見出し画像

良い文章。伝わる文章。


例えばレポートの提出を求められたとして。
意気揚々と前向きに取りかかる人がどれくらいいるだろう?

感想文・レポート・提案書・議事録・・・
基本的に、文章を書くという行為はめんどくさいものであり、苦手意識を持っている人は多い。

ではなぜ、そんなに負のイメージが強いのか?

上阪徹さんの著書「文章がすぐにうまく書ける技術」を読むと、そのようなモヤモヤをクリアにしてくれます。
というか「そもそも考え方が違うんだよ」と言われている気がするのです。
今回は、この本を自分なりに要約してみました。



なぜ文章はめんどくさいのか?

これはズバリ、一言で説明できます。
それは、良い文章を書こうとしているから。

はっと気づきを与えるような、深く感動してしまうような、そんな文章に期待して机に座るけれど、いざ書こうとしてもそんなもの書けずに手が止まる。そしてだんだん書くのが怖くなる。

そんな経験ありませんか?僕はあります。


良い文章は書けない。

良い文章を書く人は確かに存在するけれど、それは小説家など一部の才能ある人の領域。アスリートと同じ。
普通の人に良い文章なんて書けないし、書く必要もない。

なぜなら、誰からも教わっていないし、教わったとしても学んだことが生かせないから。

そもそも、文章の読みかたの授業はあっても書きかたの授業はありません。
それなのに、人は誰でも当たり前に文章が書けるものと認識されているのです。
「作文や読書感想文を書いてきたじゃないか!」と思うかもしれないけど、
むしろこの経験こそが、文章に苦手意識を持ってしまう、あるいは文章が書けないことの大きな要因になっているのです。

○理由1:読み手を意識していない。
作文とは、基本的に自分の感想を書くもの。
何を感じたか、どう思ったか。自分が主体です。
ですが、大人になって書く文章やビジネス文は、相手に伝えるためのもの。読み手が主体です。
まったくの別物なのです。

○理由2:起承転結
作文の大原則、起承転結。
しかし、これも大きな壁になってしまっています。
そもそも起承転結は物語として必要なもの。
ビジネス文においてもっとも重要なのは、結論です。
普段の文章においては、起承転結は必要としないことの方が多いです。


以上のとおり、良い文章は書けない。書く必要もないのです。

では、文章を書く上で必要なことは何か?
それは伝わる文章を書くこと。
良い文章ではなく、伝わる文章を意識すればよいのです。

伝わる文章を書くための4つのステップ

伝わる文章とはなにか。
考え方から書き方まで、4つのステップがあります。
要約すると、
「目的を決める → 素材集め → 素材選び → 並び替え」
となります。

①目的を決める:「誰」に「何」を伝えたいのか。

その文章は誰のために書くのか?そして何を伝えたいのか?
大切なことは、どう書くかより何を書くかです。

どんな文章にも必ず「目的」があります。
さらにいうと、文章とはその「目的」を相手に伝えるための一つの手段にすぎません。
そのため最も重要なことは伝えること。そして伝わることです。
センスある文章ではなく、論理的で一貫性のある説得力を持った文章こそが必要なのです。

では、論理的な文章とはなんでしょうか?
それは、「主張」「理由」「事実」。
この3つが矛盾なくつながっている文章のこと。
自らの主張が事実に基づいた理由によって裏打ちされたとき、その文章は論理的だといえます。

主張とはその文章の柱となる部分。
書き手が読み手に対して、最も伝えたい「目的」です。
書く前に、まずここを固めることが重要です。

②素材集め:文章は素材でできていることを知る。

文章は、ゼロからつくるということはありません。
それを構成する素材があるからです。
素材とは、文章を書くために(目的を伝えるために)必要な「情報」や「要件」のこと。
おしゃれな表現やセンスなどなくても、情報そのものがしっかりと述べられていれば文章はつくることができます。

