ぼやける距離 3 七澄シロ 2019年4月13日 19:41 近すぎると見えないから、と彼女は離れて行った。一歩、三歩、十歩、ゆっくりと後ずさっては僕との距離を広げていく。降り落ちる花びらが遮って視線はもう交わらない。「本当は、」生温い風が声と春を攫ってく。ぼやけた輪郭から目を逸らして、真っ白な明日を見上げた。春はもう見えなくなっていた。■ □ ■■ □ ■■ □ ■土曜日の電球様企画『霞む視界』。 ダウンロード copy #写真 #小説 #note #創作 #短編小説 #桜 #140字小説 #さよなら 3 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート