研究者から学ぶ、クリエイティブな毎日の過ごし方
こんにちは、市橋です。
研究というクリエイティブな活動を生業にしております。
今回、クリエイティブな毎日を過ごしたい方に向けて書きます。
1日をなんとなく過ごしてしまったと後悔したことはありませんか?
私も仕事やプライベートで様々な対応に迫られ、自分で自分のことをうまくコントロールできなかったと反省の毎日でした。
そのようななか、1日の活動を見直すことにより、長期的な視野で毎日の着実な進展を感じることができるようになりました。
そのため、精神的にも身体的にも落ち着いた状態を保つことができております。
そこで、何かとイレギュラーな対応が多い研究者が体得した毎日の過ごし方のヒントを共有します。
1. 模索した日々
研究者という職業は、プロジェクトを自身で計画し、実施し、管理します。
そのため、時間的な自由度が比較的高く(学術分野の研究者では裁量労働制という雇用形態もあります)、自分自身で働き方を管理する能力が求められます。
またフリーランスの仕事と同様に、成果や責任が個人に問われる状況にあります。
このような研究者という職業の特性により、私もそのときそのときで様々な働き方を学び、実践し、試行錯誤してきました。
まずはこれまでの私の研究人生を振り返って、模索した日々を3つのステージに分けて紹介します。
博士課程からポスドク1回目では、右も左も分からず、とにかくがむしゃらに働いた時期でした。20代という若さで体力もあったので、夜更かしや徹夜も日常茶飯事でした。しかし、活動する時間が長いにも関わらず、なかなか成果が上がりませんでした。そのため、気がつくと、愚痴や不満などネガティブな発言が多くなっていました。苦しい経験ではありましたが、それまで自分の能力を過大評価していたことを気がつき、良い意味で現実的に物事を考えることができるようになりました。
ポスドク2回目では、新しい研究分野に変わりましたが、それまでの自身の強みや経験を活かす形で研究を進めるようになりました。共同研究を多くすることで成果も上がり始めました。実動時間と生産性は必ずしも比例しないことに気づきました。また30代になり、身体的な変化を感じるようになりました。例えば、20代のときと同じ量を食べると太りやすく、20代の勢いで働くと疲労が溜まり、風邪などの病気にかかりやすくなりました。このような経験から、自分の能力のキャパシティを知ることができ、また自分でコントロール可能な範囲を知ることにつながりました。
研究主宰者では、自身の経験に基づいて研究室を運営する業務になり、仕事の内容が大きく変わりました。論文執筆や研究費の申請と報告書など、今までとは比べものにならない量のデスクワークがあり、短期間で終わらせるということがそもそも難しく、計画的に対応するしかない状況になりました。このような経験から、「体力が衰えた状況でいかにタフな仕事を効率良くこなすか」、「限られた時間でいかに多くの方と密に交流していくか」など、自分自身が持つ能力や時間に限りがあり、それらをいかに効率的に使うかが重要であることを学びました。
以上の経験を通して、自分の夢を実現するため、個人のキャリア向上や所属する組織への貢献のため、普段我々のような研究者が研究対象を扱うように、自分自身の能力について客観的に把握する必要があることを学びました。その上で、個人として最大限のパフォーマンスを1日1日積み重ねていくしかないということを強く実感するに至りました。
2. クリエイティブな毎日にする方法
それでは、大きな成果を達成するため1日1日をどのように過ごせば良いのでしょうか?
