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最近の「民主主義」にモヤモヤする

唐突だが、最近の政治にめちゃくちゃモヤモヤしている。
いや、唐突でもないか?
こんな投稿ばかりしている気がする。

武田砂鉄さんや太田光さんの著作が好きなのだが、やはり一冊の中で繰り返し同じ問題提起をされていて「同じことを書いて申し訳ないが~」と述べている。
問題意識はなかなか変わるものではないと思うので、まあそんなもんなんだろう。

話を戻そう。

改めて、最近の「民主主義」が気になるという話がしたい。
先日の恐ろしい事件で各政党から「民主主義への暴力」などという言葉が出た。昨年の悲しい事件についてもそうであった。

しかしフェミニストなどとして元々政治への違和感が溜まっていた私にとっては、急に繰り返される「民主主義」という言葉に違和感を抱いた。

「民主主義」は正しく機能しているのだろうか。

池上彰さん、佐藤優さん共著「ニッポン 未完の民主主義」という本がある。

太平洋戦争後のある時期から、日本では一貫して「民主主義の危機」が叫ばれてきたと言っても過言ではないでしょう。

ニッポン 未完の民主主義

なんと。随分前から「民主主義」の姿には疑問が呈されてきたようである。しかしその崩壊レベルがどんどん深刻化し民主主義の形骸化が進んでいるらしい。

そもそも民主主義とは何か。

政治制度上の制度としての民主主義ももとよりたいせつであるが、それよりもっとたいせつなのは、民主主義の精神をつかむことである。なぜならば、民主主義の根本は、精神的な態度にほかならないからである。(略)つまり、人間の尊重ということにほかならない。(略)民主主義を体得するためにまず学ばなければならないのは、各人が自分自身の人格を尊重し、自らが正しいと考えるところの信念に忠実であるという精神なのである。

「民主主義」教育図書

「民主主義」というと一般的には多数決を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。
しかし実際には「人間の尊重」は重要であり、少数者を排除することではないことに着目したい。少数者の意見も聞き、「議論を尽くす」。それなのに最近の政治では、ろくに話し合わず「議論は終わった」と言われてしまっている気がする。

具体例として、本著では小泉政権のあり方が描かれている。それは「ポピュリズムの政治」である。

すなわち、ポピュリズムは、基本的には多数決で五〇%プラス一票取ったら、その人は「総取り」して問題ない、という発想です。とにかく「数は正義」なのだ、と。それに対して「本当の民主主義」には、多数派がいたずらに数で押し切ることをせず、少数派の意見を最後まで尊重して議論を尽くす姿勢が貫かれている。そういう違いがあると考えるのです。

ニッポン 未完の民主主義

また、安倍政権も少数派の意見に耳を貸すことはなかったと語る。

少数者の意見を聞き、議論を尽くす。
それってどういうことだろう。
完全に少数者の意見だけを取り入れていたらそれはそれで違う気がする。

個人的には、それぞれの意見だけでなくデータなど、2次的なデータをもとに議論するのが建設的ではないだろうか。
とはいえデータの恣意的な解釈も問題になっているので、それだけでは対応しきれないが…。

この本だけでは問題の解決策は分からないが、少なくとも何か異変が起きていることに気づくことができる。
ふわっとしたモヤモヤが言語化できるようになってくる。

最近の政治にモヤモヤしている人は読んでみてほしい。


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