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好き焼きスキヤキすきやねん

ベトナムで知り合った横浜のドンに連れていっていただいたお店が老舗の牛鍋屋でした。

個室で、お付きの仲居さんが作ってくれるすき焼き。ほど良いぐあいで個々の器によそってくれます。お肉はもちろんですが〆のうどんが絶品でした。

荒井屋のすき焼き

泣きながらすき焼きを食べたこともあります。
福岡の祖母がつくってくれたすき焼き。
母を亡くした私と娘を亡くした祖母、ふたりで囲んだすき焼き。

すき焼きは、農具のすきで焼いていたからすき焼きとか、薄いお肉のすきみで作ったから、とか諸説ありますが私が気に入っているのは好き焼き。好きなものを入れて、好きなひとと食べるから、好き焼き。

好き焼き、好き肉、肉好きたちのおいしいお話しです。

ぷくぷく、お肉  河出文庫

32名の文豪たちのお肉エッセイ。角田光代さんは豚肉推し。豚肉を愛しているから、豚肉を使う料理は失敗しないという。豚肉ソムリエ、豚バー、きき豚ができるといいと楽しい妄想がふくらんでます。

山田太一さんの映画『異人たちとの夏』の幽霊の両親と別れる場面は、雷門のすき焼き屋でした。夏、なのに、鍋。

村上春樹さんは坂本九の『スキヤキ』は、uewomuitearukohが発音できず面倒だから、スキヤキにしちゃえ!となりその後、鈴木彰治の『鈴懸すずかけみち』が『スシ』というタイトルでアメリカ発売になったとか。

はじめてお会いした作家の方々もいました。お肉、食べ物を生き生きと語り、生命そのものを感じました。

異色で精彩を放っていたのが、園山俊二さんの『ギャートルズ』です。マンモスを狩りそのままむしゃむしゃ食べていたけど、『料理』という
ものを知ります。火を使って焼いたり、鍋を作って煮たり。料理とはなに、に「ものをうまく食うことだ」と答えてます。

おいしく食べることが、料理。
血肉になり、身体をつくり「おいしい」と思う心、相手を思いやる心も培います。

どんなものでも、どんな場所でも、ひとりでも、ふたりでも、大勢でも、どんな状況でも「おいしい」と食べられるのは、生きる力、強さでもあると思います。


ベトナムのトライアスロンに参加した文章にコメントをいただいたベトナム在住のKozukiさん。ベトナムのフーコックというリゾート地でのトライアスロンレースに参加する、と話してらっしゃいました。そのレースに横浜のドンも行きますよ、とお伝えしたところバイクラックがお隣で会うことができたようです。

荒井屋さんのすき焼きをご一緒に食べた横浜のドンと、noteでコメントをいただいた方がベトナムでお会いする、不思議なご縁をつなげていただきありがとうございました。

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