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先輩!

 って彼女が僕を呼ぶ。彼女は僕の二年後輩。本当に妹みたいな女の子。彼女もいずれ大人になるだろう。少女から大人の女へと。さなぎから蝶へと成長してゆくだろう。彼女は教師になるのが夢だと言った。僕はそんな彼女の将来の夢を聞いてなんか切なくなった。彼女は僕よりずっと先をみている。僕は将来どころか今のことさえろくに考えていないのに。もしかしたら彼女は僕よりずっと先に行ってしまうかもしれない。僕が全力で彼女に追いつこうとしても見失ってしまうかもしれない。だけど今はまだ僕のそばにいて。さなぎのままで僕に優しく微笑んでおくれ。ああ!いっそ君をここに閉じ込めてしまいたいよ。

 それから七年が経ち、僕らは再び出会うことになる。いつまでもあの頃のままに生きている僕と、あの頃とすっかり変わってしまった君。皮肉な再会だ。全く笑いしかない。人生なんていばらが敷かれた道を裸足で歩くようなもの。みんな、あの彼女さえも、こうして大人になってゆくんだ。僕の前に立つ彼女。開口一番にこう言うよ。

「あなた先輩ですか?まだ高校生やってるんですか。私、母校に教師として採用されたんです。今年からあなたのクラスの担任になったのでよろしくお願いします。あの……これからは私に話しかけないでくださいね。もう先輩後輩じゃなくて教師と生徒なんですから」


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