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歴史小説「Two of Us」第3章J-13

割引あり

~細川忠興父子とガラシャ珠子夫人の生涯~
第3章 本能寺の変以後から関ヶ原合戦の果てまで
    (改訂版は日本語文のみ)
    The Fatal Share for "Las abandonadas"

J-13 ~conversasion@水戸野~

「お長も、茶会へ参りたいのか❔」
「いいえ、とうさま。イト姉さまをお招きくださいませ」


 忠興、あなた珠子、小笠原、マリア(清原イト)の大人4名は、顔を見合わせて少なからず、驚いたのです。
 お長の素直な願いを発言したと、解釈出来た小笠原は、笑顔で伝える。

「お長殿。イトは珠子殿のお付きでは参るが、同席で茶をたしなむ事は、無いのですぞ❔」
「なにゆえ❓
 イト姉さまは、家族の女子でありまする。かあさまと(徳川家の)お方様がお揃いならば、イト姉さまもご一緒は、いけませぬか❓」


幻の本丸跡 宮津城


忠興は、笑って丁寧に答える。
「お長。お長は同席出来るのだぞ❔ 
 お長や興之丸は、主の細川の嫡子だからだ。珠子も、その時はおべべを差し替えた上、奥方として同席する。
 しかしながら、小笠原とイトは、家臣ではあるが、家系ではない。細川の家が招くゆえ、家系の茶会であるぞ❔
 お供や接待はするが、イトは同席出来ぬ。わかるかな❔お長」

 しばらく考え込んだ、お長
「、、、あいわかりませぬ。しばし、お時間をいただきまする。。。」

 あなた珠子は、お長の疑問に思うことを引き出すために、努めて穏やかに語りかけ、訊き出す。
「お長は、どのようなことを、あいわかろうとしているのですか❔」
「はい、かあさま。かあさまもイト姉さまも、お長も家族です。
 家族ではない(徳川家の)お方様がよろしくて、家族のイト姉さまが、なにゆえなりませぬのか、、、あいわかりませぬ」


「ほほう。それは誠に難儀なお題。
 小笠原なら、なんと申せば御意であるか❔」
「さて、、、困りましてござります。武家とはそのようなモノと深く考えては来なんだ。。。イトはどうじゃ❔」

 あなた珠子は、なんと応えればお長が理解するのか、察したように笑みを浮かべた。イトはさらにかみ砕いて説明をしてみせた。

「お長様。お茶会とは、家系の家族が公(おおやけ)のお付き合いで、催すものです。家族のお遊びの趣(おもむき)とは違うのです。そこは、おわかり頂けますでしょうか❔」
「はい。イト姉さま。お仕事とお遊びはちがいます」

 

 忠興は眼を細めて理解の速い娘を見つめる。きっと、珠子も幼き頃にはこんな風に「なにゆえ❓」「なにゆえ❓」明智十兵衛殿を、困らせて居たにちがいない。。。。好奇心旺盛な所がそっくりだ!と。

「あっ!あいわかりましたっ!!【家系】と【家族】は違うのです!
 おやこまご、つながり行くのが家系なのですね❓いっしょに住まわなくとも、忠隆様は長男で家系です。
 イト姉さまは共に暮らす家族です。でも細川のおうちの人ではありませぬ。だから、、、かあさま。お答え合わせください」

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