具体的にいうと、素材とは「事実、数字、エピソード」のこと。
①で「目的」を設定しさえすれば、必要な素材は自然と把握できます。
主張の裏付けとなる具体的な事実や数字を述べることで、論理的で説得力ある文章をつくることができるのです。

そして、素材集めに必要なのはメモをとること
人は忘れてしまう生き物です。時間がたてば忘れてしまうもの。
見たことや聞いたことだけでなく、その時何を思ったか、どう感じたか。
メモさえあれば素材は集まります。
逆にいえば、メモがなければ素材は集まりません。

③素材選び:どの素材を使えばより伝わるか。

もちろん素材が集まったとしても、それを並べただけでは伝わる文章にはなりません。
ここでもまた、「主張」「理由」「事実」です。
読み手が子供と大人では伝える内容、つまり使う素材が異なります。
読み手に主張したいことは何か。読み手はどんな情報を欲しているのか。
そして、どんな事実を述べれば論理的になるのか。
素材の中から必要なものをピックアップしていきます。

また、素材にはもう一つメリットがあります。
それは形容詞の代わりになること。
「すごい」「楽しい」などの言葉は、主観であるため読み手に上手く伝わらない危険性があります。
素材を使えば、その部分をより分かりやすく伝えることが可能です。

例えば「寒い」という形容詞であれば、
「窓の外にはつららが出来ていた。」
「手がかじかんで、手袋なしではいられない。」 などなど。
つららが出来ていた。という事実を述べることで、寒いという言葉よりも、より具体的に寒さを伝えることができます。
(文字数をかせぐことも)

④並び替え:話すとしたらどう伝えるか。

最後は、ブロックの並び替えです。
何度も言いますが、伝わる文章を書くために必要なことは論理です。
これまでは一つの主張を論理的に伝えるために、理由や事実を用いることを書いてきました。
ですが長文の場合、一つ一つの主張はしっかりしていても全体でみると読みづらいということが起こります。
各ブロックをパズルのように並び替え、文章全体に一貫性を持たせる必要があります。

ここでのポイントは、話すとしたらどう伝えるか?
人は意外と論理的に話しているもの。
聞き手は上司なのか同僚なのか、友達なのか家族なのか。
例えば同じ内容を話すにしても、相手に合わせて内容や展開を変えるなんてことは、案外あっさりできてしまいます。
文章だと考える時間がありすぎて時に右往左往してしまい詰まってしまうことがあるので、話すときのほうが意外と上手にできるのです。

伝えたい相手に、話して伝えるならどう話すか。どんな順番で伝えるか。
ここでもやはり「誰に書くのか?」を想定することが重要となります。

事前準備が一番大事

結局、書き始めてからよりも書くまでが一番大事なのだと思います。
①~④の作業は、すべて書く前に行う作業です。
もちろんそんなに簡単ではないですが、プロのライターさんや文章が上手な人ほど、この事前準備に入念に取り組んでいるのではないでしょうか。
どう書くか。ではなく、何を書くか。
誰に何を伝えたいのか。
これが、この本で最も伝えたいことだと思います。


それを踏まえたうえで


それを踏まえたうえで。

こんなことをいっては元も子もないのですが、やはり僕は良い文章が書きたいなと思います。
もちろんこの本の主張が「良い文章なんて書けないから書くな!」ではないことは分かります。「良い文章なんか書けなくても問題ないよ。文章はもっと気楽なものだよ。」と言ってくれているのだと思います。
ですが、多くの良い文章に出会ってこんな文章が書きたいなと思ったのも事実。そこはブレずにいきたいです。

でも、おそらくそれは次の段階。
そこにいくにはまず、論理立てて分かりやすく、説得力のある文章を書かなければ。
まずは地盤をしっかりと固めるべきなのだと思います。

そう考えると、「まだ早いぞ」と言われているような気さえしてきました。





この記事が参加している募集

今こんな気分

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?