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③人間の各状態が分かる14モデル

はじめに

 「まじめな性格」や「大らかな性格」という言い方はあるが、時と場合によって違ったりする。外では控え目でも家の中では威張る人を内弁慶と呼んだりするように。

 だから「~の状態」(まじめな状態、大らかな状態、控え目な状態、威張る状態…)と言った方が実は正しく、便宜上、性格という言い方は使っても先入観に過ぎない。

 そこで、状態を単位に使い、新たに「状態の学」というものを始めたい。どんな状態があり、それら状態同士はどのような関係にあるのか?

1.サイバネティクスの各モデル

 先ずサイバネティクスという学問を参考にする。コンピューターの創始者と呼ばれる、ノーバート・ウィーナーが考案した。

 その代表的なモデル「制御回路」(他に操縦の原理、学習回路、思考回路など)がこれ。
 50年前の本(カラー生物百科)からの引用だが、スマホの縦型画面にピッタリ収まる図のため、まるで時代の要請でここに蘇ってきたのではないかとさえ思えてくる…。

 人間が学習する状態や考える状態も、このモデルで表されるというのだが、私には3つ問題があると思われた。

 1.人間はただの装置なのか? 「意識」の起伏はないのか?
 2.人間はいつも安定していない。不安定な時もある。
 3.学習や思考以外の状態もある。経済や社会の例示も少ない。


2.意識を出力するモデル

 1の問題への解決に向けて、アメリカの政治学者(第4代政治学会会長でもある)、ディビッド・イーストンのモデルを参考にしたい。

 ここにもフィードバックはあるが、両端は入力と出力になっている。法律をつくる際に議会の重要性を唱えるものだが、これを人間の状態に応用すると下のモデルとなる。

 つまり、環境が入力、意識が出力となる。「暑いな~」「寒いな~」と意識が生じ、その意識に「エアコンつけるか」という観念が関与して制御し系は安定する。

3.2つの安定の取り戻し方

 生じた意識に対して、脳の中にある観念が関与して解決する状態の他に、もう1つの解決法がある。

 例えば、「エアコンが壊れててつけられない」「どうしよう?」と考えたり悩んだりしている時がある。

 さんざん考えた挙げ句、アイデアが閃くと、もはや悩む意識はなくなって、そのアイデアの実現に向けて系が単純化する。

 修理屋を呼ぶ、買い替える、他の場所で過ごす等、いろいろあるが、上記2の問題の通り、人間には安定している時もあれば不安定な時もあり、それらに対して系が複雑化したり単純化したりするのである。

 このプロセスには全部で14段階あり、それはサイバネティクスの各モデルを可変式にする(系の要素を増やしたり減らしたりする)と表現できる。

 下記のスライドにまとめた。

  いささか難しいことは承知だが、人気記事となった前々回の投稿「3大心理学が16大哲学に関わる」のいわば正式な続編に当たるので、こちらを先に読めば分かりやすいかもしれない。

4.記憶過程と装飾過程


 さらに、モデルを若干斜めに傾けて、記憶の過程と装飾の過程を並列させたスライド(昔作成したもの)。

 学習や思考以外にも様々な状態があるので、この14モデルで上記3の問題はすでに解決済みだが、カッコ内の経済社会については後述予定。

 様相と物体を対象とした本モデルでも哲学的には十分なのだが、経済学や社会学も現にある。

 その前に、各状態の変化を促す7つの心機能について次回は述べていく予定である。

おわりに

 内向を主我、外向を客我とすると、ユング心理学の性格対立が分かりやすなる。※前々回の投稿「3大心理学が16大哲学に関わる」

 ・内向感情型(興味段階)と外向思考型(理屈段階)の対立
 ・内向感覚型(認知段階)と外向直観型(応用段階)の対立
 ・外向感情型(分裂段階)と内向思考型(逆転段階)の対立
 ・外向感覚型(独立段階)と内向直観型(創造段階)の対立

 また、アイデアの作り方やアイドマの法則など人間の過程を解く各説もこのモデルで見直すことができる。
 「新しい人間学へ」参照。

 上記記事内の16大哲学との関連については次回でより明らかになる。

 いずれにせよ、様々な知や学問は相互に関連しあっているのである。

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