ねずみしゃーく

ねずみさんです。のらきゃっと二次創作用のやつです。

ねずみしゃーく

ねずみさんです。のらきゃっと二次創作用のやつです。

最近の記事

バック・トゥ・イムーラー

「そこの人間さん! 今年はイム暦何年なのだね!?」 「は……?」  出会い頭に妙な質問をした私を、人間さんは物珍しそうに見つめてきた。  彼の視線はまず私の頭部、正確には猫耳に向かい、次に臀部、正確には腰から伸びた尻尾へ向かう。  のらきゃっとタイプを初めて目にする人間さん特有の眼差しだ。 「お嬢ちゃん、その耳と尻尾は……?」 「いいから質問に答えてくれたまえ。今はイム暦で言うと何年だね?」 「ああ、いや……そもそもイム暦って何だい? 西暦なら2024年だけど」 「おっと、そ

    • 家政婦きゃっとのバケーション

       ゆらゆらと、二人乗りのゴンドラが水面に揺れる。  水の色は鮮やかな青。あずき色に染まっていない美しい海だ。  オールを握るわたしは、物珍しそうな様子のマスターを見てにこりと笑った。 「こんな景色が楽しめるなんて、バーチャルさまさまですね」  そう言って、仮想現実のありがたみを感じながら舟を漕ぐ。  物理演算が生む風を受けてエプロンドレスがはためいた。速度がゆっくりなので空気抵抗もそよ風だ。  本気を出せばモーターボート並に速くもできるが、今はあえて遅くしている。  弱い人間

      • のらきゃ掌編×3 その15

         以前X(旧Twitter)で投稿した習作の纏めです。 ①:きゃっとむかしばなし『ヘンデスとグレーデス』  むかしむかし、あるところに、おかしなソーデスの兄妹がいました。 「ヘンデス!」  変なお兄ちゃんソーデスのヘンデスと、 「グレーデス!」  灰色の妹ソーデス、グレーデスです。  ある日のことです。  ソーデスの兄妹は変だったので森に捨てられてしまいました。 「グレーデス……」  グレーゾーンぎりぎりの行いデス、と嘆き悲しむ妹のグレーデス。  一方お兄ちゃんのヘンデ

        • ますきゃがお姉様のためにバレンタインのチョコケーキを作りたかった話

          「キシャアアアアアア!!!」  月面都市でまた巨大怪獣が暴れていた。  怪獣の体は円筒形で、色は茶色。全身から甘い香りをプンプンと漂わせている。  そう。お察しの通り、怪獣はチョコレートケーキだった。 「スウィィィイイイトッ!!!」  名付けるならば、スイートチョコジラとでも言うべきか。  体のあちこちから生やしたカカオの木を鞭のように振り回して、チョコ怪獣は街を踏み荒らす。  既視感のある光景。ここまでは、いつぞやのバースデーケーキ騒ぎと同じだった。  ただし、今回はそれだ

        バック・トゥ・イムーラー

          のらきゃ掌編×3 その14

          以前X(旧Twitter)で投稿した習作の纏めです。 ①:きゃっとむかしばなし『イ矛盾』  むかしむかし、あるところに、武器商人のねずみさんがいました。  ある日、のらきゃっとの家へやって来たねずみさんはにんまりと笑って言いました。 「のらちゃん、見て見て。これはどんな盾でも貫ける最強の矛。こっちはどんな矛でも防げる無敵の盾だよ!」 「ワオ。すごいですね、ねずみさん」  のらきゃっとはカッコいい武具を見て大喜び。試しに矛を振ってみたり、盾を構えて写真を撮ったりしていま

          のらきゃ掌編×3 その14

          屋根裏共通あべこべワード力試験2023

          ・概要  あなたは”あべこべワードバトル”をご存知でしょうか。  あべこべワードバトルとはバーチャル美少女・のらきゃっとが本人のYoutubeチャンネル及びX(旧Twitter)で紹介した遊びで、問題となる言葉をあべこべに変換し、元の言葉が何だったか当てるというものです。 例題:かいどっぐ ⇔ (    )  この例題の場合、”かい=飼い”を反対にして”のら”、”どっぐ”を反対にして”きゃっと”で、(    )に当てはまる言葉は”のらきゃっと”だと推測できます。  こ

          屋根裏共通あべこべワード力試験2023

          のらきゃ掌編×3 その13

           以前X(旧Twitter)で投稿した習作の纏めです。 ①:ショートショート『のらちゃんすき』 「のらちゃんすき」  隙だらけだ、とアンドロイドは吠えた。  イムラの猫を屠るため送り込まれた敵対企業の刺客。それが彼の役割だ。  音速を超える凶刃を前に、のらきゃっとは余裕綽々でニヤリと笑う。 「のらちゃんすき」  数奇だ、とアンドロイドは訝しがった。  彼は返り討ちにあっていた。なのに、トドメを刺されない。それが不思議で仕方ない。 「何も死ぬことはないでしょ。次も勝つので

          のらきゃ掌編×3 その13

          のらきゃ掌編×3 その12

           以前X(旧Twitter)で投稿した習作の纏めです。 ①:きゃっとむかしばなし『みにくいねずみの子』  むかしむかし、あるところに、みにくいねずみさんがいました。  彼は元々普通のねずみだったのですが、イムラの改造手術を受けて、 「体が透明になっちゃった」  とても見難いねずみさんになってしまったのです。 「なんてこった!」  ねずみさんは思わず叫びました。  体が鏡に映らない、写真を撮っても何も見えない。そんな境遇にされてしまったら、嘆くのも当然です。 「体が透明な

          のらきゃ掌編×3 その12

          のらきゃ掌編×3 その11

           以前X(旧Twitter)で投稿した習作の纏めです。 ①:きゃっとむかしばなし『黄泉のら坂』  むかしむかし、あるところに、のらナギとのじゃナミという神様がいました。  二人は仲睦まじい夫婦だったのですが、 「🔥のじゃナミ🔥」 「のじゃー!?」  嫉妬したねずみさんに燃やされ、のじゃナミは地の底にある黄泉の国に送られてしまいました。  一人残されたのらナギは、のじゃナミを探して黄泉の国へ潜りました。 「迎えに来ましたよ。さあ、一緒に帰りましょう」 「のらちゃん……!

