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好きを好きと叫びたい_佐原ひかり「ブラザーズ・ブラジャー」

今回は、佐原ひかりさんの「ブラザーズ・ブラジャー」(河出書房新社、2021年)を読んで思ったことなどを書きたいと思います。爽快感・エモさあふれる最高な小説でした!!

あらすじ

主人公のちぐさは、父子家庭。親の再婚によって、新たな弟・晴彦がやってきます。ある日、晴彦がブラジャーをつけている姿を目にして…

感想(ちょっとネタバレあり)

とにかく良い意味で期待を裏切られました!男の子がブラジャーという、インパクトあるテーマから想像する、ジェンダーや多様性とはちょっとずつ異なる展開に発展していって、ラストは最高!となりながら、ページを閉じました。

特に、主人公のちぐさの真っすぐさ・高校生らしい瑞々しさが、爽快でした。ブラジャーについて晴彦と言い合いになった時のこのセリフ。

でも、そういうのに理解あるように振る舞うのが良い人の必須条件なんだよ。タヨウセイってやつを大事にできないやつは良い人失格なの。

佐原ひかり「ブラザーズ・ブラジャー」(河出書房新社、2021年)p.106

まっすぐすぎて、もはや眩しい。自分の「ふつう」と違う人を受け入れることの難しさ、本音と建前みたいな部分をずばっと、言い表しているような気がします。

ちなみに、この本は二部構成で。
一章の「ブラザーズ・ブラジャー」のオチには、うわぁそうくるかーと一本取られた気分になりました。

二章の「ブラザーズ・ブルー」は、好きなものを好き!と全力で叫びたくなりました。もう、ラストの海での晴彦の怒涛のセリフなんかは、心にぐさぐさと刺さりまくりでした。

余談ですが、佐原さんの作品は文芸誌などで拝読していて、あいまいな関係を描いていて、好きだなーと思ってたんです。単行本を読んで、やっぱり最高でした。

名付けられない、あいまいな関係に惹かれる方、ぜひ。


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