現時点の私が辿り着いた回答は…
まず、日々の行動に反映されていない目標は達成されません。
多くの方がやりがちなのですが、今年はダイエットに成功するといった目標を立てながら、全く行動に反映していないことが多々あります。宝くじを買わなければ宝くじが当たらない、バッターボックスに立たなければホームランを打てないことと同じです。まずは千里の道も一歩からということを肝に銘じることが必要になります。
次に、目標に向かう行動を続けることが必要です。
しかし、どんなに精神力を鍛錬した人でも感情は日々変化します。変化する感情に左右されてしまうような行動では継続が難しく、目標の到達を妨げてしまいます。これを解決する唯一の方法として、目標到達に必要な行動について、日々変化する感情に左右されない「習慣」にしてしまうことです。
習慣とは、朝起きたら顔を洗う、部屋を出るときに電気を消すなど、やる気や根性が無くても自然に実行できる行動のことです。習慣化に成功すると、逆にその行動を実行しないとなんだか居心地が悪くなります。このように、目標を定め、その目標に向かって良い習慣を続けることで、ゆっくりではありますが、着実に目標達成に近づくことができ、毎日をクリエイティブにすることができます。
「いやいや、習慣にできないから困っている」という声が聞こえてきそうですが、習慣化にはコツがあります。多くの方は習慣にするためにモチベーションなどご自身の精神力に頼りがちですが、習慣化には精神力とは全く関係ない次元の力学が働くのです。
そこで、実際に私が習慣化する際に意識したことをヒントとして列挙します。是非こちらを参考にして、笑えるくらい小さい行動の習慣(毎日腕立てふせを一回する、みたいな)を成功させることからまずスタートしてください。
精神力とは別次元で自分自身を管理できる能力が身につけると、見えてくる世界が一変します。
3. 私の毎日の習慣
博士課程の時から数えて15年間の試行錯誤の末に辿り着いた現在の私の毎日の「習慣」をご紹介します。
2021年の5月から以下のようなスケジュールで毎日を過ごしており、記事を書いた2022年8月現在までで1年以上同じスケジュールを続けております。
以上のように時間ベースで決めている習慣が大半ですが、行動ベースでの習慣もあります。例えば、「重要な案件ほど午前中に入れる」、「タスクの締め切り期限だけでなく着手する開始日時をその場で決める」、「やると決めた仕事はどんなにモチベーションが上がらなくても時間を設定してタイムトライアルで取り組む」などです。
このような習慣は、それまで何となくで行動していた私からは想像できないほどの成果をもたらせてくれました。
まず実感したのが、毎日の運動と規則正しい生活により、失敗続きだったダイエットに成功して、身体のパフォーマンスが向上しました。半年ほどで7 kgの体重が落ち、筋力もついたので、見た目も若返りました。
また毎日目標を読むことにより、研究プロジェクトで日々生じる重要な意思決定で迷いが生じることが少なくなり、研究プロジェクトの着実な前進を実現できております。
さらに毎日の執筆活動により、なかなか進めることができなかった論文執筆を進めることができるようになり、またこうして次世代研究者のための記事を書くこともできました。また毎日の執筆活動には嬉しい副産物があり、作文能力の鍛錬に繋がり、メールや報告書での作文に係る時間が圧倒的に少なくなります。そのため、ドタバタしていた毎日が少なくなり、余裕がある日々を過ごすことができております。
最後に就寝時間や入浴の時間を定めることにより、だらだらと仕事をすることが無くなり、家族との時間を確保できるようになったことも日々の大きな喜びにつながっております。
4. さいごに
今回の内容は一研究者の主観的な体験のため、どんな方にも当てはまる処世術にはなりません。また一人の人間の中でも、人生のステージごとで置かれた境遇からの制約が異なります。
ただ、もし私が今までの経験を持って、若い頃に戻ることができるなら、目指すべき目標をクリアにして、そこに向かうための行動を習慣化すると思います。ひょっとすると、学校で学ぶ最も大切なことは、授業の内容よりも、毎日同じことを繰り返して小さな成功体験を積み重ねるということかもしれません。
毎日をクリエイティブにするために何らかの習慣を始めたいと思った方にはこちらの本がおすすめです。習慣化を進める上で生じやすい落とし穴とその回避方法が丁寧に解説されています。
また私の習慣は、以下の本から大きな影響を受けております。
実際に試すことで効果を実感し、今でも続けていることが多くがあります。
今回は以上になります。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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