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特集「連作を考える」に書ききれなかったこと(私の短歌連作最終チェックの方法)

所属する塔短歌会の結社誌11月号の特集「連作を考える」に
他の会員の方と共に、私も一文を載せていただいた。
短歌の連作を作る上で、自分なりに気をつけていることや、どういった流れで作っているかについてまとめた内容だった。
私自身、短歌一首一首も、それが集まった連作も毎回とても悩みながら作っているので
「私なんぞが」と恐縮しまくりだったのだけれど、
自分のこれまで経験してきたことが少しでも役立つなら、と思って書いたものだ。

本文については結社誌に掲載されていて
もしどこかで見かけられたらチラリと覗いていただければ幸いだが、
(作り手側からと読み手側から連作を考察する文章が掲載されていて、
 どの方の文章もとても興味深かった)
いざ、書き連ねてみると大幅に字数をオーバーしてしまい
「連作を作った後の最終チェック」について書いた箇所をだいぶ削った文章になってしまった。
せっかくなので「私なんぞが」ついでにその部分をこちらに加筆修正して掲載したい。
皆さんすでにおこなわれていることばかりかもしれないけれど
これから短歌の連作を作られる上で、少しでも参考になれば嬉しく思う。


①まずはプリントアウトする

アナログ人間の私は、少なくとも最終チェックの時はプリントアウトして確認するようにしている。
もちろん画面上でもできるが、後の手順でマークをたくさん入れるので、紙の方が個人的にはやりやすい。
それに、プリントするとまた違った見方ができるように思う。

②誤字脱字、他の漢字はないか、ひらがなにした方がよくないか

一首目の初句から一語ずつ誤字脱字の確認をする。よっぽど間違いようのない言葉、漢字以外は辞書で確認する。
辞書は紙の辞書でもweb辞書でも。
漢字を調べていると、間違ってはいないが複数の漢字が使えるというケースもあるので
どの漢字がよりその歌に合っているか考えて選ぶ。送りがなも確認する。
また、よく「ひらがなにひらく」と言うが、
ひらがなにした方がその歌に合っているかも?ということも往々にしてある。
これも間違っているわけではなく好き嫌いとか感じ方の問題だが、それについても一つ一つ悩む。

私の場合、確認したらその言葉を丸で囲む。
鎖のように丸だらけになる歌もあって、確認してるぞ!という気分になる。
以下、傍線を引いたり波線を引いたり色を変えたり
自分なりの印をつけながらチェックしている。

③歌の結句に体言止めや、「歩く」「走る」など動詞の終止形が続いていないか

よく言われるように、今の言葉で短歌を作っていると結句のバリエーションが少ないと感じる。
体言止め(名詞で終わる歌)や動詞の終止形で終わる歌がどうしても多くなるので、
私の場合、3つ続いたらいったんそれを回避しようとする。
歌の順番を変えてみたり、歌そのものを修正しようとしてみたり。

④「ような」「ごとく」「つつ」などの言葉が続いて出てこないか

「ような」「ごとく」は直喩と呼ばれる。〇〇のような、〇〇のごとく、と直接的に比喩をする表現方法である。
こういう言葉や「つつ」なども、立て続けに出てくると目立つので
私の場合、分散させたり一つの連作中にあまり多く入れないようにすることが多い。
「ような」ばかりだったら、どれか一つは「ごとく」に変えられないか、なども考える。

また、私は2句目、3句目を「て」で繋ぎがちで、意識しないと3首4首続けてそうなっていることがあってびっくりするし
結句が「〇〇して」「〇〇やって」みたいな言い差しもすごく多くなる。
「に」と「へ」問題もあって、「に」ばっかり使ってしまうので、
例えば「冬空に」→「冬空へ」のように「へ」にしても内容や文法的に大丈夫だったら
「へ」に変えてみる、といったことも延々やっている。

⑤「けり」「ぬ」などを使う場合、正しく使えているか(直前の動詞の形も確認)

古語に弱いので(断言)、すごく気を遣って確認する。
私は基本的に今の言葉で短歌を作るのだけれど、時々「けり」「ぬ」「つ」など古語の助動詞も使う。
この助動詞自身の意味はもちろん、活用の仕方、
そしてその前に来ている動詞の活用形が正しいかもwebの古語辞典を使ってチェックしている。
それでも「?」となったら詳しい人に訊く、という技も繰り出す。
毎回いちばん困っているところかも・・・

⑥同じ形容詞などが何度も出てこないか

これは好みもあるし、連作にあえて必要というケースもあると思うのだけど
短歌は元々が字数の少ないものなので、バリエーションをつけたい場合
同じ形容詞や形容動詞が何度も出てくるのはもったいないと感じる。
でもなかなか自分では気づけず、私の場合、この最後の最後に来て
「静かな」が連作中に3つもあることに気づいて頭を抱えたことがある。
もちろん必要ならあっていいと思うが、この時は「静かな」3つは多いと感じた。
なので、どうやってもここは「静かな」だなという一ヵ所を残し、
後はどうにかこうにか違う言葉に置き換えた。


この一連の作業はできれば一度にやった方がいい。
なぜなら、その方が「同じ言葉だ!」などと発見しやすいからだ。
いや、私が忘れっぽいだけなのだが、作業に飽きていったんお菓子を食べたりテレビを見たりしていると
「静かな」が2回目だな、と気づきにくくなってしまうので・・・

そもそもこの作業はとても面倒なので(泣)、なるべくやりたくないと思ってしまうのだけど
これに救われたことも多いので、やはり大事な作業だと感じている。

以上、「私の場合」「好み」を多用していることからうかがえるように(笑)
これが正解というものでもないし、
それぞれに独自の方法を編み出しておられるかと思うが
もしも「ここは使えそう」という部分があれば、ぜひ。

※本編も以下に公開しました。


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