          のらきゃ掌編×3 その11

          のらきゃ掌編×3 その10

           以前X(旧Twitter)で投稿した習作を一部修正したものの纏めです。 ①:きゃっとむかしばなし『ソーデスの耳はデスの耳』  むかしむかし、のらきゃっとがいました。  のらきゃっとは動画配信者なので、コラボや案件などファンにはまだ言えない秘密を抱えていたのですが、 「やばい。この話題はどうしてもねずみさんに教えたい」  あまりにウキウキしすぎて、今にもSNSで話してしまいそうでした。  衝動を抑えきれないのらきゃっとは、ペットのソーデスに話して解消することにしました。

          のらきゃ掌編×3 その10

          翼広げて、音を重ねて

           雲ひとつない青空の下、ガヤガヤとお客さん達の声がする。  屋外ライブ会場は満員御礼……とまでは言えないものの、両手の指を何往復かするくらいには人間さんが集まってくれた。毎日毎日、あたしがバイト帰りにビラ配りをし続けた成果だ。 「よく頑張った、偉いぞ大河! ……あっ、いや、喜ぶのはまだ早いよね」  嬉しさでピンと尻尾を立てた後、ブンブン振って気を引き締める。  あたしはビラ配りロボなんかじゃなくて、アイドル志望のますきゃっとなんだ。歌と踊りで人間さんを楽しませるのが、本当のお

          翼広げて、音を重ねて

          のらきゃ掌編×3 その9

           以前Twitterで投稿した習作を一部修正したものの纏めです。 ①:きゃっとむかしばなし『のらの岩戸』  むかしむかし、あるところに、猫松照大御神という狐娘のおじさんの太陽神がいました。  猫松照大御神は太陽として毎日眩しく燃えていましたが、 「わらわ、普通の狐娘のおじさんに戻るのじゃー!」  そう言って、ある日突然岩戸の中に引きこもってしまいました。  太陽神の猫松照が引きこもってしまい、困ったのはのらきゃっと。月とのうすじを司る猫耳の戦闘用アンドロイドの女神、のら

          のらきゃ掌編×3 その9

          のらきゃ掌編×3 その8

           以前Twitterで投稿した習作を一部修正したものの纏めです。 ①:きゃっとむかしばなし『番町のら屋敷』  むかしむかしのお話です。  番町のとあるお屋敷に、不気味な井戸がありました。  底の見えない深い井戸。その奥の暗闇から悲しそうな声が聞こえます。 「19時58分……19時59分……」  それは、かつて井戸に身投げした女の幽霊の声でした。 「……ああ、20時になった。私が死んだ時間だ! お~いおいおい!」  幽霊は、自分が死んだ20時になると悲しくなって泣き出し

          のらきゃ掌編×3 その8

          のらきゃ掌編×3 その7

           以前Twitterで投稿した習作を一部修正したものの纏めです。 ①:きゃっとむかしばなし 金ソーデス  むかしむかし、ある山に、金ソーデスというソーデスがいました。  金ソーデスはものすごい力持ちで、相撲をとれば誰にも負けないことが大の自慢でした。  山に住む動物は、みんな金ソーデスに負けてしまいました。 「のじゃー!」  狐娘も勝てません。 「クマー!」  クマだって勝てません。 「だったら、わたしと相撲をしませんか?」  おっと、そこに新たな挑戦者が現れました。

          のらきゃ掌編×3 その7

          のらきゃっとちゃん6歳がますきゃ小学校に行く話

          「太郎くんはマカロンを3個、花子さんは4個持っています。マカロンは全部でいくつあるか、わかる人?」 「「「はいはい、はーい!」」」  暖かい陽光が差し込む教室に、元気いっぱいの声が響きました。  声の主は、制服を着た銀髪碧眼の児童達。イムラますきゃっと学園の初等部に通う、幼女義体のますきゃっと。  わたし、のらきゃっとの後継機にあたる妹達です。 「先生、先生! わたしもわかりました!」  小さな妹達に負けじと、わたしも大きな声を出して手を上げました。  目立とうとしてピョコピ

          のらきゃっとちゃん6歳がますきゃ小学校に行く話

          異世界召喚のらきゃっと、魔王討伐RTA ~20:00までに倒して帰らないと配信開始に間に合いません~

          「異世界の勇者のらきゃっと! 魔王を倒し、世界を救ってくだされ!」  おやおや、困りましたね。もうすぐ配信開始の時間なんですけど。  ということで、こんばんは、こんばんは。のらきゃっとです。  なんか女を開けたら見覚えのない異世界でした。違う、女、女、言えない。瞳です。  ともあれ異世界召喚です、流行りのジャンルですね。わたしも異世界召喚ラノベなら知ってますよ、『ゼロの使い魔』とか。  で、わたしを召喚した偉そうな人の話を聞いたところ、世界征服を目論む魔王を倒してほしいと、

          異世界召喚のらきゃっと、魔王討伐RTA ~20:00までに倒して帰らないと配信開始に間に合いません~