妊娠物語3

妊娠…病院 後編

 診察室に入るとあの女の先生がいつものように笑顔で迎えてくれたの。

「猿山さん、大丈夫ですかー?聞きましたよー!またあの子がイタズラしたんですねー。もう今度という今度は、メッ!ってしないとダメですねー。メッ!って」

 なに、その言い草、アンタあのデブチンに甘すぎるんじゃないの!と一瞬思ったけど、この先生、声が良くて、笑顔が素敵だからなんかなにも言えなくなっちゃうの。それとこの先生にはすごく世話になってるしね。

「じゃあー。診察しますかぁー」と先生はお腹に聴診器を当てて私のベイビーの鼓動を聞いてるの。この時いつも先生がする若干不安そうな顔がチョット気になるけど、まあ今日も大丈夫よね。

「大丈夫ですよー。心拍数には問題ないですよー。じゃあ猿山さん、次は内診しますので、診察台に横になってくださいねー」

 いつもこれが嫌なんだけど、ベイビーと、そして愛しのダーリンのためと思って我慢するの。心もカラダもワガママ美人の私にしちゃ珍しいでしょ。診察台に座ってウン、と目をつぶって恥ずかしさに耐えるの。私は「先生ベイビーをお願いします」と股を開くと、先生はいつも苦みばしった顔に汗をぼとぼと垂らて、体を震わせながら指を入れてくるの。それが不安で、大丈夫だって分かっててもいつも聞いてしまう。

「先生、ベイビー大丈夫ですか?」

「大丈夫ですよー。心配しないでくださいねー」

 といつも汗だらけの顔でゼーゼー息をしながらニッコリ笑ってくれるの。

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