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名古屋ぶらぶら日記・東山給水塔 ②

その昔、働き始めてすぐの頃に一度覚王山祭りに出店したことがあります。いわゆる手作り市で、ハンドメイド作家やさまざまなアーティスト、食べ物系などの出店が並びます。私はそのころ熱心に作っていた消しゴムはんこを数十点。中世のキリスト教絵画のモチーフを模写してはんこにすると、私のデッサンの下手さも相まって不思議なほどとぼけた愛らしいお顔になることに気がつき、天使や聖人の方々をはんこにさせていただいていました。懐かしいなあ。

マザッチョの「聖母子と天使」をモデルにしたはんこ

さてそんな覚王山の参道、久々に歩きます。えいこく屋やチーズのお店、覚王山アパート、昔から変わらずの面々に加えて、なんだかおいしそうなものが増えたなあという印象。今日はおにぎりにしてよかった。限りなく悩んでしまい、限りなく食べ続けてしまいそう。

日泰寺の本堂左側にのっそりと生えている東山給水塔を見つけたときはうれしかった。山門の前でしばし呆然とし、今日は来てよかったんだな、と思えました。そのまま吸い込まれるようにおばちゃま集団にまじって門をくぐり、カメラで気が向くままに撮ったり、考えたり。本堂の見事なこと。大きい建物は好きです。特に大きなお寺の門から本堂までを行くときの精神的な広がり、感じられる空間が実際の何倍も広がっていくようなスケール感に圧倒されます。本堂手前の屋根付香炉の煙に心もお寺の気分に燻られて、うっとりと暗い本堂へ。中にはたくさんの礼服を着た人たちが椅子に座っていて、ちょうど毎日の読経の時間だったらしく、僧侶たちがぞろぞろ入ってくるところでした。何やら良いところに居合わせたなあと小さな運に心がふっと軽くなる。

屋根付香炉から本堂を臨む

しばし読経に耳を傾けたあと、ここらでお昼にすることに。境内に入ってきた時から五重塔前の青いベンチに目をつけていたのです。外で食べるって何でこんなに気持ちいいんだろう。内臓が動いてじんわり温かくなり、行き交う人々の会話や衣擦れ、鳥や車や日の光たちの平和な音に気が抜けて風が気持ちいいのです。私が生きているというより時間が生きていてその中にただ私もいるんだな、そんな感じがしました。

今日のおべんとう。ゆかり入りの酢飯に、醤油をちょっと垂らしたおにぎり。
この後お腹が空きすぎて、リュックに入れてる非常食のカロリーメイトを食べました。
今日のお昼スポット。
カメヤマローソクのベンチ、最近行った奈良の長谷寺にもあったので調べてみたら
三十年ほど前から全国の神社仏閣に無償提供を行っているみたいですね。ありがたや。

さあ気がつけば、もうけっこういい時間です。次回、いざ給水塔へ。


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