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展覧会レビュー:「創業200周年記念 フィンレイソン展」+コレクション展@長崎県美術館

長崎旅行に行った際に長崎県美術館にも寄りました。その企画展、コレクション展、美術館自体への感想などを書きます。

結論から言うと、とても良い美術館だと思いました。建築とコレクション展が良かったです!長崎観光の際にも是非、寄るべきポイントだと思いました。「フィンレンソン展」はメッセージ性が低く「普通」という印象。

長崎県美術館には初めて行きました。長崎旅行を検討した際に「どんな美術館があるかな」と探していると、なんか格好いい美術館があるではないか。しかも建築は隈研吾!ということで行くことに決めました。

創業200周年記念 フィンレイソン展

企画展示室へ向かう「橋の回廊」
チケット
チケットに使われたテキスタイル

受付で確認したところ、作品リストは作っていないとのことでした。それくらい展示数が多かったです。私の中で「フィンレイソン」といえば、”ユニクロと定期的にコラボしているマリメッコのようなブランド”です。

創設者のジェームズ・フィンレイソン氏

展覧会へ入ってすぐに沿革が展示されています。フィンレイソンは1820年に紡績機械を製造する工場からスタート。今のフィンレイソンの代表作であるプリントだけでなく、一般的な織りテキスタイルも展示されていました。1950年ごろまでは一般的な生地メーカーだったことがわかります。その後、デザイナーが入ってプリント生地を多く作ることとなり、今に至ります。

展示室の風景
展示自体は単調
来場しているお客さんはファッションが好きそうな方が多い

展示自体は単調で退屈でした。さまざまなデザイナーが考案したさまざまなプリント柄がただ並ぶだけです。そこにストーリー性はほぼありません。当時の時代背景なども紐付けながら展示すると良いと思いました。それらを見ながら、ただ自分の好きな柄を探す作業となりました。

「オンップ」というフィンレイソンの代表的なりんごのデザイン

 

日本にもありそうなレトロなデザイン
「コプラ」という200周年を記念して作られたデザイン。かわいい
プロジェクションマッピングを使った展示

マリメッコは株式会社ルックがライセンスを得て日本で販売していますが、フィンレイソンは日本に直営店がないようです。知名度がさらに増えてきたら日本にも直営店もできるかもしれませんね。

また、最後にあったリサイクル生地を使ったラグマットの生産工程は参考になりました。「リサイクルです」と言われて販売されていてもピンと来ませんが、その工程を動画で見せてくれると説得力が増します。
グッズ売り場には多くの限定品がありました。どれも可愛かったため、ここだけの販売だともったいないな、と感じました。

この展覧会を通じて、フィンレンソンのここが良い!私たちのコンセプト・企業理念はこれ!というメッセージを感じることができませんでした。マリメッコと何が違うのか?結局、フィンレンソンは「かわいい柄しか取り柄のないファブリックメーカー」という域を出ませんでした。少し残念。

一番最後のフォトスペース
購入したポストカード。なぜか少し細長い

コレクション展

コレクション展は全て撮影不可でした。私は「フィンレイソン展」よりもコレクション展の方が気に入りました。ジャンルも幅広く、程よいスペースを保って展示されており、気持ちよく鑑賞することができました。

部屋ごとに展示期間を区切って入れ替えをしているようです。コレクション展内をここまで小規模に区切って入れ替えしているのは珍しく感じました。

ヴェネツィア―松尾敏男+奈良原一高
2023年01月27日(金) ~ 2023年04月09日(日)
長崎ゆかりの日本画
2023年01月27日(金) ~ 2023年04月09日(日)
須磨コレクション3―スペイン・キリスト教絵画
2022年12月13日(火) ~ 2023年04月23日(日)
舟越保武―長崎26殉教者記念像のためのドローイング
2023年01月31日(火) ~ 2023年04月04日(火)
スペイン近現代美術3
2022年12月13日(火) ~ 2023年04月23日(日)

洋画、日本画、写真、版画、ブロンズ像。ピカソ、ジョアン・ミロ、ダリ、舟越保武など。ジャンルが多岐に亘り、有名どころの作品もあるのは良かったです。キュレーションが大胆かつ繊細だと思いました。

中でも舟越保武の展示は気づきが多かったです。2022年に私が偶然訪れた岩手県立美術館で舟越保武(岩手県出身)の作品を鑑賞しました。当時は「熱心なキリスト教徒なんだな〜」くらいしか思いませんでしたが、今回の長崎旅行で大浦天主堂(正式名称:日本二十六聖殉教者聖堂)も観光したことで、作品の深い意味を理解することができました。

「長崎26殉教者記念像」@岩手県立美術館(2022年9月、私による撮影)

長崎県美術館について

「呼吸する美術館」をコンセプトに2005年4月に開館。「最近できたのかな?」と思うほど、今見ても古さを全く感じないデザインでした。隈研吾らしい垂直を多用した装飾と硬そうな素材使い。スタイリッシュかつどこか温もりを感じる、海などの自然とも融合した印象をもちました。

遠くから見た長崎県美術館
入り口にあるサイン
角度をつけて見ると文字がよく見える
特徴的な「橋の回廊」。川を跨いだ美術館は珍しい
入り口を入ったすぐの受付。しかし、展覧会のチケットは2階の会場で購入する(何のための受付?)
屋上からの眺め。スパッと切り落としたようなデザインが気持ちいい
後ろにマンションなどが林立しているのが少し残念
周辺地図。「出島」と言いつつ、今はほとんど埋もれています

長崎県美術館は、建築も素晴らしく、企画展や特にコレクション展が充実していると感じました。定期的に訪れることはもちろん、長崎観光や旅行に行った際にも是非、寄るべきポイントだと思いました!

補足

展覧会名:「創業200周年記念 フィンレイソン展」+コレクション展
場所:長崎県美術館
満足度:★★★★☆
会話できる度:★★★★☆
会期:2023年01月21日(土) ~ 2023年03月26日(日)
アクセス:長崎駅から徒歩約15分
入場料(一般):1,300円
事前予約:不要
展覧所要時間:約2時間
混み具合:快適
展覧撮影:フィンレイソン展は最初の2部屋以外可能(概ね全体の7割)。コレクション展は全て不可。
URL:http://www.nagasaki-museum.jp/exhibition/archives/2014
http://www.nagasaki-museum.jp/permanent/

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