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祈り【映画「Godland」🇩🇰🇮🇸】

待望の北欧映画「Godland」が遂に公開、したは良いもののたったの3日間限定上映で予定もカツカツ。


デンマークの若い牧師ルーカスは教会建設を命じられ厳しい旅路を経てアイスランドの極地へ向かう。

アイスランドで見つかった、19世紀末期に撮られたと思われる古い写真の数々。
本作品はアイスランド出身の監督がこれらの写真にインスパイアされ撮られたものである。


雪景色。厳しい自然。
息を呑むほど美しい。
めぐる季節と巡る命。

本当に恐ろしいものは、自然でも神でも死でもなく、生きている人間たちなのである。

人々はときに死ぬことを祈り、また自分でない誰かが死なないことを祈ったりする。無邪気な子供はルーカスに尋ねる「神様って見たことある?」大人は呟く。「神ってなんなんだ。」そしてそのうちに彼らは気づく。牧師は神でもなんでもないのだと。だけれど彼らは祈るのだ。愛を、生を。


静けさが印象的な映画である。
飛び交う2つの言語もやがて雪に吸い込まれ、夏には貧相な草木が生い茂る。その上を人を載せた馬が歩く。



日本人視点で語ると、遠藤周作の「沈黙」を読んだ人にはぜひ観てほしい。"神はなぜ沈黙を貫くのか" という前述作品のテーマと、本作品のテーマである" 神の言葉は届くのか" という概念はかなり類似している。わたしたちは祈ることには意味があると、祈りたいのかもしれない。そうでもしないとあまりに厳しい世界であるから。



予告編こちらからどうぞ。


【余談】
北欧映画は良い。静かで、淋しく、恐ろしい。

少し前にデンマークの外務省ドラマを観ていたのだけれど、このあたりの北欧の国々というのは民族間差別というか、歴史的にも経済的にもいろいろと複雑なようである。根深い上下認識が、このあたりには確かにある。

「Oppenheimer」も観たのでそのうち書きたい。
友人の詩集も、友人が送ってくれた仏小説「エンリコ」のことも書きたいのだが、なかなか進まず。まあそのうち。

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