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泣いた

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夜明けの猫より大切なもの

夜明けの猫より大切なもの

 今夜もあやつは帰ってこないのだろう。取引先との飲み会だの何だので、二軒三軒ハシゴして、始発ならまだ良い方だ。最近は飲みに出るともっぱら外泊で、翌日の服はユニクロで調達。二十七の男がそれで良いのか、と呆れる。
 私はといえば、茹でた枝豆に塩を振りながら、昔だったら涙で味付けをしたなと思っていた。交際七年目ともなると、彼氏の不在も怖くない。こんなときはひとり晩酌をして、都心のどこかから来たり来なか

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あなたの頭撫でた嘘のような朝日だった

あなたの頭撫でた嘘のような朝日だった

 ドアを開けて、粗く切り刻まれた無数の写真が雛を守る鳥の巣のように、座り込む彼女を取り囲んでいるのを見て、僕はもうここに居ることはできないと思った。彼女は俯いていて、眠っているようにも見えた。
 僕はリュックサックを下ろして床に置き、刻まれた写真の破片を踏まないように気を付けながら、彼女のそばに寄って膝をつき、身をかがめた。彼女は眠ってはいなかった。真下の一点を見つめながら、荒く、静かな呼吸を繰り

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あなたの恋が、たとえばうまくいかなくても

つい先日、友人と長くラインをした。

というか最近の私はラインづいている。とにかく人からラインが来る。移動中や、就寝前に返す。ラインは続く。いつの間にか、スマホを握ったまま寝ている。なぜか。それは、もうすぐ春だから、私はそう思っている。

ちなみにラインの内容は大体が恋愛の話である。もちろんそれ以外の話題もあるが、最近はとにかくこれが多い。これも春だからだろう。恋愛というのは頭のバグみたいなものな

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