NANA

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はじめまして。 東京生まれのNANAです♂ こちらではブログというか、 自由に気ままに書いていきます。 はてなブログ https://skys77.hatenablog.com/ Amebaブログ https://profile.ameba.jp/me

最近の記事

ともえちゃんのラリアート 2

ともえちゃんの部屋はお世辞にもキレイとは言えな い状態だった。台所のジンクには食器なんかが乱雑 に重なってあった。後、食べかすだ、納豆のパック なんかが散らばっている。私はとりあえず一通り片 付ける事にした。食器を洗っていると、ともえちゃ んがTVを点けた。『遠征中はTV観れないんだよ ね。』と言っている。私はとりあえずTVを観れるだ け回復してくれて何よりだと思った。そうこうして いるうちに部屋らしくなった。ともえちゃん本人も この部屋に帰って来るのは久し

    • ともえちゃんのラリアート

      全二話 10年前 18才 私たちは友達だ。ともえちゃんとはいつも一緒にい る気がする。それほど仲良しなのだ。帰りの方向が 同じというのもあって、仲良くなった。私たちは高 校生。三年生にもなると進路の話題が多くなる。と もえちゃんには夢があった。女子プロレスラーにな って、脚光を浴びること。夢のない自分にはそれが 凄く羨ましく思えた。小さい頃に観たキューティー 鈴木という選手が好きだったんだとか。プロレス に疎いわたしは、ともえちゃんの話に相槌を打つこ と

      • 雨女、雨男

        田代夏見 21歳 一応これでも学生なのだ。8月に生まれたから夏見、 でも夏は全然苦手。そして今は梅雨、最近空が泣い てばかりいる。…この日も泣いていた。   私は町のパン屋さんでバイトをしている。 自慢じゃないが、うちのクロワッサンはまじで美味 しい!看板商品ももちろんクロワッサン。 この日は午前中でバイトを終えた。お店を出るとポ ツポツと雨が降ってきた。今日天気予報見て来なか った罰だと思った。私は傘を持ってない、その時後 ろから、 『彼女』、『彼女~

        • ケータイ

          私は都内のデザイン事務所に勤める25歳のユキ。 デザインと言ったって私はデザインしない。 雑用係みたいなものだ。それでも職場はみんな良い 人たちだし、仕事も楽しい。順調に見えるかもしれ ないが、最近失恋からやっと立ち直ったばっかしな のだ。三年間付き合った彼氏にフラれた、私からす れば三年は長い。理由は『ひとりになりたいから』 という、納得がいかないものであった。 立ち直るのは、生易しいものじゃない。泣いて、泣 いて、泣いて、お酒も飲んで。中島みゆきまで聴い

        ともえちゃんのラリアート 2

          ともこちゃんの友達

          私は藤沢市立湘洋中学校に通う中学2年生。 名前はリエ。そして私の友達ともこちゃん。 これは、そんな私たちの物語。 私と、ともこちゃんは小学校からの幼なじみ。 ともこちゃんには軽い知的障害があった。 全然普通なんだけど、人より物を覚えるのが遅か ったり、複数での会話が苦手だったり、少し話し方 に特徴があるくらいで、私は全然気にならなかっ た。しかし、ともこちゃんはその事を凄く気にして いた。私が「わからないし、全然普通だよ」と言っ ても、本人の中では納得がいか

          ともこちゃんの友達

          街の片隅で

          大黒摩季の『別れましょう私から消えましょうあな たから』という曲の中の歌詞に、『同情のセックス』 というフレーズが出てくる。 まさしく、私たちの夫婦間系を代弁してくれているように思う。 夫婦なんて10年も経てば、全てが同情でしかなくなる。 もちろんそれはセックスもである。 私はコンビニでパートする46歳の女。 基本夕方から入っている。 毎日のように、ストロングゼロを買いに来ては、隣 の閉まったみずほ銀行の前で酒を飲んでいる、長 田という40歳の男がいる。長

          街の片隅で

          句読点のない恋

          横浜に来るのは三年ぶりだった。 三年前は19歳。私の10代最後の年だった。 その頃の彼氏と横浜デートをしたものだ。  そして今の私、大木麻奈 22歳。 来年の春から社会人として働くことになっている。 学生生活最後の年だ。 なんだか横浜には人生の節目に来ているように感じる。 今の彼氏は付き合って半年。前の彼氏と別れると同 時に付き合った、だから友達からは注意された。 彼氏は25歳のアパレル関係の仕事の人。 車持ってるし、子供じみたこと言わないしで、 基本日

          句読点のない恋

          恋するのり弁

          私は藤崎南 32歳。下町の弁当屋の娘。現在無職。しかも引きこもりがち。妹もこの一軒家で住んでいる 。母、妹で弁当屋を営んでることになる。そんな私は厄介者として扱われている。これはそんな私のストーリー 『いつまで引きこもるんだ、弁当屋手伝いなさいよ!』 この言葉がいちばんツラい。好きで引きこもってるワケ じゃない。何だか心がつらいのだ。しかし親は解ってく れない。でも私も母の気持ち解ってあげられてないか ら、おあいこである。そんな私はバイトすることにし た。駅前のす

