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2023年 9冊目『スローフード宣言ーー食べることは生きること』

食べることを大事にしよう。
そして丁寧に生活しよう。
そう思える本です。

この本は、サンフランシスコのレストラン「シェ・パニース」のオーナーであるアリス・ウォータースさんの本です。

アリスさんは50年以上のオーナーのキャリアがあり、世界規模でそれぞれ地元の伝統食を重要視する「スローフード・インターナショナル」の立役者です。

アリスさんの大事なコンセプトは、Interconnectedness=自分は、他者や自然と互いにつながりあっている。

「食でいえば、食べ物を育てる人は収穫をする人につながり、収穫をする人は輸送する人につながり、輸送する人は販売する人につながり、販売する人は料理をする人につながり、料理をする人は食べる人に… つまり、皆がつながっています」

このつながりに思いを馳せることができれば、暮らし方が変わってくるのだと思うのです。

「食べること」を出発点に、暮らし方、生き方、働き方を考えるきっかけになる一冊でもあります。

例えば、テーブルに乗った食事をどう食べるかだけではなく、食材がどこで、どう作られ、どう調理されたのかを考える。

そして捨てられた部分はどうなるのかまでを考える。

時間をかけて、ゆっくり考える。だからスローフードなのです。

ゆっくり考えるということは時間を使うという事です。

ゆっくり時間をかけて、自分の価値観にふさわしい食材を探して回る。

そして調理の工夫を自分で経験する。

現在では、スーパーマーケットに行けばあらゆる食材が一年中手に入り、旬というものを感じません。

あるのが当たり前になると、感謝がなくなってしまいます。

そして、多く買えば安くなるというのは、一見、お得かもしれないが無駄を生み出すことをに関与している事にもなります。

季節や旬を意識し、地元で完熟した食べ物を食べる。

そして、それら適切に作られた良い食材を使うことは結局、自分たちが棲んでいる地球を守ることにつながっているのです。

「価値観が人の行動を決め、人の行動が文化を作る」事を薦めています。

先日、ノルウェーのサーモンのドキュメンタリー映像を見ました。

魚が住む場所や食べるものへの規制は何も無いそうです。

その結果、汚染された水で養殖され、成長促進剤入りの多くの汚染への耐性薬の入った餌を食べたサーモンが輸出されているそうです。

そして、より脂肪の多いサーモンに毒性の高い重金属が蓄積されるのです。

それを知らずに食べている可能性があるのです。

食べ物だけではありません。

タオルも同じだそうです。

私たちが口にする植物には規制があります。

しかし、タオルを作る綿には規制がほとんど無いそうです。

多くの農薬が使われている綿で作られているタオルがたくさんあるそうです。

※先日、自分たちはできるだけ農薬を使わなくしているという今治タオルの方に伺いました。

そして、多くの農薬は我々の身体に悪いだけではなく、その農薬が地面にしみこみ、川に流れ、魚たちを侵すのです。

どのようなものを選ぶのか。

ゆっくり考えようと思うきっかけになる本です。


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