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#5『L・デバードとアリエット―愛の物語』ローレン・グロフ

コメダ珈琲でモーニングがお得ということで、文庫本『恋しくて』をお供にして行ってみた。
なんと、モーニングサービスのパンがさらにおかわりサービス! ただ、残念だったのがゆで卵。黄身の色と白身の色がほぼ変わらない…。どうしても、黄身の色が濃い程美味しそうに感じるものだよね。黄色くない黄身は食欲が失せてしまう…。店舗にもよるのかもしれないけれど、次回はゆで卵以外にしよう。

モーニングとカフェオーレと共に

今日は、村上春樹編訳の短編集『恋しくて』から、ローレン・グロフ『L・デバードとアリエット―愛の物語』を読んだ。
実は今回、最後の方でジワリときてしまって、コメダ珈琲店内で、うるうるしながら読了。
続けて次の短編も読もうかと思ったけれど、余韻が消えてしまうのがもったいなく思い、これだけ読んで帰ることにした。

ローレン・グロフ

僅か50ページほどの短編ではあるが、村上春樹が述べている通り、『L・デバードとアリエット―愛の物語』は、大河ドラマを思わせるような壮大な作品となっている。さらに「こういう正面切っての話って、今時なかなかお目にかかれない」とも述べていた。
実は私って「正面切っての話」に心打たれるのかな?
本をたくさん読んできて、ちょっとやそっとの話じゃ刺激が足りない!なんて思っていたけれど、結局はこういう直接的なのに心打たれるのかな?


この作品は、ある男女の結ばれない純愛だった。
そして、彼らの背景では、スペイン風邪という疫病が猛威を振るっていた。人々が感染防止に神経質になる姿などは、最近私たちが現実でも見たような光景と重なった。
結局、地球三周したのちにようやく疫病は終息するのだが、その事跡は大変なものとなった。いくつもの村が消滅してしまったし、一年間で死亡したアメリカ人の数は、第一次世界大戦で命を落としたアメリカ兵の数よりも多いということだ。

世界がどんな状況にあろうが、人は恋をするんだな、なんてしみじみ思う。そんな最中に強烈に惹かれ合った男女だとしても、結ばれないことだってある。

ここに登場した男女は、若い時に一寸結ばれたが、その後は離れざるを得なくなり生涯結ばれることはなかった。彼らの人生が成熟し、お互い老境に入ってもその運命は変わらなかった。
ただ、会うことがなくとも、二人はいつも思い合っていたのだ。
実は一度だけ、彼女が彼の講演会に行き、二人が同じ場にいた時があった。しかし、お互いが邂逅することはない。もちろん、彼は彼女が来たことを知らない。でも、その空気の変化に気づくのだ。

彼女の存在が空気の中にもたらした、特別な変化の感触

本文より

彼女が来たなんて知らないし、もちろんなにも残っていないけれど、なにか違和感に気づく場面がある。それが彼女がそこに存在した空気感だとは気づかないが、なにか素晴らしいものだと感じる。もう二度と吸えないと思っていた空気だと。

こういうことって、あるのかな。
そもそも、そんなに強烈に惹かれ合うことってあるのかな。



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