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#1

空は青くて澄んでいるのに、空の下の私たちは真っ黒に住んでいる。

その日は友達の応援に行った日だった。
ドリブルの音が鳴り響き、時々ザザッとシュートの音がする。
みんなが鼓舞し合う声もなんだか、かっこいいけど、やっぱりクソ熱いや。
ここにいるみんなはこんな熱い世界で青春をぶつけて闘ってるんだ。
何の為に頑張って、誰の為に、結果を追い求めてるんだろう。

「悔しいって感情が焦りを生み出して気持ち悪い」
そう泣きながら話すのは、橘かえで。
バスケの試合に負けた直後の一言だった。
わたしには全然わからなくて、「がんばったね、お疲れ様」なんて薄っぺらい言葉を返して終わった。



「悔しいって感情なんて知らないな」
かえでの試合が終わって迎えに来た兄の車に乗り込むと、わたしはずっと思っていた事を溢した。
「悔しいって感情は時々邪魔になるよ」
「かえでが、悔しくて焦るって言ってた」
「そうかもな」
「でも悔しいって感情、羨ましいと思うんだ」
「すみれだったらその感情どう使う?」
「え?」
兄はその質問を置いて、着いた家の中に進んで行った。


感情には使い方がある、正しく使えば成長にも新たな感情を生み出す材料にもなる。
でも間違った使い方をすれば、人を傷つけたり、はたまた自分を傷つけたりすることにもなる。


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