          恋するのり弁

          ドライブ

          『可愛いのはさとう珠緒だよ!こないだサイン会行 った時、俺、いつもお世話になってます!って言っち ゃってさ!!マジ恥ずかしかったわ~』 このバカが俺。藤巻真二17歳の高校生。勉強サボり すぎて都内の名門バカ高に通ってる。頭はバカだけ ど、昔から霊感が強かった。電話は鳴るまえに解っ ていたし、人の死相も見えた。でもこのバカ高校で 他のアホな奴らと、話したり、遊んだりしている内 にそんなもんどっかに消えたと思ってた。この日ま では… …時代は90年後半。世の中

          ドライブ

          挽回

          また、今日も2ちゃんねるを覗く男がいる。男は香川 淳夫53歳だ。香川は小説家。しかし最近、いや、ず っと執筆していない。書かないのではない、書けな いのだ。もう世の中から忘れられてるんじゃないか と思い、2ちゃんねるで、自分のスレッドをチェック しているのだ。そこにはいろんな事が書かれてい た。『香川はつまんねー』『香川は終わった』など など、ひどいものだ。しかし、香川はまだ自分のス レッドが立つことの方に喜びを得ていた。 デビュー作がいちばん売れた。デビュ

          ふたり

          奈良亮平 29歳 僕は今年で、いや、今月で30歳を迎える。 一応肩書きはシンガーソングライターだ。 と言っては見たものの、簡単に言えば売れないミ ュージシャンである。さすがにこの年になるとこの まま夢を追ってて良いのか正解が欲しくなる。 自分が学生の頃思っていた30歳は、もっとしっかし た大人を想像していたが、実際に30歳を手前にして みて、思うことは案外幼稚で嫌になる。 僕は月曜日~金曜日まで駅前の魚民で深夜のバイト をしている。そんで毎週土曜日はストリ

          ふたり

          約束

          『今年の夏は暑いね!とろけちまうよ』 それはヨシノリが働く田島鉄工所の田島の声で あった。ここで働くヨシノリは現在17歳。朝から夕 方までここで働いて、その後夜間学校へ通うヨシノ リ。仕事も学業も真面目な青年だ。ヨシノリは田島鉄 工所で働く前は、たびたび警察のお世話になってい た不良少年だった。夜間学校に通い、大学に入ると いう夢を持ってからガラリと非行への興味が失せた のであった。鉄工所は熱い。田島の当たり前すぎる発 言に、一瞬ジョークなのか困惑したが、ヨ

          彼女たちの夜明け

          『絶対ありえないですよー。ブサメンと付き合うと か。少し冷たくても絶対イケメン、イ▪︎ケ•メ•ン!』 私は小沢可奈28歳。そしてこの大のイケメン好きが えり子25歳。私たちは仕事先が同じ。でも年もキャ リアも私の方が長い。この日ば春ももうそこまでの、 三月の金曜日に二人で飲んでいた。私はこの数日後 にえり子が変わり果てる事を知るよしもなかった。 …『可奈さん、えり子今日も休みてすって』 それはあの日の飲みの3日後のことだった。えり子と 同じグループの子が言っ

          彼女たちの夜明け

          ラストシーン

          三浦かのん 22歳 これがわたしの名前。なんかセクシー女優みたいな 名前で、好きになれない。自分の名前嫌いとか、生 まれた時から罰ゲームみたいでなんかつらい。私は 古着屋でバイトをしているフリーター。って言って も正社員なみのシフト。土日は基本出勤、休みは まちまち。それに古着屋と言ってもチェーン展開型 の古着屋だから、苦手なアナウンスもしなくちゃな らいし。ま、これも頑張れるはのはまーくんがいる から。まーくんとは、そう、わたしの彼氏!ま ーくんとは一年

          ラストシーン

          裸の言葉

          この世界は広いようで、もしかしたら狭いのかもしれない。今日もどこかで誰かに小さなストーリーが起きている。 土間新也31歳。 職業AV男優。男優歴6年目になる。彼女は作らないの が僕の定義だ。季節はすっかり春を迎えて、着てい るGジャンが熱く感じるくらいだ。この日 俺は朝の現場一本撮り終えて、午後は完全オフだっ た。AVの朝の現場は早い。7時に新宿なんてことはザ ラだ。この日は8時に渋谷のスタジオ入りだった。 朝はコンビニで買えるゼリープロテインが必須だ。 男

          裸の言葉

          星は見えなかった

          岡村美幸、現在32歳の本厄真っ只中。 これが今のあたし。ちょー簡単に説明してしまえば。そしてその夜わたしはリカが住む関内の改札で待ち合わせをしていた。時計を見ると9時20分。約束の時間より10分早く到着していた。関内の駅周辺の喫煙エリアを探すとサラリーマンや、学生たちが半透明にすけたボックスの中でタバコに火を点す姿が見えた。やけに混んでる。そうだ今日は土曜日だった。昔から失恋したら仕事のシフトを倍に増やして『忘れる』という技を使ったもんだ。まさに今のあたしは空気の抜けた風船の

          星は見えなかった