についても振り返りつつ、台湾の親日事情に迫ってみたいと思います!

台湾

台湾は、台湾本島を含む地域の名前であり、現在では全域が中華民国の支配下にあるとされています。

台湾が中国の古い史書に記述されはじめたのは三世紀ごろ。

明・清の時代に中国大陸の沿岸部の人びとが移り住んできたときには、すでに先住民が暮らしており、17世紀にはポルトガル人に「フォルモサ(美しい島)」と呼ばれていました。

台湾本島の大きさは、日本の九州よりやや小さいイメージ。

長年流入してきた移民により、他民族が共生する地域となっています。

台湾原住民の他に、漢民族系の人、外省人(中国大陸各地から移り住み、台湾人として定住している人々)や、日本人・オランダ人・ポリトガル人・スペイン人など様々な民族が多様性の中、共存しています。

中華民国としての首都は台北市。

台湾では、台湾に本籍地があって、現在も住んでいる「本省人」と、台湾に本籍地を持たず、中国大陸各地から移り住んだ「外省人」という二つの言葉が使われており、両者の違いが強く意識されてきました。


台湾ってどれくらい親日なの?

台湾の民間団体、台湾民意教育基金会が2018年に発表した調査によると、台湾で最も好感度が高い国は1位がシンガポール、2位が日本だそうです。

同調査では、台湾の近隣諸国・主要国を含む10の国と地域について、「良い印象を持っているかどうか」を台湾在住の20歳以上の男女を対象に質問しています。

その結果、日本に良い印象をもっていると回答した人は84.6%に上りました。

日本でも、過去最多の訪日外国人旅行者数だった2019年、国別内訳を見てみると、1位は中国959万人、2位は韓国558万人、3位は台湾489万人、4位は香港229万人、5位はアメリカ172万人となっています。

中国・韓国は歴史認識の問題などで、度々日本と揉めていることは皆さんご存知かと思います。

というわけで、親日国であり、かつ訪日旅行者数の多い国と言えば、間違いなく、台湾。

その次が香港
になります。

この台湾・香港は日本としても友好関係を築いておきたい大切な国になりますね。

現在の蔡英文総統は、反中国の立ち場を明確にとっており、日本に対しては極めて親日のスタンスです。

お隣の韓国では、第二次大戦中に日本にひどい目にあったという主張が多いですが、台湾は日本統治下にあったはずなのに、なぜ親日なのでしょうか?

どうしてこんなに差がでるのかが不思議なものですが、台湾が親日である理由について、さらにご紹介していこうと思います。


「台湾の歴史」

以下、台湾の歴史の一部をご紹介しましょう。

1624年 
オランダが南台湾の一部を占領。

1626年 
スペインが北台湾の一部を占領。

1642年 
オランダがスペインを駆逐。台湾の統治者に。

1662年 
明朝が清に滅ぼされる。
明の将軍「鄭成功」が台湾に渡り、オランダを台湾から追い出して政権を立てる。

1683年 
清国が台湾を国の一部とする。

1895年 
日清戦争後の下関条約で清国は台湾を日本に割譲。
台湾は日本の一部となる。

1945年 
日本敗戦。
連合国軍から委託された国民党軍隊が台湾に進駐。

1951年 
日本がサンフランシスコ条約に署名。

1952年
条約が発効され、日本は台湾および澎湖諸島の主権を放棄。
現在、全域が中華民国の支配下に。
ただし、李登輝前総統によると、台湾の帰属は現在も未定のままだそうです。


