この日。
実家に行ったら、書斎にりんごがなぜか二箱もあった。
なんだ。

台所に行ってみたらテーブルがぐちゃぐちゃだった。
うーん、生ものがないだけマシか？

りんごのことを聞いてみると
「兄ちゃんが送ってきて、私が(郵便局の)ふるさと会で買ったのが届いたけん、二箱もあるとよ！
あんたなんぼか持って帰らんね！」

いらん。

いや，一個か二個ならいいがこんなにいらん。

りんごを一個受け取って客間に行って見ると花が増えていた。

誰の花だ、と思ったら、父が以前通っていた教会の牧師からだった。
父が亡くなる直前通っていたところとは別の教会に通っていた時、父はよく他人と揉めていたのだが、やはりその時も誰かと揉めて教会を移ったのだった。
ちなみにその時の揉め事で、花を送ってくれた牧師はその教会を追い出される羽目になっている。
花を送ってくるのはお人好し過ぎるんじゃなかろうかと思わんでもない。

「江口先生(仮)が送ってくれたとよ！
どうしたらいいとね！」
何故か私に詰め寄る母。
ハイハイ、礼を送っときますよ。

あと写真を撮れとうるさい。
撮ってどうするんだ。

客間は寒いので、母は一旦去っていった。
ので楽器を鳴らしていたら、なぜか母が突然、A4の紙を持って、再び乱入してきた。
「あんたこのヤマダタロウ(仮)さんって誰ね！」

「知らん。
なんの話。」

突然なんの話だ！？

母が何故かA4の紙を突き付けてきて、
「あんた、このヤマダタロウ(仮)さんって誰ね！
なんでりんごを送ってきたとね！」
と喚き散らす。

何のことか分からなすぎて、紙を受け取って確認すると、郵便局のふるさと会で送ってきたりんごに入っていた添書だった。
いや、ヤマダタロウ(仮)氏は単純に郵便局の担当者では？
ちなみにふるさと会は普通に母本人が頼んだ。

何故こちらに聞いて分かると思ったのか。

追い払って、15分くらいしたらまた来た。
今度は何だ。
手には地銀の通帳を持っている。

「あんた、私の通帳に何かお金が入りよるとよ！
これは何ね！」
何故か私を問い詰める母。

「知らん、何の話。」

見せてもらうと、概要が長文らしく、途中で切れていて科目が全文読めないが、福祉や介護や年金の文字が読み取れる。
これはどう考えても、介護や福祉関係の公的な助成だろう。
特にうちの母が介護認定を受けてデイサービス等を利用し始めてから振り込まれる頻度が増えている。
金額的に大きくはないが、助かるものだ。

ただ、こう言ったものに関しては、私ではなく当事者である母の方に絶対何らかの書類が届いているはずで、
「書類きとると思うけん見てみ。」
と言ったのだが、うちの母はその場で
「そんなものはきとらん！」
と即答した。
んなわけあるか。

詳細はそれがなければこちらも分からない。
最近は30秒前に説明したことも忘れがちで、この冬の弱り具合を注意しておくべきところだろう。

うっ寒。