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こころの病気とひきこもり 私の場合〈強迫症のこと③〉

20代の頃のこと
強迫症による体調の悪さから、大学の授業にほとんど出られない状態になっていた私は留年をした。
実家での居心地がよくなかったため退学して帰省することも苦しく感じた私は両親にお願いをし学費を出してもらった。
 
苦しい日々の中でありがたかったことは、私のゼミの担当になってくださった先生が、若い頃に精神の病気になった経験のある先生だったことから、理解されにくい自分のこころの状態をすんなりわかってもらえたことだった。
卒論指導の時間は、卒論の話はせずに私の体調の話ばかりを聞いてもらっていた。25年以上経った今でも、本の匂いがする大学の先生の部屋の空気を思い出すことができる。
そのK先生ともう一人応援してくださった先生のお陰もありなんとか卒業までこぎつけることができた。
長い年月が経った今でも二人の先生にこころから感謝している。
 
卒業後、私は先のことが決まっていない状態で実家へ帰省した。
(働くことができる精神状態ではなかったため就職活動をしなかった)
実家で少しずつ元気になっていけたらと思っていたがそういう訳にいかなかった。
 
その頃のこと
・探しても自分に合う医師やカウンセラーが見つからない。
・ごくたまに会ったり電話で話す友だちがいたが、話ができる人や相談できる人がほぼいない。
・車の免許がないと出かけるにも動きにくい土地柄のため気分転換に出かけることもあまりできない。
・合う医療機関が見つからないこと、人・社会との関わりがほとんど持てない状況、(インターネットが使えたのでメンタル系の掲示板などをみて励まされることはあったが)、朝から晩まで強い強迫観念にさいなまれる毎日の繰り返し、それらの事態の重なりに疲れ果てていた。
・あまりの孤立状態であることに対する悲しみ、卑屈な気持ちでこころがいっぱいになる。
・関係が悪化していた両親と顔を合わせたくない、また大学時代に痴漢に遭遇したことをきっかけに恐怖心が強く、夜あまり眠れなかったことから昼夜逆転していた。
 
※  強迫症の症状はこのような感じの不潔恐怖の強迫観念がありました。
“ばい菌を人に広げてしまったらどうしよう、誰かが病気になってしまったらどうしよう”と思ってしまう。
家族や関わる人たちが私のせいで病気にかかったら…などと想像がふくらんでしまう。
 “私は誰かに会ったり人と接触するようなこと(仕事でもなんでも)をしない方がよい”という気持ちにさいなまれていた。
→ そのため余計に行動がとれなくなっていき八方塞がりになった。
不潔恐怖の中でも、自分が被害をこうむってしまうことを恐れる「被害恐怖」と、自分が他人に被害をもたらすのではないか…と恐れる「加害恐怖」の二つののタイプがあります。
 
その後
・寝込んで過ごしてしまう毎日を繰り返す中でやっとの思いで相談機関などを探す。
・強迫症の治療に詳しい医師やカウンセラーにはその頃出会えなかったが、大学時代に通院していた遠方のクリニックまで通ったり、地元の精神保健福祉センターで面談(カウンセリング)を受けるなどをしていた。(デイケアのように通える場所があったら行きたかったが見つからなかった)
・できそうなボランティア活動を少しでもしたり、車の教習所に通うことから始めていった。(アルバイトを始めるには車の運転免許がないと難しい場所であることから)
・短い時間のアルバイトから始めていき、30歳頃は自分の体調に合わせ、可能な範囲でアルバイトをしているような状態だったが、まだ症状が強くありとても苦しかった。
 
*  自分の経験から感じたこと
・強迫症はどれだけ休んでいてもよくならない。
ひとりで悩んでいるとどんどん悪化していく。
(自然に治ることが少ない病気だと言われています)
・ただあたり前に生活がしたかった、普通に働いたり人と会ったりがしたかった。
・求めていたのは人との繋がり・こころの繋がりだった。
(人との温度差の大きさにいつも参った。
困っているとき、孤立しひとりぼっちだと強く感じているようなとき、人に求めていることは大きなことではなく、たとえば少し気づいてもらいたい、気に懸けてもらいたい…というようなことだと思った。)


よかった本の紹介③
 
『よくわかる強迫症』 (『よくわかる強迫性障害』の改訂版です)
上島国利:監修 有園正俊:著 

とてもわかりやすく、また詳しく書かれています。
認知行動療法についても書かれている他、体験談も多く載っていてとても参考になりました。
著者の有園さんは「OCDサポート」の名前でサイトの運営をされており、また強迫症の自助グループの運営、それから精神保健福祉士として強迫症の方のカウンセリングをされています。
(私自身も症状がつらかった頃にカウンセリングに伺ったことがあります)
 
(載せたAmazonのリンクですが新刊がないようで高い値段がついているので、もしも手に入りにくかったらごめんなさい。図書館にもあるかと思います)



人はなにか支えやこころに寄りそってくれるものが必要。
にっちもさっちもいかない頃、よく音楽のライブに元気をもらいに行っていました♪
(写真は最近久しぶりに行ったライブの時のです)



紫陽花さん今年もありがとう!