「中華人民共和国」政府が台湾を治めたことは一度もない

台湾はオランダ、スペイン、鄭成功、清朝、日本、そして中華民国政府に治められてきました。

近年では中国政府が、「台湾は中国の一部」との主張し、日本人の中にも台湾は中国の一部だと思っている人は多いかもしれません。

ただ、歴史年表を見るとわかるのですが、「中華人民共和国」政府が台湾を治めたことは一度もありません。

1945年の終戦後には「中華民国」に編入という形をとっています。


また「中華民国」もGHQによって進駐された存在であり、李登輝前総統のように、台湾はいまだにどこの属国に入ってもいない、と主張する方もいます。

中華民国」とは、アジアで二番目の共和国として、1912年に孫文が中国大陸で成立

国共内戦で中国共産党に敗れ、台湾に逃れ、東沙諸島・南沙諸島の島を実効支配する海洋国家となりました。


日本統治時代

1895年(日清戦争後)から1945年(終戦)までの約50年間、台湾は日本に統治されていました。

当時の日本政府は、高速道路や鉄道などのインフラ整備を積極的に行い、台湾の経済発展に貢献しました。

また、子どもの就学率を上げることにも取り組み、日本語教育も行いました。

そのため、日本統治時代の教育を受けた台湾人は日本語が話せる方が多く、経済発展の記憶から、日本に親しみを持つ人が多いと言われています。

ちなみに、台湾は現在に至るまで、中国国民党による統治も受けています。

そのため、中国大陸系統の統治に親和性があるかと思いきや、日本統治時代の方が進んだ技術や文化を学ぶことができたということで、総じて親日的だと言われています。

当時はアジアで最も進んだ技術や文化に浴した日本統治時代の方が、国民党による戒厳令(戦時中の非常法)時代よりもマシだったという意味で、彼らは親日的なのです。


李登輝総統時代

中華民国では、国民党を率いていた蒋介石が1975年に亡くなり、息子の蒋経国が後を継ぎます。

彼は父の路線を継承しますが、晩年に、戒厳令を解除し、本省人(台湾本島出身)である李登輝氏を副総統に就任させます。

李登輝氏は台湾の民主化を一気に進めた立役者であり、1996年には総統選挙で再選。

この李登輝氏こそが、日本への深い尊敬と親愛の情を持った政治家でした。

日本への親日感情を高めたのは、李登輝氏の影響が図り知れません。

そして、李登輝氏が就任してからは、本省人(台湾本島出身)と外省人(中国大陸出身)の区別自体が無意味である、という人が増えました。

李登輝氏ご自身も、「500年前だろうが50年前だろうが、台湾に渡ってきたものはみんな新台湾人だ」と述べており、多民族国家ならではの演説を残されています。

1990年代、哈日族(ハーリーズー)の出現

1990年代の台湾には、「哈日族(ハーリーズー)」と呼ばれる、熱狂的な日本大好き族が登場します。

哈日族(ハーリーズー)という言葉は、日本が大好きな漫画家・哈日杏子(ハーリーシンズ、ハニチキョウコ)さんが1996年に出版した4コマ漫画「早安日本(おはよう、日本!)」の作中で登場したことに由来するそうです。

哈日族は、日本統治時代を過ごした世代の孫の世代にあたります。

祖父母から日本の文化を聞かされ、日本文化に親しみをもつようになったと言われ、日本のサブカルチャーやアニメ番組を好むそうです。


東日本大震災義援金で世界第1位の台湾

3.11の東日本大震災の際には、世界の先頭に立って日本を援助してくれたのが台湾でした。

多額の援助金だけでなく、台湾人のボランティアが被災地へ赴き、積極的に復興支援活動に参加してくださいました。

2014年12月31日までに日本に送られた台湾からの東日本大震災義援金は総額およそ253億円に上り、世界第1位を記録しています。

また、毎年のように発生する洪水や土砂崩れの際にも、資金や物的援助とともに、応援メッセージをくれるのが台湾の方々です。

人情に厚く温かい台湾の方々。
大切に友情を築いていきたいですね。


日本人も台湾が好き。

台湾がいかに親日家について書いてきましたが、日本人の方も台湾が好き。
その証拠に、

リクルートライフスタイルの調査研究機関「エイビーロード・リサーチ・センター」では人気の旅行先として台湾が5年連続1位に選ばれています。

特に日本の若者の間ではリーズナブルな台湾旅行がブームになっており、ジブリ映画「千と千尋の神隠し」の舞台といわれる九份なども人気です。


現在の日本と台湾の外交関係

日本は1972年、日中共同声明により中華人民共和国政府を「唯一の合法政府」と承認して国交を樹立したため、現在にいたるまで、中華民国政府(台湾当局)との国交を断絶しています。

現在、総統に就いている民進党の蔡英文氏は、反中国・親日本の立場を明確にしており、アメリカ政府のように、国内法により、さらに日本と仲良くできないものかと考えています。


台湾有事をめぐって

近年、台湾有事を巡ってアメリカ、中国、台湾との間の緊張が高まっていますね。

たとえば、米国ナンバー3とも言われていたペロシ米下院議長が台湾を訪問した際には、中国は台湾を包囲するような軍事演習を強化するなど、これまでになく台湾への威嚇を強めていました。

台湾を不可分の領土とする中国。

それに対し、アメリカは中国が台湾に侵攻した際には、許すわけにはいきません。

アメリカと日本は軍事同盟国のため、当然日本だって、他人事ではいられません。

台湾有事になれば、日本も台湾に味方することになります。

習近平政権のもと巨大な脅威となった中国に直面していますが、日本と台湾は協力できる部分はしていこうという姿勢です。

台湾としては、アジアの兄弟国として、日本の支援を期待しており、いざとなれば自衛隊が駆け付けて守ってくれると思っている方もいます。

(が、たぶん、そんな簡単にはいかないかもしれない……ごめん台湾。)

日本政府側がどこまで本気で台湾有事に向き合う気があるのかは、不透明です。

中国の脅威に対し、日本と台湾の安全と繁栄を護るためにも、日台の経済関係を安定させ、文化交流を促進し、絆を深めていくことが大切ではないでしょうか。


〈まとめ〉

長くなってしまいましたが、これだけは押さえとこうポイントです!

  • 台湾は超親日国

  • 日本への好感度は84.6%

  • 親日国の理由①日本統治時代が良かった

  • 親日国の理由②李登輝前総統が日本を尊敬

  • 親日国の理由③日本のアニメや文化が人気

  • 東日本大震災義援金で世界第1位の台湾

  • 日本と台湾は正式な国交はないけれど、台湾有事となれば日米同盟に基づき、台湾を助けるはず

  • 台湾の人たちは、旧日本統治時代のイメージから、いざとなれば日本が助けに来てくれるはずと信じている方が多い……。

「中華人民共和国」政府が台湾を治めたことは一度もありません!!

最後までお読み下さり、誠にありがとうございました!


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