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八潮男之神の決断36(小説)(エッセイ・とんぼ)

エッセイ・とんぼ  < 令和六年 >

数日前からお庭の梅が開花しています。
脚立の上に立ちスマホをかざしました。
綺麗です。

「令和」という元号は日本の古典である万葉集から採用されたのでしたよね。

「初春令月、気淑風和、梅披鏡前粉、蘭薫珮後之香」

大変難しいですがネットで調べたり
実際に万葉集を読んでみたり
自分で読み解いていくことを愉しむのもいいですよね。
私も辞典や和歌集などを使って少しづつ勉強したいと思いますし
この歌が詠まれたと言われる
「坂本八幡宮」へも訪れてその時の情景へ思いは馳せてみようと思います。

初春の令月にして
気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す
< 新春の好き月、空気は美しく風は柔らかに
       梅は美女の鏡の前に装う白粉の如き香りを漂わせている>

ご存知の通り
令月の「令」と風和の「和」を組み合わせてできた元号だそうです。

『令和』という元号になり6年目ですね。

当時の首相は
「春の訪れを告げる梅の花のように、明日への希望と共に、一人ひとりが大きく花を咲かせられる日本でありたいとの願いを込めた」
と話してあるそうです。
また
「日本の美しい四季折々の自然を後世に伝えたい」という思いも込められているそうです。

日本の良さは国土の7割を占める豊かで美しい自然にあると私も思います。7割の森林だけでなく、身近に茂る可憐な草花にも侘び寂びや美しさを感じますよね。
華美でなく慎ましく、土や雨、太陽や月と共に共存している自然の中に
私たち人間は随分と後から一緒に住まわせてもらっているのだと。
開花した梅を見て、そう敬える心を改めたいと思いました。

梅が満開となり散ってゆくと
春に備えてじっと栄養を蓄えてきた桜の開花が始まります。
桜が満開になる景色を楽しみにしています。

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♢「まさか・・・、おぬし、・・・」
 昆迩(こんじ)は目を逸らすことなく、阿津耳をじっと見つめ返した。

秋津洲の如き天地を敬い、その地を守り通して来た徐氏一族が匿った王の行方が明らかに・・・。

🌿秋津先生の著書で、難しい漢字や言葉、興味を持った事などは
 辞書やネットなどで調べながらゆっくり読んでみて下さい。
 きっと新しい気づきがあり、より面白く読み進められると思います。

八潮男之神の決断36
原作 秋津 廣行
  「 倭人王 」より

「彼の国では、秋津洲の如き、あめつちに宿る八百万(やおよろず)の
 神々はありませんが、高天原や大海原のごとく、神聖の宮はございます。
 中原(ちゅうげん)の東西南北とその中心の山々に、特別の霊地があるの     です。泰山は、その五霊山の一つでありまして、いにしえより、天地陰陽(てんちいんよう)を治めた王が天神地祇(てんじんちぎ)の祭りを行う霊 山とされております。」

 阿津耳は、昆迩(こんじ)の口から泰山での天神地祇の言葉を聞いて背筋が伸びた。

 「ほう、神が棲(すまい)たる天神地祇(てんじんちぎ)の
  五霊山(ごれいさん)か。」

 「泰山(たいざん)は、その神山の一つに御座います。
しかしながら、近ごろでは、その様な天神地祇の祭祀を行う王はなく
越(えつ)が呉(ご)を滅して以来、泰山(たいざん)では、徐(じょ)氏の巫女が秘かにこの地を守り通してきたと言われております。」

 「なるほど、越の王室が、徐氏一族を庇護して、泰山を守って来たのか。ならば、無旦王子(むたんおうじ)を匿まったのは、徐氏(じょし)と言うことになるのではないか。」

 阿津耳之命は、いきなり、核心を付いて来た。
勘の突きどころが冴えているのだ。昆迩は、これ以上の隠し立ては出来ないと腹をくくった。

 「いかにも、徐氏(じょし)一族の徐賛(じょさん)という者が、王子の身柄を、引き受けております。だが、楚(そ)の追っ手は厳しく、王子の行く手、行く手に楚の兵士が追って参りまして、もはや身を寄せるところがなくなって来ました。ついに、徐賛は、自ら王子を連れて秘かに山を越え、斉王の本丸、臨淄城(りんしじょう)に向かったのです。」

 「徐氏と言えば、殷(いん)の帝武丁(ていぶてい)に嫁いだ婦好妃(ふこうひ)の実家ではないのか。
『宝貝の海路』を通して、大陸と秋津洲(あきつしま)を取りつないだ大切な一族であると聞いておるが・・・。」

 「さすが、阿津耳之命(あつみみのみこと)であらせられます。
徐氏と秋津洲の関わりは、千年も前から続いております。われらは、徐賛殿とは、今でも商の相手として、信頼のお付き合いさせて頂いております。
先般、取引のことで、臨淄(りんし)の街で、その徐賛殿にお会いしました。」

 ここまで話を聞いていた阿津耳は、目を丸くして昆迩から目が離せなくなった。

 「まさか・・・、おぬし、・・・」

 昆迩(こんじ)は目を逸らすことなく、阿津耳をじっと見つめ返した。

 「その・・まさかであります。」

 昆迩も、ここまで話した以上、後戻りはできない。

 「われは、臨淄(りんし)からの帰りの船に王子を乗せて津島に渡りました。」




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